CAR

2024.12.10

あなただけのロールス・ロイスを創作する空間が、ソウルにオープン

2023年、ロールス・ロイスは過去最高となる6000台以上を販売した。販売台数の増加とともに、ビスポークの需要も高まっているという。自分だけの1台を仕立てる場所として、プライベート・オフィスがソウルにオープンした。

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープン

アジアでは、新しい富裕層が台頭している

ソウル東南部に位置する蚕室(チャムシル)は、さまざまな楽しみ方ができるエリアだ。漢江(ハンガン)公園やオリンピック公園で憩いの時間を過ごすのもいいし、テーマパークやショッピングモール、韓国最高層のビルも賑わっている。伝統的なたたずまいと新しいライフスタイルが調和するこの地では、老若男女が思い思いのスタイルで過ごしている。

2024年11月、この地区に、ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープンした。

プライベート・オフィスとは、世界に1台、自分だけのビスポーク・カーを仕立てるための場所で、英国グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイス、ドバイ、上海、ニューヨークに続く5番目の拠点がソウルということになる。

プライベート・オフィス・ソウルに一歩足を踏み入れると、近年のロールス・ロイス各モデルのインテリアと同じように、伝統的なラグジュアリーと、モダンで明るい雰囲気が融合していることがわかる。エクスクルーシブな場所でありながら、同時にリラックスすることもできるのだ。エラリー・クインの推理小説に、『心地よく秘密めいた場所(原題は『A Fine and Private Place』)』という作品があるけれど、このタイトルが頭に浮かぶような空間だ。

印象的なのは、和紙のようにも見える透過性のある紙や木材が効果的に配置されていることで、アジアらしさが表現されている。もうひとつ、スペースの奥にキッズルームが設置されていることも興味深かった。これはソウルだけに用意されているスペースだという。

プライベート・オフィス・ソウルには、アジア太平洋の全域から顧客が訪れる。つまりこの地域には、子供を連れてロールス・ロイスをビスポークしに来るような、新しい富裕層が台頭しているということだろう。

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープン
内外装の色や素材は、可能な限り顧客の注文に応じるという。傑作を作るためのモチーフも、ふんだんに用意されている。

プライベートオフィスは予約制で、現地駐在のクライアント・エクスペリエンス・マネージャーと、リージョナル・ビスポーク・デザイナーが応対する。顧客との会話やリサーチを通して、ビスポークに何を望むかを丁寧に引き出し、グッドウッドのクラフツマンと連携しながら、車両を仕立てていくのだ。

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープン
ビスポークのアイデアの一例。SUVのロールス・ロイス・カリナンをベースに、韓国の美しい夕日をモチーフにした「Cullinan Seoul Sunset」。

ソウルでクライアント・エクスペリエンス・マネージャーを務めるジェフリー・チョイは、近年はクライアントのビスポークへの熱の高まりを感じると語り、「望んだクルマに仕上げることはもちろん、クライアントの素晴らしい体験をサポートしたい」と続けた。

ソウルのリージョナル・ビスポーク・デザイナーであるジェームス・ロバート・ベイズンは、次のような抱負を語った。

「色や素材に関するアイデアなど、ビスポークを希望するクライアントの話をうかがうことは素晴らしい経験です。日本からも、たくさんの顧客が来てくださるはずですが、エキサイティングな顧客とともに作業をして、最高のクルマをクリエイトしたいと思っています」

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープン
左がリージョナル・ビスポーク・デザイナーであるジェームス・ロバート・ベイズン、右がクライアント・エクスペリエンス・マネージャーを務めるジェフリー・チョイ。抱負な知識と経験を持つふたりが、あなただけの1台を作るサポートをしてくれる。

クルマを作るのではなく、傑作を作る

英国グッドウッドの本社より駆けつけた最高経営責任者のクリス・ブラウンリッジは、プライベート・オフィス・ソウルのオープンにあたって次のように述べた。

「グッドウッドの一部分をソウルにお届けします。ロールス・ロイスの創始者であるサー・フレデリック・ヘンリー・ロイスは次のような言葉を残しています。“クルマを作るのではなく、傑作を作るのです。完璧を目指し、日々努力をしなさい”という言葉です。ここは、私たちとともに傑作を作っていただくための完璧な場所です」

オープニングイベント終了後の囲み取材では、ブラウンブリッジ氏は、なるほど、と唸らされるエピソードを披露してくれた。

「何台かのロールス・ロイスを所有している友人が、私がこの企業のCEOに就いたときにグッドウッドにお祝いに来てくれました。ランチの席で、彼はこう言ったんです。自分の愛車をこんなふうに自由にビスポークできるとは知らなかった、と。デザイナーやクラフツマンと話をすることによって、制約から解き放たれた自由なクルマ作りができるということを、プライベート・オフィスを通じてみなさんにも知っていただきたいと思います」

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ソウルがオープン
ロールス・ロイスの最高経営責任者を務めるクリス・ブラウンリッジ氏。2021年からBMW UKのCEOを務め、2023年11月30日に現職に就任した。

プライベート・オフィスは、顧客のビスポークに柔軟に対応するとのことで、例えばソウルに来てもらってもいいし、デザイナーやマネージャーが顧客の家を訪れることもあるという。納期や金額については千差万別なので答えられないとしながらも、4年間で20回以上のやり取りの末に完成したビスポークもあれば、もう少し短期間で仕上がったケースもあるという。

いずれにせよ、一流のデザイナーとともに愛車をビスポークするというのは、非常にクリエイティブで貴重な体験になることは間違いない。趣味が音楽であれば、好きなミュージシャンと楽曲を制作するのに近い経験だろう。傑作が期待できるのと同時に、夢のように豊かな時間を過ごすことができるはずだ。

問い合わせ
ロールス・ロイス・モーター・カーズ TEL:0120-980-242

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

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