「40歳くらいで結婚したかった。でもできなかった」チュートリアル・徳井の結婚観【吉本同期・桝本対談③】

放送作家を中心に活躍する傍ら、NSC（吉本総合芸能学院）の講師として10年以上にわたって人気投票数1位を獲得している桝本壮志さんが、人気芸人・クリエイターと対談する本連載。今回のゲストはNSC大阪校13期の同期で、桝本さんと同居していた時期もあるチュートリアル・徳井義実さん。ネタ作りの秘訣や漫才づくりの裏側、仕事や人への向き合い方、近年のM-1に対する見解などを全7回にわたって聞いた。第3回。

ゆっくり時間をかけてモノを作る仕事がしたい

桝本　徳井くんも僕も、今年50歳やん。NSCに入った18歳の頃から比べて、50歳の自分ってどう感じてる？

徳井　俺みたいなぐうたらな人間からしたら、上出来やと思うよ。お笑いなんていう世界で、食えてること自体が出来すぎ。でも、30代、40代でもっとネタ作ったり、脚本を考えたり、頑張ってやらないといけないことはあったなと思う。だからこれからの人生では、できるだけモノ作りをしたい。

桝本　ええな。

徳井　芸人としてM-1取って東京に出てきて、がむしゃらにテレビの仕事をして。そこでお仕事をいただけるのも嬉しかったし、徐々に知名度が上がるなかで自分の好きなこともできるようになって。その過程で結局、「自分でモノを作って世間に出す作業が一番好きなんやな」というのが明確になってきたんです。

桝本　すごく分かる。バカリズムさんが脚本を書いたりして活躍している感じを、俺は徳井くんで見たいよ。

徳井　バカリズムさんとか、ほんまにすごいなと思う。

桝本　徳井くんも活動自粛してた時は色々書いてたやん。

徳井　舞台の脚本とか書いてたな。「時間かけてゆっくりモノ作りをしたい」という思いはずっとあるんです。単独ライブの満足感とか達成感もすごく高いし。

結婚しないと決めているわけではない

桝本　50歳のテーマでいくとさ、結婚についてはどう考えてる？

徳井　結婚ねえ……。まあ、タイミング来たらでいいかな。

桝本　それ、15年ぐらい言うてるよな（笑）。願望はある？

徳井　正直ない。結婚願望ないと言うと、人って「じゃあ結婚しないんですね」と決めつけるじゃないですか。でも、絶対しないと決めてるわけでもないんです。ほんまは40歳ぐらいでしておいたほうがよかったな、とか思う。でもそこは……できんかったね。

桝本　子供とかと接すると、すごい可愛がるやんか。子煩悩なパパになると思うんやけどな。

徳井　子供は嫌いじゃないし、自分の子供ができたら愛情注ぐと思うんだけど、メチャクチャ子供が好きな人間ではないと思うよ。ただ、「恋愛トークは独身のスタンスでしておきたいな」とか、「何時に帰っても独身やったら怒られへんな」とか、そんなしょーもない自由を抱き締めているだけなんです。「仕事のために僕は独身を貫いています」とか崇高なもんじゃなくて、ちっぽけな自由みたいなものが手放せないだけなんだと思います。

「ますまんは、頭がおかしい人間（笑）」

――徳井さんから見て、30年近く付き合ってきた桝本さんをどう見ていますか？

徳井　NSCの講師としてメチャクチャ人気らしいな。でも、ますまん（桝本）って奇人と言ってもいいくらい変わってて、恐ろしいほどマイペースな人間なんです。何かに集中すると周りがまったく見えなくなる時もあって。ちょっと頭おかしいんですよ（笑）。でもモノ作りをするということは極端な部分があった方がいい面もあって、だから作家として成功しているんやろうなと思うこともあります。

そういう部分は昔から変わっていないけど、大人になるにつれて、人へのアドバイスの仕方とか、「ここまでは自分は踏み入るべきじゃないな」というブレーキの踏み方とかは、上手くなったなと感じますね。そもそも1回芸人やっていたというのがデカいと思うし、人をすごい尊重する人間やし、とにかく優しいですから。

あと、ますまんって実は自分に自信がない部分もあるから、グイグイ押しつけがましくない。「自分はこう思うけど、この子たちのほうが正しいかもしれない」という感覚がちゃんとあって、そういう部分が生徒さんたちからすると心地よいんじゃないかなとも思います。

桝本　ほんまに徳井くんの言う通りで、僕頭おかしいんですよ（笑）。だけど「頭おかしい」っていうのは、やっぱり長年一緒に住んでいないと言えない言葉ですよね。

徳井　ますまんとスピードワゴンの小沢は狂ってるな（笑）。それを間近で見ていると「俺は何て普通の人間なんだ」と思うんです。いつか、小沢ともこの対談企画やってみてほしいですよ。

※4回目に続く