ART

2023.03.22

生々しい存在感! 大迫力の動物アートを創る注目の若き彫刻家

圧巻の存在感を放つ絵画から彫刻、映像作品まで、さまざまな手法で作品を作りだす表現者たち。アート業界に新風を巻き起こす新進気鋭のアーティスト10人を厳選! 今回は、彫刻家の瀬戸優氏を紹介する。【特集 アート2023】

彫刻家・瀬戸優氏

彫刻家
瀬戸優/Yu Seto

1994年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。野生動物をモチーフとした、躍動感溢れる彫刻作品を生みだす。国内外で展示多数。

等身大の彫像で動物たちの生命感を表す

フクロウやヒョウ、オオカミ、サイにライオン……。猛々(たけだけ)しい野生動物の姿を、素焼きのテラコッタ(土器)としてかたどり、彩色して仕上げる。それが彫刻家・瀬戸優氏の制作スタイルだ。

創作の現場たる都内のアトリエへお邪魔してみると、空間のそこかしこに動物たちが佇んでおり、その息遣いまで聞こえてきそう。なぜ瀬戸作品にはかくも生々しい存在感が宿るのか。

瀬戸優氏のヒョウの作品

展示会場から戻ってきたばかりのヒョウの作品が木枠に収まって佇んでいた。

「造形時に何より大切にしているのは、瞬発力。時間をかけず即興的につくっていきます。手の跡や粘土の表情、色の塗りムラが残るくらいでいいんです」

そのほうが作品のリアリティはぐっと増すという。なぜか。

「例えば動物の剥製を思い浮かべると、外側が実物の毛皮に覆われていて、目にした瞬間は『本物? 生きてる?』となりますよね。でもよく見れば死んだものと気づくので、生命感は読み取りづらい。僕の作品は、この逆を行きたい。パッと見て明らかに人の手がつくったものとわかるのに、じっくり見るほど生きているように思えれば、見る人に生命感を受け取ってもらえるのではと考えています」

瀬戸優氏の彫刻作品

完成した彫刻作品は大迫力。Photo:Sachihiko Koyama

ガラス製の玉眼(ぎょくがん)をはめこんであるのも、瀬戸氏の作品がリアリティを持つ要因だ。

「玉眼によって目に光を宿し、生命感を引きだそうとしています。本物の動物と対峙した時も、目を合わせる動作によって認識が完了するものですし」

玉眼を作品にはめる様子

玉眼を作品にはめる様子。遠くを見やる動物の表情が生々しい。目が入ることで作品のリアリティがぐっと増す。

10代でアートを志し、その気持ちがブレたことはない。

「高校生までは数学や物理が一番得意で、理系の大学進学を目指していました。ある時、自分の将来を真剣に考えて、一日中数学の問題を解いていろと言われたらつらいなと気づいた。美術ならどうか。小さい頃から絵を描くのは好きで、それなら何日でも続けられると思い、美大に進路変更しました」

以来、創作に邁進。学生時代から彫刻家を名乗り、グッズなどの販売も自ら手がけた。「つくりたいモチーフやテーマは無限」と言うとおり、新たなカタチを生みだす情熱は尽きない。

瀬戸優氏のレリーフ型作品

レリーフ型の作品は近年注力している作品で、彫刻よりも求めやすい価格でコレクターからの人気も高い。

瀬戸優氏の小品たち

小品も多く手がけ、多様な購入ニーズに応える。

アトリエ「YU SETO STUDIO」

東京・荒川区に2022年に構えたアトリエ「YU SETO STUDIO」は、かつて鉄工所だった建物をリフォームしたもの。運搬用クレーンもついており作品の搬出入に重宝する。屋内には電気窯ふたつと巨大なガス窯が鎮座。アトリエ内で制作の全過程が完結する。

<How to See>
公式HP:www.yuseto.com
Instagram:@yu_seto1222

【特集 アート2023】

TEXT=山内宏泰

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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