PERSON

2025.06.17

GLAY伝説の20万人ライブ。TERUを変えた「一生に一度の絶景」

大きな節目に4人が振り返るのは、目にしたあの時の絶景。そして、これから目の当たりにするであろう、幸せな景色とは。GLAYの旅路を4人それぞれが大いに語る。TERU編。

GLAY・TERU氏
ジャケット[参考商品]、ベスト[参考商品]、パンツ[参考商品](すべてキリュウキリュウ/キリュウ TEL:03-5728-4048)、シャツ¥38,500(ガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL:03-6427-9087)、その他スタイリスト私物

歌に変化をもたらしたターニングポイント

メジャーデビューを果たして6年目の1999年。GLAYはまさにその頂に立っていた。新作は軒並みミリオンを記録し、チャートは常に一位を獲得。ツアーは満員御礼が当たり前となり、音楽賞を総なめにしながら、NHK紅白歌合戦にも連続出場。名実ともに国民的ロックバンドとして、不動の地位を築いていた。その年の夏、GLAYは音楽史に残る大記録を打ち立てる。7月31日、幕張メッセ駐車場に設営された特設ステージで開催された『GLAY EXPO ʼ99 SURVIVAL』。一日で20万人のオーディエンスを集めたこのライヴは、四半世紀を過ぎた現在も語り継がれる伝説だ。

「僕にとっては、あの20万人ライヴのステージ上から見た光景が、この30年間で最も目に焼きついている景色です。あれは一生に一度、見られるかどうかの絶景。その瞬間を体感したことで、“歌うこと”に対する考え方が変わりました」

独特のハスキーヴォイスに、しなやかな伸びを持つTERUのヴォーカルは、メロディアスな楽曲と響き合い、さらなる高みへと導いてきた。だが、20万人という途方もないスケールの観客を前に歌った日を境に、彼のなかで“届ける”という行為の意味が変わっていく。どうすればよりたくさんの人に届けられるか。もっと心に響くにはどう歌えばいいかを試行錯誤するように。TERUにとっては、あの日の景色がひとつのターニングポイントになったとも語る。

GLAY・TERU氏

思いを届けるために自ら動き続ける

時にエモーショナルに、時に魂をぶつけるように歌い上げるTERUの歌声は、楽曲に生きた感情を吹きこむ。ステージに立てば圧倒的なカリスマ性を放つが、ひとたびマイクを置けば、親しみやすく柔らかな人柄で、周囲の人々を魅了する。さらに彼には、もうひとつの顔がある。自分の言葉に責任を持ち、思いを必ず成し遂げる。そんな誠実な有言実行の人でもあるのだ。

2025年4月にリリースされた30周年のベストアルバムでも、その姿勢が見事に結実。TERUの熱い思いに応える形で、漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏、そして日本を代表する音楽家・小田和正氏、ふたりの偉大なアーティストが、スペシャルゲストとして名を連ねた。

「尾田先生はJIROとご縁があり、10年ほど前に札幌で日ハムの始球式をした際にお会いしたのが最初です。お付き合いはもう7年になるかな。今回の30周年のキービジュアルをどなたにお願いしようかという時に、真っ先に尾田先生のお名前が浮かんだのですが、それにはまず自分のほうから想いを直接お伝えしなければと思って。自分の言葉で長い文章を書きました。快く引き受けてくださった時は本当に嬉しかったですね」

もうひとりの夢の共演者である小田和正氏とのコラボレーションも、始まりは同様だ。

「数年前、GLAYがap bank fesに出演した際、ちょうど前日に小田さんのライヴを拝見したんです。広いステージを自在に動き回りながら歌うその姿が印象的で、自分が目標とする60代はこうありたいと強く思いました。その後、TAKUROから30周年は誰と一緒にやりたい? と聞かれた時に『無理だとは思うけれど、小田和正さんにお願いしてみたい』と伝えたんです。それがおよそ3年前のこと。そこから準備を始め、2024年には4人でビデオレターを撮影し、まるでラブレターを渡すような気持ちで送りました。そこからどんどん話が進んで、今回のレコーディングにつながりました」

まさか実現するとはという気持ちもありつつ、何よりも想いを伝えることを諦めないというTERUの姿勢が、道を開いたのは語るまでもないだろう。

GLAY・TERU氏

夢の続きをこれからも4人で

もうひとつ、長年のファンにはおなじみの“TERUの夢”がいよいよ現実になろうとしている。2016年に開催されたファンクラブライヴのMCで彼はこう宣言した。「10年後にヴェネチアでライヴをやります」と。

「友人にヴェネチアングラスの作家がいて遊びに行ったんです。サン・マルコ広場を散歩していたら、ふと『ここでGLAYの音楽が聞こえたら最高ですね』と言われて。当時は冗談半分でしたが、帰国後に写真を見返して、こういう夢を持つのもいいなと思うようになって」

突拍子もないと受け取られがちだが、TERUはその後、現地の関係者と会合を重ね、メンバーをヴェネツィアにひとりずつ連れて行くなど着々と準備をしてきた。そして今は、開催日を決めるだけという段階にまで近づいている。

ひとつの想いがやがて人を動かし、景色を変える。その中心にはいつもまっすぐな言葉を信じて突き進むTERUの姿がある。来年、彼の歌声がサン・マルコ広場に満ちみちるその瞬間。それはきっと彼の人生にまたひとつ忘れられない絶景となって、深く刻まれることだろう。

GLAY・TERU氏
GLAY・TERU氏
GLAY・TERU氏

GLAY
北海道出身のロックバンド。TAKURO(Gt.)とTERU(Vo.)を中心に1988年に結成。1989年にHISASHI(Gt.)、1992年にJIRO(Ba.)が加入し現在の体制となり、1994年にメジャーデビュー。30周年を迎える2024〜25年にかけては「GLAY EXPO」というテーマを掲げ、さまざまな活動を展開。2025年4月には30周年記念ベストアルバム『DRIVE 1993〜2009 -GLAY complete BEST』、『DRIVE 2010〜2026 -GLAY complete BEST』を2タイトル同時リリースした。

TEXT=畠山里子

PHOTOGRAPH=HIRO KIMURA(W)

STYLING=Takeshi Sakazaki(StyleLAB.)、Masashi Iimura(StyleLAB.)

HAIR&MAKE-UP=Takayuki Tanizaki(Fats Berry)、Takahiro Hashimoto(SHIMA)

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