日本フットサルリーグ(以下、Fリーグ)の松井大輔理事長が2024年6月28日の就任から間もなく1年を迎える。欧州でも活躍したサッカー元日本代表。現役時代のキャリア終盤はFリーグとJリーグの二刀流で活動した。フットサルとサッカーの垣根を越えたフットボールの発展を願い、Fリーグの先頭に立って改革を進めている。

フットサルを老若男女問わず楽しめるスポーツに
Fリーグ理事長就任時に掲げたスローガンは「プティ・ダ・プティ」。フランス語で「少しずつ」を意味する言葉だ。日本フットサル界を取り巻く環境を1歩ずついい方向に変えていくとの思いを込めた。
松井理事長は就任から1年を迎え「自分としては、まだまだできることがたくさんあると思っている。Fリーグをもっと楽しいリーグにしたい。地域と一体になって老若男女の人達が楽しめる、プレーを通して皆が健康でいられるスポーツになればと思っています」と決意を新たにした。
現役時代はJ1京都パープルサンガ(現京都サンガ)やフランス1部ル・マンなどで活躍。ロシア、ブルガリア、ポーランド、ベトナムでもプレーした。
日本代表としては国際Aマッチ31試合に出場し、2010年W杯南アフリカ大会では主力として16強入りに貢献。2021年にはFリーグのY.S.C.C.横浜と契約してフットサルに電撃参戦。2022年にはJ3リーグのY.S.C.C.横浜にも加入し、サッカーとフットサルの二刀流にも挑戦した。
2024年に現役引退後はFリーグのアンバサダーに就任。サッカーで輝かしい実績を残しながら、今はフットサルに軸足を置いている。
「僕にとって理事長就任はチャレンジ。人生においてチャレンジし続けることは、自分自身の信念として掲げています。人と違う道、自分しか歩めない道を進みたい。サッカーとフットサルの二刀流の第一人者として、この役割は自分にしかできないんじゃないかなと思い、理事長を引き受けました」
女子Fリーグの明るいニュース
Fリーグの発展に向け、松井は5つのミッションを設定している。
①クロスボーダー(世代や地域、フットサルとサッカーなどあらゆる垣根を越える)
②グローバルマインド(欧州や東南アジアのチームや選手、ファンと交流する)
③ネクストジェネレーション(若い世代がサッカーとフットサルの両方に取り組める環境を整備する)
④ファンビルド(ファン、特に女性ファンを増やす)
⑤ソーシャルグッド(社会貢献活動)
これらの活動指針に沿って施策を実施し、2025年5月にはインドネシアフットサル連盟と戦略パートナーシップ協定を締結した。今後は選手、指導者、審判の交流などに加え、将来的にはカップ戦に海外クラブを招待することなども検討していく。
松井理事長は「東南アジアはサッカーだけでなくフットサルも非常に盛んで、フットサルをツールに異文化交流をしていきたいと考えていました。この提携をきっかけに、クラブ間・地域間の交流がより活発になり、互いに協力し合える関係を築ければ嬉しい。戦略的に動いていきたい」と視線を上げた。
就任から1年の節目を前に明るい話題も届いた。女子フットサル日本代表が5月に中国で開催されたアジア杯で優勝。11月に初めて開催される女子フットサルW杯の出場権を獲得した。
2016年に創設された女子Fリーグは、男子に比べて認知度が低く集客にも苦しんできた。それだけに、松井理事長の期待も大きい。
「女子にもめっちゃ期待しています。日々の練習、努力が実った優勝。Fリーグに大きな光をともしてくれたと感謝しています」
フットサルもサッカーも、大きなくくりでは同じフットボール。現役時代と変わらぬ情熱を持ってFリーグの未来を切り開いていく。
松井大輔/Daisuke Matsui
1981年5月11日京都府生まれ。9歳でサッカーを始める。2000年に鹿児島実業高から京都パープルサンガに加入。フランスのル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブルなどで活躍し、ロシア、ブルガリア、ポーランドなどでもプレーした。2021年にY.S.C.C.横浜フットサルと解約し、2022年1月にはJ3のYSCC横浜にも加入し、サッカーとフットサルの二刀流に挑戦。2024年2月現役引退を発表した。横浜FCサッカースクールコーチと、浦和レッドダイヤモンズのアカデミーのロールモデルコーチなどを経て、2024年6月にFリーグ理事長に就任。