「亀田の柿の種」「ハッピーターン」などでお馴染み、亀田製菓のCEOであるインド出身のジュネジャ・レカ氏のインタビューをまとめてお届け! ※2024年6月掲載記事を再編。
1.「亀田の柿の種」会長はインド出身! 社員約4000人を巻き込む、驚きのコミュニケーション術
“It was my destiny.”
「あなたは、なぜ亀田製菓にやってきたのでしょうか」という問いに、亀田製菓代表取締役会長CEOのジュネジャ・レカ氏はそう言いながら微笑んだ。
インド北部の都市ハリヤナ州で生まれ育ち、1984年に大阪大学工学部に研究生として入学。以来40年間、ジュネジャ氏は日本で暮らしている。2020年に亀田製菓に入社する前は、ロート製薬の副社長というポジションにいた。
「運命というかご縁というか。田中通泰前会長に誘われて、亀田製菓の若い人たちとお話をする機会があったのです。とてもたくさんのアイディアと可能性、躍進の種を持っているなと感じ入社を決めました。そもそも亀田の柿の種は大好きでして、ずっとカバンの中に入っていたんですよ(笑)。昔からインドに帰る際やアメリカ出張の際はお土産として亀田の柿の種を持っていっていましたが、どこに行っても大人気でしたよ」
2.亀田製菓インド出身会長は「カテキン」の生みの親だった! 研究者から経営者へと転身した、不屈の仕事魂
2022年に亀田製菓代表取締役会長CEOに就任したジュネジャ・レカ氏。アレルゲンの少ないグルテンフリーの米菓は世界にこそ売り出すべきだと、海外事業に力を入れ会長就任後、海外事業部の売り上げを約1.5倍に増加させた。
その仕事人としてのキャリアは、意外にも研究者からスタートしている。
「インドの大学院で微生物を研究し、1984年に大阪大学へ研究員としてやってきました。当時のインド人の先輩が『これからは日本だ、日本に行きなさい』とアドバイスしてくれたことがきっかけです。まさに微生物研究では日本がトップ、日本のGDPも当時インドとはかけ離れて高かったのです」
インドから家族を連れて日本にやって来たジュネジャ氏。寝食を忘れ研究に没頭するあまり、他の研究員に「奥さんと仲が悪いから家に帰らないんですか?」と訝しがられたこともあったという。
「『妻とは仲良しですよ。でも微生物は眠らないので、私も寝ないのです』とその時は返しました(笑)。仕事こそ私の魂。そう思っていますから、休まず仕事をするのは今でも当たり前のことなんです。ワークライフバランスが叫ばれている今の時代には逆行しているかもしれませんが(笑)」
3.「ずばり、ジュガード」スタバ、Google…“インド出身CEO”が世界の大企業を席巻している理由【亀田製菓会長が分析】
シャネル、スターバックス、YouTube、そしてGoogleを傘下にもつアルファベットなど、現在世界の名だたる企業のトップはインド人だ。
1984年に来日して以降、食品素材メーカーの太陽化学、ロート製薬で副社長をつとめ、現在は亀田製菓代表取締役会長CEOであるジュネジャ・レカ氏は、ビジネス界におけるインド人の強さをこう分析する。
「ずばり、フレキシビリティーでしょう。インドにはJugaad(ジュガード)という言葉があります。これは『限られたリソースを使用して効率的なソリューションを即興で提供する』という意味です。つまりどんな逆境でもけっして諦めないということ。
例えばビジネスにおいて、人がいない、金がない、時間がない、という状況は多くあるでしょう。これは私たちインド人にとっては『できない理由』にはなりません。単なる課題だと捉えているのです。人がいないならどうすればいいか、金が、時間がないならどうすればいいか、常にフレキシブルに解決策を探る。インド人には逆境のなかでチャンスを掴むという気持ちがとても強いんです」