GOLF

2024.08.10

アドレスは重心を落として、どっしり構えたほうがいいのか?

今回は、重心について。

連載「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」/対角線ドリル

重心を落とすと、下半身が使えない

アマチュアゴルファーからの悩みや疑問に「アドレスは重心を落として、どっしり構えたほうがいいのでしょうか」という質問がよくある。

スポーツにおいて重心の位置は重要で、どのスポーツにも適した構えがあるのは事実だ。ゴルフはボールを遠くへ飛ばすスポーツということもあり、重心を低くしたほうがパワーが出てボールに力を伝えられると思う人がいるかもしれない。

また、ボールが曲がる傾向の人が下半身を固定してスイングを安定させようとするケースもある。

しかし、考えてみれば、球技において下半身を固定して構えることは少ないのではないだろうか。

野球のピッチングやバッティングでは下半身を固定しないし、バスケットボールのフリースローなども全身を使ってプレーする。ゴルフの場合も下半身を固定するのではなく、全身を使ってスイングすることが大切になる。

テレビなどでプロゴルファーのアドレスの姿勢を確認してみてほしい。腰を落として下半身を固めている選手はほとんどいないだろう。骨盤から体を前傾させ、やや膝を曲げる程度のスッと立ったアドレスになっているはずだ。

上下運動がスムーズにできるニュートラルな重心を意識する

試しに重心を落として下半身を固定してスイングしてみてほしい。下半身を固めるとスイング中に足腰が使えないため、上半身や腕に頼ったスイングになってしまう。そうなると手打ちスイングになり、スイングの再現性が損なわれる可能性がある。下半身を固定してスイングを安定させるはずが、実際は飛距離も出ない上に不安定なスイングになってしまうのだ。

ただ、傾斜地からのスイングの場合は足元を安定させるために重心は落とした方がいい。傾斜地ではバランスが取ることが難しいため、通常のスイングをせずにコンパクトスイングを心掛けることが大切になる。

重心を落とすということは、地面に対し圧力をかけていることになる。この状態では足を踏み込んで地面反力を使うことができず、力強いスイングはできないだろう。

スイング中の足の動きと力の向きに注目すると、右足を踏み込んでバックスイングを始動した後はトップに向かって右サイドが伸びていき、ダウンスイングでは左足を踏みこむことで切り返し、インパクトからフィニッシュに向けて左脚が伸びていく。

こうした適切な一連の上下運動ができるよう、重心はニュートラルな位置に置くことが必要だ。

アドレスの重心位置を適切にするために、構えたらその場で軽くジャンプをしてみてほしい。ゴルフでは横方向への大きな移動は必要ないが、縦方向には地面反力による上下の動きが入る。アドレスでジャンプをして縦方向の動きを行うことで、バランスよくスイングするための適切な重心位置を感じることができるだろう。

スムーズに上下に動けるニュートラルな重心の位置を意識してアドレスをするようにしてみてほしい。それによってスイングの再現性が高まり、地面反力を有効に使って飛距離を伸ばせるはずだ。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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