圧巻の存在感を放つ絵画から彫刻、映像作品まで、さまざまな手法で作品を作りだす表現者たち。アート業界に新風を巻き起こす新進気鋭のアーティスト10人を厳選! 今回は、アーティストの髙畠依子氏を紹介する。【特集 アート2023】

重力のはたらきを絵画の制作過程に入れこんだ『CAVE』(2021)。
自然現象を引き起こす力が偶然性を生みだす
髙畠依子氏がキャリアを通して生みだしてきたのは平面作品だが、その表面は時にあちこちが隆起(りゅうき)し、細かい突起が無数に出ていたりもする。
一般的な絵画のイメージから大きく異なる作品が多い。それは彼女が風や水、火など自然現象が引き起こす力を用いて制作しているからだ。

磁力によって絵画を完成に導こうとする『MARS 16』(2020)。
近作「MARS」シリーズで使われたのは、磁力だった。酸化鉄から成る顔料を磁石で操り、不可思議な紋様と毛羽立つ画面を生みだした。最新作「CAVE」シリーズは、鍾乳洞の生成過程にインスピレーションを得てイメージがつくられた。
地球上に作用する大きな力が、作品に偶然性をもたらしている。

アーティスト
髙畠依子/Yoriko Takabatake
1982年福岡県生まれ。素材や色彩、モノの構造を意識し、絵画表現の可能性に挑み続ける。アーティゾン美術館「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」(2023年6月3日~8月20日)に出品予定。
<How to Buy>
所属ギャラリー:シュウゴアーツ
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