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2024.08.11

伝統とホスピタリティ精神が詰まったヨットレース「リシャール・ミル カップ」【体験記】

モータースポーツとのコラボレーションも多い高級時計ブランド、リシャール・ミル。実はその世界は海にも広がっている。英仏海峡を舞台として2024年6月に開催されたクラシックヨットのレース「リシャール・ミル カップ」は、優雅さと情熱、そして文化を守るという意義を感じさせるイベントだった。

英仏海峡を横断するクラシックヨット

優雅で美しく、激しいクラシックヨットの競演

2023年から始まった「リシャール・ミル カップ」は、100年以上前に設計された競技用ヨットを用いてレースを行うという、本格的なヨットレースイベントだ。

2回目となる今年は英仏海峡を舞台とし、イギリスとフランスにある歴史的なヨットクラブから、実際のクラシックヨットやレプリカヨットが計10艘参戦。

イギリスのファルマスにあるロイヤル・コーンウォール・ヨットクラブからスタートし、フランスのル・アーヴルにあるソシエテ・デ・レガッツ・デュ・アーヴルまで移動しながら、短距離インショアコースと長距離のオフショアレースで、タイムを競い合った。

筆者が帯同したのは、レース日程の後半戦。

ヒースロー空港から陸路でサウザンプトンへ向かい、そこからクルーザーで対岸のワイト島の港町・カウズへ。「リシャール・ミル カップ」に参戦する、3本マストの巨大なスクーナー船「アトランティック号」に乗りこむ。このヨットはキッチンやサロンがあり、6つの客室それぞれにシャワールームとトイレがついているという豪華なしつらえだ。

航海するヨット
海を進む「アトランティック号」。丁寧にメンテナンスされており、100年以上前に作られたヨットと思えないほど美しい。

船上でウェルカムセレモニーが催され、ヨットは出港。船上でのディナーを終えると、夜を徹して英仏海峡を横断する長距離のオフショアレースが始まった。

強い風と海のうねりのなかを、アトランティック号はフランスに向けて進む。時折驚くほど船体が傾くが、客室のベッドには転落防止用の柵があるため、安全対策はなされている。未体験の環境ではあったが、長旅の疲れからすぐ就寝。海面が舷窓を叩く音で目が覚めると水平線がうっすら明るくなっており、遠くに街並みが見える。

ヨットデッキで明けていく空を眺めながら、酔い止め効果があるというジンジャーハーブティーを飲んでいると、ほどなくしてフランスのノルマンディー地方の港町ル・アーヴルへと到着。この日のレースを終えた。

文化や伝統を継承していくこともリシャール・ミルの責務

翌日はル・アーヴルの沖合で、短距離インショアコースのレースが行われた。我々は大型スクーナー船の「エレナ号」に乗り換えてレースに参加。

レース相手となるのは、昨日まで乗船していた「アトランティック号」。

かなり近接するシーンもあったが、こちらが手を振ると向こう側のクルーたちも笑顔で手を振り返す。リラックスしたムードだが、クルーが風を捕まえるために悪戦苦闘する姿を間近に見ると、優雅に見えるクラシックヨットレースも、純粋なるスポーツであることを実感させられた。

船の上での様子
レースはいたって本気。熟練のクルーたちがきびきびと動く姿を見ているのも楽しい。

最終日はル・アーヴルのヨットクラブ「ソシエテ・デ・レガッツ・デュ・アーヴル」にて、パーティーと表彰式が行われた。昨日のライバルも今日は友。各チームのクルーが集まり、地元名産の牡蠣をほおばりながら、お互いの健闘を讃え合う。

優勝したのは、1911 年製のガフカッター船「マリキータ」。オーナーであるブノワ・クチュリエ氏とスキッパーのジャック・カラエス氏に、トロフィーが渡された。このスターリングシルバー製のトロフィーは、イギリスの高級宝飾店ガラード社が製作しているものだ。

リシャール・ミルがクラシックヨットのレースを立ち上げたのは、クラシックヨットの本来の目的である“レースで競う雄姿”をいつまでも残していくため。また、クラシックヨットを修復するための技術やクルーのスキル向上といった、ヨット文化を支援するという目的もある。

リシャール・ミルの時計は、最新のエンジニアリングを駆使しているが、同時に伝統的な時計製造技術への敬意も強く持っている。

クラシックヨットの文化や技術への支援も、その延長線上にある。それは、世界有数の時計ブランドであるリシャール・ミルが果たしていくべき責務でもあるのだ。

問い合わせ
リシャールミルジャパン https://www.richardmille.com/ja

TEXT=篠田哲生

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