PERSON

2025.06.18

GLAY・HISASHI「同期のバンドが活動休止や解散を選ぶなか、僕たちは“続けること”を選んだ」

大きな節目に4人が振り返るのは、目にしたあの時の絶景。そして、これから目の当たりにするであろう、幸せな景色とは。GLAYの旅路を4人それぞれが大いに語る。HISASHI編。

GLAY・HISASHI氏
Tシャツ¥12,100(オベリスク/オベリスク TEL:03-5833-0737)、ジャケット¥157,300、パンツ¥48,400、ブーツ¥89,100(すべてキリュウキリュウ/キリュウ TEL:03-5728-4048)、その他スタイリスト私物

30年の軌跡とまだ見ぬ景色

「やはり自分も、TERUと同じく1999年の幕張の景色が最も印象に残っていますね。あれから渋谷の街はすっかり変わりましたけど、メッセの駐車場だけはあの時のまま。たまにドライブであのあたりに行くと、駐車場の入口ゲートに組まれたステージから眺めたホテルの風景などがふっと蘇ります。あの暑い夏の一日が“伝説”になっているらしいですが、まあ、冷静に考えたら、普通はあんなことやらないですよね(笑)」

そう語って大きく笑うHISASHI。口ぶりは軽やかだが、その笑顔の奥にはあの光景を見届けたものだけが知る確かな手応えが感じられた。20万人という空前のスケールを前にしたあの絶景は、メンバーそれぞれにとってもかけがえのない記憶だったのだろう。そしてそれはきっと、GLAYというバンドだからこそ見えた景色でもあるとHISASHIは続ける。

「当時は毎日が激動すぎて、あのステージも“20万人の特別な一日”というより、1本のライヴという感覚だったかもしれないですね。大変ではあったけれど、次の週にはツアーも控えていたし、振り返る余裕もあまりなかった。その後、同期のバンドが活動休止や解散を選ぶなかで、僕たちは“続けること”を選んだ。その選択をしたからこそ、TAKUROが語っていた氷室さんとの共演もかなったし、YOSHIKIさんともステージに立てた。しまいには、コロナ禍の無観客ライヴという壮絶な景色も経験しました。でもそういう経験を重ねたからこそ、まだ見ぬ景色が待っていると思えます。だから、バンドをやめるという選択にはいたらないんです」

GLAY・HISASHI氏

気さくさと知性で肩の力を抜く役割も

HISASHIといえば、バンド内でもひときわ個性が際立つ存在だ。クールなルックスにエッジの効いたギタープレイ。ビジュアル系と呼ばれた時代の記憶を纏いつつも、実際には古今東西のサブカルチャーに精通し、メディアやSNSでの茶目っ気のある振る舞いが、独特の親しみやすさを生んでいる。華やかなスター性がありながら、決して気取らない。GLAYというバンドが持つ自由な空気感や多様性を、HISASHIという存在が色濃く象徴している。

「最初は、自分が尊敬する方の番組には出演しようというスタンスだったんですが、でもじきに関係なくなっちゃいました(笑)。『相席食堂』に出演したときには、さすがに周りから驚かれました。昨年末からも、いろんな番組から声をかけていただき、本当にありがたいですよね」

YouTubeでは『HISASHI TV』という自身のチャンネルを運営し、ギタープレイ映像やメンバーとのトーク企画に加え、ジャンルを超えたゲストとのコラボレーションも人気を博している。登録者数は15万人超。GLAYのギタリストだけでない存在の広がりがそこにある。

「あれはコロナ禍で表に出る機会が減った時期に始めました。カタカナ禁止の飲み会企画とか、ああいうゲームを普段やってるわけではないですが、メンバーと和気あいあいとやっている、楽しくバンドをやっているという感じは伝わったんじゃないかな。さすがに昨年から30周年のイベントが続いたので更新をお休みしてますが、タイミングを見て再開する予定でいます。まあ単純に、人が好きなんです(笑)」

GLAY・HISASHI氏

時代のうねりをバンドの力にかえて

30年という年月の体感は? という問いに、HISASHIは少し間をおいて、こう答えた。

「歴史的な出来事が、常にBGMのようにあった気がしますね」

1994年にデビューを果たしたGLAY。そこからほどなくして阪神・淡路大震災が起き、地下鉄サリン事件が日本を揺るがした。そして未曽有の東日本大震災と、世界を巻きこんだ新型コロナウイルスの感染拡大。GLAYの活動の裏には、いつも社会の大きなうねりがあった。

「そんな状況下で僕らに何ができるだろうかと、その時々で相当考えましたよね。音楽の力は微々たるものかもしれないけれど、誰かひとりでも明るい笑顔になれば、そういう気持ちでずっとやってきました」

GLAYとして歩んできた30年は、2025年5月31日・6月1日の東京ドーム、6月8日の京セラドーム大阪で締めくくられる。

「今年の2月にLUNA SEAとの対バン『The Millennium Eve 2025』に参加できて、とても嬉しかったんです。やはりドームは空気感がまったく違う。スケールが別格というか、演奏する側もかなり身構えないと、飲みこまれそうになる感覚がある。見に来られる方は予備知識なしでも絶対に楽しめると思います。僕らはもう全力で、最高のファイナルをお届けするだけです」

ここから何が起きるかはまだ誰にもわからない。しかし、まだ見ぬ景色はきっとその先にもあるはずだ。そしてHISASHIは、ギターとともにその風景のなかへしっかりとその歩みを進めていくに違いない。

GLAY・HISASHI氏
GLAY・HISASHI氏
GLAY・HISASHI氏

GLAY
北海道出身のロックバンド。TAKURO(Gt.)とTERU(Vo.)を中心に1988年に結成。1989年にHISASHI(Gt.)、1992年にJIRO(Ba.)が加入し現在の体制となり、1994年にメジャーデビュー。30周年を迎える2024〜25年にかけては「GLAY EXPO」というテーマを掲げ、さまざまな活動を展開。2025年4月には30周年記念ベストアルバム『DRIVE 1993〜2009 -GLAY complete BEST』、『DRIVE 2010〜2026 -GLAY complete BEST』を2タイトル同時リリースした。

TEXT=畠山里子

PHOTOGRAPH=HIRO KIMURA(W)

STYLING=Takeshi Sakazaki(StyleLAB.)、Masashi Iimura(StyleLAB.)

HAIR&MAKE-UP=Takayuki Tanizaki(Fats Berry)、Takahiro Hashimoto(SHIMA)

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