かたや、売れっ子放送作家として活動する傍ら、NSC(吉本総合芸能学院)の講師として10年連続で人気No.1になった桝本壮志。こなた、彗星のように現れたZ世代の新たな論客、岸谷蘭丸。ビジネスパーソンがモヤモヤを抱きがちな言葉を取り上げ、異能のふたりが舌鋒鋭くぶった斬る。5回目。

【お悩みキーワード⑤ 嫉妬】
──最後のキーワードは「嫉妬」です。周囲を見ていると、嫉妬なんてしたくないのに、どうしても人を羨んでしまうという悩みを抱えている人が意外と多いようです。たとえば仕事でいうと、俺のほうができるのになんであいつのほうが評価されて出世しているんだよ、みたいなことです。
嫉妬はポジティブ、妬みはネガティブ
桝本 多分、サーファーはスキーヤーに嫉妬しないんですよ。なぜかというと、競技が違うから。でも、すごいギタリストはすごいギタリストに対して嫉妬すると思います。なぜ嫉妬するかというと、そこには相手の才能に気づく才能がこちらにもあるから。
だから嫉妬をすることができるということを、誇ってもいいような気がします。僕も他の人に嫉妬をしますけれど、嫉妬をしちゃ駄目だ、じゃなくて、あの人に嫉妬できるということは少し近づいているのかなとプラスで考えていますね。
岸谷 これは完璧な正解が出ましたね。僕も嫉妬するというのはめちゃくちゃポジティブな感情だと思っています。で、ここから先がすごく言いにくいんですけれど、僕、大谷翔平とかに嫉妬するんですよ。
桝本 めっちゃいい話じゃないですか(笑)。
岸谷 いま、ファミマに大谷翔平がいるじゃないですか、“おむすびアンバサダー”とかいって。あれを見て、クソー! 俺を使えよ!って思う自分がいるんです。

桝本 岸谷蘭丸、ここからまだまだ伸びますね。上がります。僕が言っているのはそこなんです。僕は年齢的なこともあって大谷翔平には嫉妬できないんですけれど、でも大谷翔平に嫉妬ができる蘭丸さんはそこに近づいている人なんですよ。
岸谷 いや、近づいてはいないんですけれど……。先日、八木莉可子さんという俳優と一緒になって、彼女とは生年月日がまったく一緒だったんです。でも、ポカリスエットのCMとかやっていて、彼女のほうが明らかに活躍している。同じ日数を生きてきたのに俺はどこでサボったんだろうと猛烈に悔しくなって、本番中に歯ぎしりをしました。
僕には俳優業はできないし、八木莉可子さんは教育の仕事をやらないだろうし、フィールドが違うのはめっちゃわかるんですけれど、並んでいるという気持ちにはならなくて……。でもそういうときに、一番モチベーションが湧いてくるんです。
桝本 いいですね。だから嫉妬と妬みは違うという話ですよね。
岸谷 そこっすよね。嫉妬は跳ね上がろうという力になるけれど、妬みは相手を下げようという力。相手を落とすんじゃなくて、自分が上がるエネルギーになるから、嫉妬はまったく悪い感情ではないと思います。ただ、そう考えると、妬みの感情ってどうしたら消えますかね?
桝本 蘭丸さんの場合だったら、“親ガチャ成功”みたいに言われるのって嫉妬じゃなくて、妬みだと思うんですよ。俺が座るかもしれない椅子にあいつが座っていると感じるのは、そう考える人の課題でしかない。僕としてはまったく関わりたくない課題で、なにも言うことはないですね。
岸谷 僕にも妬んでいた時期があったような気がするな。中高生の頃は、カッコいいやつ、足が速いやつ、女にモテるやつとかを、めっちゃ妬んでいた気がします。
桝本 僕も幼少期は妬みの連続で、皮膚の重い病気を患っていたんです。そのときに、言葉とか人の感情についてものすごく考えて、あそこで生成した妬みが貯金みたいなもんで、大人になってから役立つ言葉になったような気もしています。だから幼少期の妬みは思慮深くなることにつながるかもしれないけれど、大人になってからの妬みは不健康で、心を蝕むだけかもしれない。
岸谷 妬んでいる人は、もっと欲に正直になればいいのにと思います。妬む人って、自分が他人を妬んでいることも隠しているし、欲しいものも隠している。嫉妬の場合は「俺はこうなりたい」が先行するけれど、妬みは「こいつが失敗すればいい」だから、軸が他人になっている。他者を妬んでいる人は、表に出したほうがいいと思います。
僕、『ABEMA Prime』という番組にはじめて出たとき、コメンテーターとして一番端っこに座ったんですけど、悔しくてしょうがなかった。でも裏で言うのはイヤだったから、オンエア中にMCにしてください、真ん中に座らせてくださいと言いまくったら、半年後にMCになることができました。
桝本 多分、嫉妬や妬みという感情から、人は一生逃げることができないと思うんです。でも蘭丸さんの場合は良薬にすることができたんだ。

2001年東京都生まれ。中学校進学時に見事に第一志望の早稲田実業学校中等部に合格するも、環境に馴染めず悶々とした日々を送る。高校進学時に一念発起、ニューヨークへ留学し、優秀な学業成績を修める。欧米の大学に複数合格、2022年にイタリアのボッコーニ大学へ入学した。大学に籍を置きながら海外進学や英語資格試験をサポートするMMBH株式会社を設立、将来的には都知事を目指すことを公言している。
桝本壮志/Soushi Masumoto(左)
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)および、よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)の講師。2連覇した令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1決勝に輩出している。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
嫉妬や妬みを良薬にする方法
──逆に、毒薬にしちゃう人は、どうすればいいでしょう?
桝本 4コマ漫画を想像してほしいんですが、1コマ目にある成功の現象が起きて、2コマ目にその成功に対する嫉妬や妬みの感情が湧く。その次の3コマ目が大事で、嫉妬や妬みによって自分が行動に出るんですよ。自分の励みにするのか、SNSで叩いて相手を引きずり降ろそうとするのか。だから3コマ目が大事なんです。嫉妬や妬みの感情を持ってどう行動するのかが。それによって、4コマ目がハッピーエンドになるかどうかが決まる。
岸谷 いい話ですね。確かに、自分の機嫌を上手に保ったほうがいいですよね。
桝本 蘭丸さんは、自分の機嫌をどうやってとっていますか?
岸谷 それを模索中で、本当にシンプルでベーシックですけれど、あっ、これ楽しみだなというようなことを作るようにしています。
桝本 近いですね。いまTikTokとかショートコンテンツの時代じゃないですか。僕、自分の機嫌もショートコンテンツで考えたほうがいいと思って、1年の目標を立てるとかよりも、会議の前に本屋に寄って欲しかった本を買おうとか、短くてハードルの低い機嫌の取り方を自分なりに身に着けています。
岸谷 そこが僕は下手なので、話を聞いてすごく参考になりました。

