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2026.01.01

自己肯定感が低い私はどうしたらいい? 岸谷蘭丸と桝本壮志の解答

かたや、売れっ子放送作家として活動する傍ら、NSC(吉本総合芸能学院)の講師として10年連続で人気No.1になった桝本壮志。こなた、彗星のように現れたZ世代の新たな論客、岸谷蘭丸。ビジネスパーソンがモヤモヤを抱きがちな言葉を取り上げ、異能のふたりが舌鋒鋭くぶった斬る。1回目

岸谷蘭丸と桝本壮志

【キーワード① 自己肯定感】

──この対談は、読者がモヤモヤを感じていそうな言葉や事象を取り上げます。テーマごとにキーワードを定めて、そのキーワードについて桝本壮志さんと岸谷蘭丸さんの意見をうかがうという形で進行したいと思います。最初のキーワードは「自己肯定感」。最近は、自分に自信がなくて、そんな自分を責めて嫌いになってしまう方が多いというテーマから斬っていただきたいと思います。

ネットで流行っている言葉で自分を語っちゃダメ

桝本 まずは蘭丸さんに聞いてみたいんですけれど、自己肯定感を高めるとか上げなきゃいけないという、いまの社会の雰囲気についてどう思われますか?

岸谷 不思議だなぁ、と。僕はあんまりしっくりきていなくて、なんていうんだろう、自己肯定感という言葉をだれかが流行らせたときから、終わりが始まったというか。

桝本 なるほど。

岸谷蘭丸
岸谷蘭丸/Ranmaru Kishitani
2001年東京都生まれ。中学校進学時に見事に第一志望の早稲田実業学校中等部に合格するも、環境に馴染めず悶々とした日々を送る。高校進学時に一念発起、ニューヨークへ留学し、優秀な学業成績を修める。欧米の大学に複数合格、2022年にイタリアのボッコーニ大学へ入学した。大学に籍を置きながら海外進学や英語資格試験をサポートするMMBHを設立、将来的には都知事を目指すことを公言している。

岸谷 ADHDに少し似ているというか、流行りの言葉で。

桝本 言語化されたことで、安易に使われているというか、使いやすくなっているわけですよね。

岸谷 集団的な自衛でもあるわけじゃないですか。我々は弱いよね、みんなつらいよね、というところで共感してお互いを守るという、一種の自衛でもあるから。

桝本 おっしゃることはすごくよくわかります。コンテンツを売り上げるとか数字を伸ばすという感覚だと、「自己肯定感を上げたほうがいいよね」というコピーをうったほうが効果的です。世の中が、自己肯定感という言葉に先導されているみたいなところがある。

岸谷 そう、そこなんですよ。

桝本 自己肯定感を高めなきゃ、上げなきゃという自縛から解かれるべきではないかと思っていて、俺はできるんだ、本当の自分は強いんだという自己暗示をかけていくと、こんなはずじゃなかった、ということになっていく。それよりも自分との人間関係をうまく構築して、自分のここが嫌い、ここも嫌い、あそこも嫌い、だけど、最後に好きだと言えることが自己肯定感じゃないかと思うんです。

岸谷蘭丸と桝本壮志の解答
桝本壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)および、よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)の講師。2連覇した令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1決勝に輩出している。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。

理想を上げるじゃなく、抑えるほうが現代の正解!?

岸谷 僕はYouTubeにたまにひとり語りをアップすることがあって、ボツった動画なんですけれど、「自己肯定感の低いお前らへ」というタイトルの作品があったんです。

桝本 いいですね(笑)。

岸谷 それは「図に乗るな」っていうテーマだったんです。意外とみんなの自己評価が高いなと思うことがあって、僕は自己評価が高い人間の代表なのでそこについてはなんにも言えないんですけれど、理想の自分と現実の自分の乖離がでかければでかいほど、自己肯定感が低くなるわけですよね。

でも、現状そこそこ幸せなはずなのに自己肯定感が低いような気がして、それはインターネットやSNSのせいで理想のハードルが上がってしまって、実際の成長スピードが追いつかないからだという気がしています。かわいくなりたいと思っても誰もがTWICEになれるわけじゃないし、モテたいと思ってもだれもがなにわ男子になれるわけじゃない。

理想のハードルを上げるばかりじゃなくて、逆に抑えるほうが現代の生き方の正解じゃないかと思っていて、そういう意味で「図に乗るな」という、自戒も込めたテーマになったんですけれど。

桝本 その動画、なんでボツにしちゃったんですか? 僕はすごく見てみたいです。めちゃめちゃいいと思いますよ。だってそこそこ幸せなんですよね。眼の前の半径1メートル圏内の幸せには目を向けず、手の届かない他人の幸せを模倣しようとする傾向は、確かにあるなぁ。

岸谷 現代病だと思います。僕はめちゃくちゃ欲に忠実なタイプで、金も欲しいしモノも欲しい、地位も名声もすべてがもっと欲しいというタイプなので、追いかけることに疲弊しないけれど、ただそういうやり方に自分が向いているというだけなんですね。自分が現代の真の勝者だとはまったく思えなくて、やっぱり真の勝者はお父さん、お母さん、兄弟や犬と一緒にご飯を食べながら、週末はお姉ちゃんとお出かけをするんだと言っている子じゃないかな、と思っちゃいます。

桝本 ホント、人生の勝者って日曜日の昼下がりに公園で子どもと遊んでいる人たちですよ。僕がひとつも持っていないものですけれど、あれが勝者だと思います。僕もできそうもないことでも、さもできそうな風に言って、自分のビッグマウスに帳尻をあわせて頑張るという繰り返しだったので、蘭丸さんに似たような感覚があります。

岸谷 僕なんかは、ボールを上に放り投げて、ボールが浮いているうちに走って追いつこうみたいなことをやってきました。それをインターネットとかで見て、自分にはできないと思うかもしれないけれど、多分こっちが異常なんですよ。だからADHDとか自己肯定感とかなんやらかんやらとか、ネットで流行っている言葉で自分を説明しないようがいいですよ。

桝本 おっしゃるとおりだな。それが結論ですね。ネット上に転がっている言葉で自分を表現しないほうがいい。

岸谷 「自己肯定感を上げる」なんて、いいコピーを考えついたなと感心しちゃうんですけどね。

※2回目に続く

TEXT=サトータケシ

PHOTOGRAPH=今 祥雄

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