「仕事が早いから」「頼りになるから」という理由で、自分ばかり仕事を任される。一方で、仕事が遅い同僚は定時で帰っていく――そんな状況にモヤモヤした経験はないだろうか。頑張る人ほど損をしているように感じるこの悩みに、これまで5,000社以上に導入されてきた組織マネジメント理論「識学」を提唱する安藤広大氏が答える。【その他の記事はコチラ】

仕事を任されることは、成長のチャンス
【相談】頑張る人ほど損なのでしょうか?(30代・営業職)
私は仕事が早いほうなので、周りのフォローまで任されることが増えました。⼀⽅で、仕事が遅い同僚は定時で帰っています。上司には「頼りにしている」と⾔われますが、正直モヤモヤしています。頑張る⼈ほど仕事が増える状況では、どう働くのが正解なのでしょうか。
上司から仕事を振られると断れず、気づけばどんどん業務が増えていく。忙しさのなか、他の同僚は楽をしているような気がして、自分だけ割に合っていないような気持ちになっていくことも多いはずだ。
「確かに体力的にかなりきつくなってしまったり、業務が増えることで仕事の精度が落ちてしまうなどの問題があるようなら、それは上司に相談して仕事の責任範囲や量を相談してもよいのではと思います。
それだけ仕事を任されるということは、それだけ成長できる機会をもらっているということ。『自分の仕事が早いから頼られてしまう』というように、あなたの能力が高いから仕事を任されるわけです。
今この瞬間だけを切り取ったら、自分だけ損しているように感じるかもしれません。でも仕事を振ってもらえない同僚と比べれば、確実に実力差がついているはず。結果を出しているなら社内の評価ももちろん高まるでしょう。だから仕事を振ってもらえるのなら、それは受け続けるべきだと思います」
仕事をしたいと思っても、能力のない人には仕事は与えられない。仕事を任されるというのは、上司があなたを信頼し評価している証でもある。これは自分にとって利益になる状態だと、プラスに受け止めることが大事なのだ。
「まず、未来の自分へ貯金をしているイメージを持ちましょう。今の経験は、必ずいつか自分に還ってきます。それは会社での評価であったり、仕事の能力の向上であったり、さらに言えば、稼げるお金が増えるなどの形で現れるはずです。
自分の体力やメンタルの維持は大切ですが、それらがクリアできるなら、基本的には与えられた仕事はすべて受ける。悩まずどんどんやって経験を重ねるべきです」
そんな安藤氏も若手時代はこの相談者と同様、マイナス意識を持ったこともあったという。
「僕のNTTドコモ時代は、わりと楽な仕事ばかりで『それなのにこんなに高い給料をもらって、ラッキー』なんて思うほど、今考えれば仕事も考えも甘い状態でした。
でも転職をしてからは、仕事の内容も量も多くなり、めちゃくちゃ仕事せざるを得ない状況になったんです。その時は『これじゃあ時給にしたら数百円じゃないか…』と、正直僕も思いました (笑)。
でも結局、転職先で若くしてマネジメントも経験し、そこでの悩みやつまずきがこの識学という組織マネジメント術へとつながった。がむしゃらだった若い時のそんな経験が、今となっては大きくプラスになっているんです」
損をしているように見えて、自分の未来を考えれば他の誰よりも得をしている。そのチャンスを逃す手はない。
「頑張る人ほど損をする」と考えるか、「成長機会を与えられている」と考えるか。
その認識の違いが、数年後の実力や評価の差につながっていく。長い時間軸で考えれば、仕事を任されることは他の人より一歩も二歩も先へ進むチャンスを与えられているということ。目先の忙しさだけで判断せず、未来の自分への貯金だと捉えることが、識学の考え方なのである。
安藤広大/Kodai Ando
識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。

