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2025.12.25

前澤友作の“スーパーお手伝いさん”「毎朝つくるラーメンに使用する道具や温度、細部までとことんこだわる」

壊れていない人間に、革命は起こせない。50歳の節目に、50人が語る“本当”の前澤友作とは。著書『偽善者』から一部抜粋。今回は、プライベートアシスタント・五十嵐瑞希。

前澤友作の”スーパーお手伝いさん”「毎朝つくるラーメンに使用する道具や温度、細部までとことんこだわる」
Unsplash ※写真はイメージ

1mm単位での調整

今から4年ほど前、まさか自分が選ばれるなんて全く思っていませんでした。きっかけは、Twitterで流れてきた前澤さんの「スーパーお手伝いさん」の募集です。私はもともとアパレル関係の仕事をしていたのですが、当時は専業主婦をしていて、前澤さんのことも「ZOZOの創業者」という程度の認識でした。

なんとなく社会とのつながりを求めて、「近所のマクドナルドでアルバイトでもしてみようかな」と思っていた矢先に、前澤さんの自宅や出張先でのサポートをするスタッフ募集を見つけました。「なんだかユニークで面白そうだな」と感じて、気軽な気持ちで応募したんです。

ただ、応募はしてみたものの、正直「受かるはずがない」と思っていました。ところが、選考はあれよあれよという間に最終面接まで進み、気がつけば自分の気持ちも強くなっていて、「ここまで来られたなら、ぜひ受かりたい」と思うようになっていました。

前澤さんとの初対面は、4次試験のグループ面談のときです。携帯を触りながらソファに座っている姿に、人生で初めて「人のオーラ」というものを感じたことを今でも鮮明に覚えています。面接会場も想像していた場所とは全然違って、ボッテガのスリッパに履き替え、アートが並ぶオシャレな一室へ案内されたときは、とにかく高級感と重圧に戸惑いましたが、話し始めるとすぐに場が和み、あっという間に時間が過ぎました。

前澤さんからの質問は、「僕にどんなイメージを持っていますか?」とか「あなたができることってなんですか?」といったもの。前澤さんについてあまり知らなかった私は、面接前にYouTubeでいくつか動画を見ていて、その中でも退任スピーチで涙ぐみながら社員に語りかける姿がとても印象に残っていました。

その印象があったので、「人間味のある方だと思いまし た」と正直に答えたんです。他の方々が「宇宙に行くのがすごい」「事業がすごい」と答えるなかで、かえってそれが良かったのかもしれません。

入社後、初めて前澤さんの家に入ったときは、広さやインテリアのおしゃれさに圧倒されつつも、“まだどこか未完成な部分”に驚きました。たとえば、リシャール・ミルの高級時計が、お菓子の空き箱に無造作に入っていたんです(笑)。ブランドに疎かった私は「ちょっと派手なスウォッチかな?」と思ってしまったほどで、後からスタッフに「実は買いたくても買えない時計」だと教えてもらい、とんでもないミスマッチさに気づきました。

こうした部分を整えていけるのも、外注ではなく信頼できるスタッフだからこそ任せてもらえる役割なのかもしれませんね。それ以前は業者さんが清掃をしていたそうですが、不特定多数の方が家に入ることにはセキュリティ上のリスクもあり、実際に大切な物を盗まれてしまったこともあったそうです。だからこそ、「信頼できるスタッフでチームをつくり、家の中を任せたい」という構想は、必要に迫られてのことだったのかもしれません。

“お手伝いさん”というと受け身の仕事のように思われがちですが、私たちの仕事はむしろ「家という空間を一緒につくっていく」という雰囲気です。基本のハウスキーピングはもちろん、クローゼットやシューズボックスの配置を見直したり、書類を仕分けしたり、やがては出張に同行させていただいたり、新しい物件のWICの配置を決めさせていただいたり......。

ありがたいことに、仕事の幅は日を追うごとにどんどん広がっていきました。前澤さんが大切にしている「挑戦」という姿勢。私もその精神にならって、置かれた場所で挑戦をしたいと思うようになりました。

あるとき、前澤さんが出張で家を空けている間に、収納の配置や衣装部屋のレイアウトを思い切って変えてみたことがあります。帰宅後にどう言われるか内心ドキドキでしたが、「えっ、こんなことまでやってくれたの? 感動したよ、ありがとう」と声をかけていただいたときは、本当に嬉しかったですね。

それから、前澤さんが大切にしているもうひとつの姿勢が「神は細部に宿る」という考え方です。物件をつくり上げる工程では、何度も打ち合わせを重ね、1mm単位での調整を繰り返すのは当たり前。ものづくりに対するこだわりは徹底しています。

そしてその姿勢は、毎朝つくるラーメンにまで表れているんです。使用する道具や温度、時間、とにかく細部まで、とことんこだわる。そんな前澤さんのそばにいると、もともと軽い気持ちで応募してしまった私まで、自然と細部に目がいくようになってしまうんです。不思議ですよね。

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TEXT=箕輪厚介+幻冬舎編集部 編

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