連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第32回は、ロレックス「コスモグラフ デイトナ Ref.6239」を取り上げる。
デイトナ表記が入らない独特なオーラを放つ1本
“キング・オブ・クロノグラフ”の異名を持つ「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルは、ヴィンテージロレックスの中心的存在として常に愛好家たちから熱い注目を浴びている。
該当するリファレンスナンバー(識別番号)は10種類以上あるが、「コスモグラフ デイトナ」のファーストモデルである「Ref.6239」の最初期モデルは、特に人気が高い。
1963年の「Ref.6239」の発表当時、モデル名には「デイトナ」の名はなく、「ル・マン24時間レース」にちなんで“ル・マン”と呼ばれていた。“ル・マン”に該当するモデルの製造期間は約1年と短く、タキメーターベゼル、ダイヤル、時針などに特徴的なディテールが見られる。
今回紹介するのは、“ル・マン”が登場した翌年の1964年に製造されたモデル、通称“セカンド ル・マン”だ。
このモデルが“セカンド ル・マン”と呼ばれる理由はダイヤルの表記にある。
“ル・マン”と同様、12時位置には、1段目に「ROLEX」、2段目に「COSMOGRAPH」のプリントが入る。つまり、ダイヤルには「DAYTONA」の表記が入っていない。
“ル・マン”から引き継いだパーツとして見逃せないのが、インデックスの近くまで届く長い時針。この時針はRef.6239の初期のモデルのみに使用されているものだ。
この1本は、消耗品であるリベットブレスレットを除くと、初期モデル特有の長い時針、最大300km/hまで計測できるタキメーターベゼル、ストレート針仕様のスモールセコンドなど、オリジナルの基準を十分に満たしている。
保証書をはじめ、外箱、内箱、カタログが揃っており、貴重な付属品の充実ぶりも特筆すべきポイントだ。
いまや完全なステータスシンボルと化した手巻き「コスモグラフ デイトナ」。そのなかでも大変希少な「Ref.6239」の初期モデル、“セカンド ル・マン”の魅力を思う存分味わってほしい。
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