圧巻の存在感を放つ絵画から彫刻、映像作品まで、さまざまな手法で作品を作りだす表現者たち。アート業界に新風を巻き起こす新進気鋭のアーティスト10人を厳選! 今回は、美術作家の菅実花氏を紹介する。【特集 アート2023】

『A Happy Birthday』。「I Won’t Let You Go」シリーズより。
「人間の条件」を見極める
写真や映像をベースに表現する菅実花氏は、2014年に始めたプロジェクト「Do Lovedolls Dream of Babies?」でまず耳目(じもく)を集めた。
等身大の愛玩(あいがん)人形=ラブドールの腹部を膨らませ、その女性像が妊娠したと思わせるイメージを写真化。菅氏はここで、どこまでが人間かという問いを立て、「人間の条件」を見極めんとした。

『The Future Mother 09,06,07』。「Do Lovedolls Dream of Babies?」シリーズより。
その後も菅氏の作品は多様な展開を見せる。「I Won’t Let You Go」シリーズは、菅氏自身の頭部を型取りした人形と本人がツーショット撮影するという、倒錯的なセルフポートレートだった。
創作活動を通して菅氏は、未来の価値観を先取りしているかのようだ。
<How to See>
公式HP:http://mikakan.com
Instagram:@387mika_kan

美術作家
菅実花/MIKA KAN
1988年神奈川県生まれ。テクノロジーの進歩がもたらす新たな感覚をテーマに据え、写真、映像メディアなどを用いてビジュアル表現へ落としこむ。最近では、個展「菅実花『鏡の国』」に作品を展示。