英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第345回。

NY郊外の古いアパートで…。落ち込むネイティブが受け取った苦情メモ
週に1度、オンラインで話している日本語ペラペラのアメリカ人がいます。
かつて日本に住んでいたため、アメリカに帰った今も日本語を忘れないようネイティブスピーカーと話すことで訓練しているのだそうです。
その彼が最近、ニューヨーク郊外に引っ越しをしました。
郊外でも家賃が高いため、引越し先は木造の古いマンションなのだそうです。
「いま、ちょっと落ち込んでいるんですよ」
彼はそう言って、画面越しに1枚のメモを見せてくれました。
そこには「連日連夜うるさいです」というような苦情の文言が書いてありました。
正確になんと英語で書いてあったのか、もう覚えていないのですが(スクリーンショットしておけばよかったと後悔しています)、最後の1文だけははっきり覚えています。
Very disturbing!
Disturbは「妨げる」とか「乱す」という意味の動詞で、英語学習ではかなり初期に習いますし、なんなら日常生活でも“Please don’t disturb!(邪魔しないで!)”とか“I don’t want to disturb you.(ご迷惑をおかけしたくない)”というようにとてもよく使います。
DeliciousにVeryはつかないけど、Disturbingはつけていい?
ですので、よく知っている単語なのですが、それでも“Very disturbing!”という使い方があることに少し驚きました。
意味としては「とても迷惑です」「非常に不快です」「かなり困っています!」という苦情になるのでしょう。
しかし私が最初に思ったのが、「DisturbingにVeryをつけていいんだっけ?」ということでした。たとえば「美味しい」という意味のDeliciousにはVeryをつけると不自然になってしまうと習ったことがあります。Deliciousは「美味しい」だと思い込んでいたのですが、本来は「極限まで美味しい」という、すでにVery的な意味が入っている言葉なので、つけないそうです。日本語で言ったら「頭痛が痛い」みたいな感じになってしまうということでしょうか。
一時期はこの「Veryをつけてはいけない単語」をしっかりノートにまとめて覚えていたのですが、最近はすっかり忘れてしまっていて、それでも「やたらめったらVeryはつけてはいけない」という心持ちだけは残っていました。結果ただ私はVeryをやたら恐れるだけになっていたのです。
けれど Disturbing という言葉そのものにVery的な意味が入っているわけではないそうです。
またそもそも動詞にはVeryをつけられませんが、Disturbingのようにingをつけることで形容詞的な使い方ができ、Veryをつけてよい状態になるのです。
ネイティブは、“That’s very disturbing.” や “It’s very disturbing.” のように、この表現を結構よく使うとのこと。
確かに「すごく困ってます」から「すんごいウザイ」まで、日常会話でかなり使えるフレーズです。ぜひ“Very disturbing!”を覚えて使っていきたいと思いました。
「別にパーティをしたとか、音楽を大音量でかけたとかそういうこともないんです。掃除機だって週に1度、日曜の昼しかかけません。連日連夜と書かれているけどそもそも昼、僕は会社だし、奥さんひとりでそんなにうるさくはしていないはずです。木造のボロい家だから、生活音だけでうるさいのかもしれません」
と、そのアメリカ人はしゅんとしていました。
そもそも彼が入居した部屋は長いこと空き家だったようで、そこに人が入って生活を始めたことで今まで聞こえなかった音が聞こえてきて、「うるさい」と隣人は思ったのかもしれません。
普通に暮らしているだけで“Very disturbing!”と言われてしまうのは、かなりつらい状況でしょう。
ちなみに私の住むアパートは、隣に男性が住んでいて、夜中に帰ってきてシャワーを浴びながらB’zを熱唱しています。お風呂が廊下側にあるため歌声は私の寝室でもとてもよく聞こえます。楽しそうなので別に“Very disturbing!”まではいかないものの、「ULTRA SOUL!」のあとに「ハイ!」と合いの手をいれてやろうかくらいには思っています。

