田島貴男(Original Love)と『GOETHE』。一見すると異なるフィールドを歩んできた両者だが、時間をかけて培ってきた価値観には、静かな共鳴があると編集部は考えた。仕事とは単なる成果の積み重ねではなく、生き方そのものを映す表現であり、成熟したからこそたどりつく境地からしか生まれない言葉やリズムがある。「仕事が楽しければ人生も愉しい」を標榜する「ゲーテ」が日々取材するのは、まさにその地点だ。今回ゲーテのオーダーに応えて制作してくれた「ワイルド・ヒューマニティー」には、人間本来の野性を取り戻そうという田島貴男のソウルが込められている。

1966年東京都生まれ。1985年にOriginal Loveを結成。以後、作品のリリースやライヴなど、多方面で精力的に活動。今年でOriginal Loveが35周年を迎え、2026年11月23日(月・祝)には、キャリア初となる日本武道館公演「SOUL POWER BUDOKAN 〜あれから、そしてこれから〜 Dancin’ - The 35th Anniversary Live」の開催が決定している。
ゲーテ20周年へ捧ぐ! ワイルド・ヒューマニティー
「仕事人に向けた曲をつくってほしい」という編集部のオーダーを、田島貴男は音楽としてどう受け止め解釈したのか。オーダーから半年を経て完成した、『GOETHE』創刊20周年と自らの35周年のタイミングで発表されるダブルアニバーサリーソング「ワイルド・ヒューマニティー」は、前アルバム『MUSIC, DANCE & LOVE』から続く音楽と人生を謳歌する大人が楽しめる曲に仕上がった。
「スケジュールのタイトな状況は『接吻』の頃に近い厳しさでしたが(笑)、『年齢に対抗するくらいの負荷を自分にかけてみるのも、前に進むためには必要な時がある』と、クリント・イーストウッドが言っていたことを思いだしました」
躍動するダンサブルなサウンドとリズムのなかで、真摯でポジティブな田島貴男の思いが綴られているところも必聴だ。
「最近になって曲の書き手として伝えたいこと、言いたいことがはっきりしてきました。若い頃は自分自身のことを正直に表現するのに一杯一杯だったけれど、35年も音楽で生きてきた自分には、もう少し自分が考えていた以上に広い役割のようなものがあるのではないか。そう思うようになってきたんです」
ソウル・ミュージックのルーツであるブルースやゴスペルを掘り下げていくと、人々の生活や社会の背景が心揺さぶる音楽と密接に関係していることがわかってきた。それはソウルの核心でもあると田島は語る。
「自分自身の苦しみや痛みを歌う人は多いし、僕も含めてアーティストはそれができていれば十分だしとても大切なことだと思っているけれど、僕が尊敬するアーティストは、自分の周りの町や人を意識して書いているというか、諸々の解決されない問題を抱いた町にひとりの人間として生きながらも、人々がもっと善い方向に向かえたらいいと願うような曲を、祈るように作っていた人なんです。
ゴスペルが苦しい生活の支えになったように、音楽には魂に寄り添う力があるんですね。世界が疲弊としている今の状況だからこそ、音楽という表現手段を持つ者がやらなければならないことはあると思うし、やり甲斐も感じています」

「ワイルド・ヒューマニティー」に込めたメッセージ
AIとSNSの時代に人間本来の野性や感性を、過去の歴史を辿って見直し取り戻そうと呼びかける歌詞は、今を生きる人へのアンセムのように響く。
「AIを否定するわけではないけれど、とても危うい世界になったなとは思います。人間が人間らしく生きる感性や、過去の人々が何千年かけて議論して必死に考えぬいてきた人間の倫理、技術系の職人が体得した手作業の感覚、勘のようなものなどは、今だからこそさらに大切にするべきなんじゃないかと。歌詞の〈善く生きていこう〉というのは、古(いにしえ)の先達から僕が受け取ったメッセージであり、ゲーテ読者の皆さんへの呼びかけでもあります」
〈善いソウルのほうへ 一歩踏み出して〉と力強く歌う、その視線は、古の知を今だからこそ身近に感じながら、未来をまっすぐに見つめている。
「自分が思い描いてきた音楽に自分の演奏力や表現が追いついてきたと思えたのはここ数年です。そういう意味ではこれからもっと充実した時を迎えられる予感がするんですよ。その喜びを僕の音楽とライヴで分かち合えたらうれしいですね」
ワイルド・ヒューマニティー
生成AIのブギーワンダーランドへランダムアクセス
インフォはドラッグ ヤバイ 依存性 バズりの餌食で
乗っ取られた日々はエクストリームゲーム タスクのラッシュで
端末捨てて逃げ出して 既読も無視で
Let’s Go!
探せセンス・オブ・ワンダー 復活が必要
きみのワイルド・ヒューマニティー
なにかいいことがまだどこかにあって
善いソウルのほうへ 一歩踏み出して
そっといいことして願って祈って
善く生きていこうとすれば いい景色が現れる
古の声 フィロソフィー 過去をヒントに
セレブレイト スローダウン 青い空に太陽讃歌が聞こえて
Chill Out
遊べヒューマンネイチャー 取り戻していこう
躍るワイルド・ヒューマニティー
なにかいいことがまだどこかにあって
善いソウルのほうへ 一歩踏み出して
そっといいことして願って祈って
善く生きていこうとすれば いい景色が現れる
なにかいいことがまだたくさんあって
善いソウル歌って ステップ踏めば
そんないいことがきっとつながって
善く生きていこうとすれば いい仲間が待ってる
センス・オブ・ワンダー
ヒューマニティー
ヒューマンネイチャー
フィロソフィー
セレブレーション
Chill Out
Wild Hu-ma-ni-ty

