1923年に始まったル・マン24時間レースで活躍してきた伝説のマシンたちが、観衆の前に姿を見せ、サーキットを駆け抜ける。世界最高峰のヒストリックカー・レース「ル・マン・クラシック」が2022年、4年ぶりにル・マンの街に戻ってきた。古きよき時代の自動車レースの優雅な雰囲気を本誌編集長・池上雄太が体験した。
リシャール・ミルは第1回大会からパートナー!
「ル・マン・クラシック」の会場はもちろん、ル・マン24時間レースと同じ、伝説のル・マン サルトサーキット。スタートの合図とともにドライバーたちはコースの反対側から自らのマシンに駆け寄って乗りこみ、エンジンを始動させ、サーキットを走りだす。それが伝統的なル・マンルールに従った形でのスタートだ。
なにせ年代物のヒストリックカーだ。エンジンがかからないクルマがあればスタッフが押しがけしたり、とてもゆっくりした速度で走りだすクルマがあったり。すべてのクルマが出走した際には観客席から大きな拍手が送られた。
そこには明らかにヒストリックカー・カルチャーへの敬意と賛美の思いを抱く人々が集まっていた。そんなル・マン・クラシックにおいて、2002年の第1回大会からメインパートナーを務めてきたのがリシャール・ミルである。リシャール・ミルは自動車界との密接な関係をさまざまな形で表現している。
さて、7月初旬の週末に行われた2022年のレースは、1920~’80年代にかけてル・マンで活躍した750台の伝説のレーシングカーが参加していた。世界に数台しかない希少価値の高いモデルや数億円もする歴史的なクルマ、つまり車名をあげると、ブガッティ「T35」、ジャガー「Type D」、ロータス「15」、フォード「GT40」、シェブロン「B31」などの名車が数多く揃い、スピードを競い合う真剣大バトルだった。
土曜夕方から日曜夕方までの24時間を利用してレースが行われる点はル・マン24時間レースと同じだが、ル・マン・クラシックは’80年までのモデルが6つのクラスに分けられ、40分間1セットの決勝レースを3ヒート行う形式となっている。
かつて名勝負を繰り広げた往年の名車が集まり、ヒストリックカー・レースを行い、世界中から毎回13万人を超すファンが集まる光景は、ぜひクルマ好きでなくとも一度は見てみたい。ル・マン・クラシックはこれからも唯一無二であり続けるだろう。ちなみに2023年はル・マン24時間レースが100周年を迎えるのに合わせて、もちろんル・マン・クラシックも開催される予定だ。