クラブW杯(CWC)が2025年6月14日(日本時間15日)にアメリカで開幕する。2025年大会から、毎年ではなく4年に1度開催される新フォーマットに移行し、参加クラブ数も従来の7から32へと拡大。日本勢で唯一の出場となる浦和レッズのGK西川周作は「浦和レッズの名前を世界に知らしめたい」と世界一決定戦に臨む。#1 #2

脳裏から離れない2年前の悔しい光景
浦和レッズにとって2007年、2017年、2023年に続く4度目のクラブW杯の開幕が迫ってきた。守護神の西川周作はサンフレッチェ広島時代の2012年、浦和レッズ加入後の2017年、2023年大会を経験。自身4度目となる大舞台を目前に控え、脳裏には2年前の光景がよみがえっていた。
サウジアラビアで開催された2023年大会の準決勝で世界的強豪のマンチェスター・シティ(イングランド)に0-3で完敗。続く3位決定戦でもアル・アハリ(エジプト)に2-4で敗れて4位に終わった。
「クラブW杯で印象に残っているのは、マンチェスター・シティ戦。あの時のサウジアラビアの光景は忘れることができない。本当に悔しかった。泣いて悔しがるファン、サポーターもいた。次に世界と戦う時はサポーターにああいう思いをさせたくない。僕たちは結果を求めてアメリカに行く。しっかり戦って浦和レッズの名前を世界に知らしめたい」
インテルやリーベル・プレートを対戦
2000年にスタートしたクラブW杯は2025年大会から大幅にリニューアルする。6大陸王者と開催国代表による従来のミニトーナメントから、参加国が32チームに拡大。各4チーム8組に分かれて1次リーグを行い、16チームによる決勝トーナメントを実施するフォーマットになった。
賞金総額も10億ドル(約1440億円)と破格だ。大陸ごとに設定額が異なる参加賞金だけで、浦和レッズは955万ドル(約13億7000万円)を獲得。1次リーグは1勝につき200万ドル(約2億8600万円)、引き分けごとに100万ドル(約1億4300万円)、決勝トーナメントに進出すればさらに750万ドル(約10億7500万円)のボーナスを得る。
浦和レッズは1次リーグの初戦でリーベル・プレート(アルゼンチン)、第2戦でインテル・ミラノ(イタリア)、第3戦でモンテレイ(メキシコ)と対戦。西川は過去3大会との違いをヒシヒシと感じている。
「大会形式が変わって初めての大会。本当に楽しみだなという気持ち。相手がどこだろうと気持ちで負けてはいけない。チームがうまくいかない時間もあると思うので、耐えることが大事。1戦目がいかに重要かというのはこれまでの経験から感じている。いい準備をして、世界を驚かせるためにも初戦で勝ち点を奪いたい」
大勢の浦和サポーターも現地に駆けつける見通しだ。FIFAがクラブW杯に出場する各クラブのサポーターのために確保したファンチケットの販売数は1次リーグ3試合の合計で5500枚を突破している。
初戦で対戦するリーベル・プレートのサポーターも熱狂的で知られ、日本開催だった2015年大会ではアルゼンチンから約1万5000人のファンが大挙した。大阪の名所・道頓堀を占拠してパトカー10台以上が出動する騒ぎも起こしている。
両サポーターがつくりあげるスタジアムの雰囲気にも注目が集まるなか、西川は「僕たちのために時間を使ってお金を使って足を運んで応援してくれる皆さんがいる。サポーターの方の力が本当に必要になる」と強調した。
チームは6月5日に開催地の米国入り。ベースキャンプ地オレゴン州ポートランドで合宿を行っている。2022年アジアチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝して出場権を勝ち取った2025年のクラブW杯。3年前から移籍や引退でチームを離れた選手も多い。
西川は「今いる選手だけじゃなくて、今までのACLを戦った選手だったり、浦和の歴史を築いてきたいろんな人の思いがつながっている大会でもある」と力を込めた。
目標は決勝トーナメント進出。2026年夏にW杯を控える日本代表より一足先に、世界を驚かせる挑戦が始まる。
西川周作/ Shusaku Nishikawa
1986年6月18日大分県生まれ。大分トリニータの下部組織で育ち、2005年にトップ昇格。2005年ワールドユース(現U-20W杯)、2008年北京五輪など各世代の日本代表を経験。2010年にサンフレッチェ広島へ移籍し、2014年に浦和レッズに加入。Jリーグ・ベストイレブンを6度受賞。国際Aマッチ通算31試合。左利き。身長183cm、体重81kg。