「カラダは究極の資本であり、投資先」を唱え、予防医療の普及に力を注ぐ堀江貴文氏と、血液のがんにかかったのを機に、身体についてはもちろん生き方までも見直した岸博幸氏の対談をまとめてお届け! ※2024年5月掲載記事を再編。
1.「金を使うなら、健診に使え!?」人間ドックを毎年受ける堀江貴文、5年ぶりに受けた岸博幸
岸 僕は今、血液のがんと言われる多発性骨髄腫の治療中ですが、病気が判明したのは、5年ぶりに受けた人間ドックで、でした。当時60歳でしたが、体力にはすごく自信があったから、人間ドックはおろか、勤務先で毎年行われる健康診断すらずっとスルーしていまして。疲れやすくなったことと周囲から顔色が悪いと指摘されたのがきっかけで、久しぶりに受診したら、病気が見つかったというわけです。ずっと政策に関わってきて、医療費抑制のためには予防医療が重要だと認識していたのに、自分の身体に関してはまったくできていなかったと、今更ながら反省しています。
堀江 学生時代までは学校で年に1回健診を強制的に受けさせられますが、社会人になると状況が変わりますからね。中小企業のなかには、社員の定期健診を行っていないところもありますし。
岸 堀江さんは、人間ドックは毎年受けているんですか?
堀江 ええ、起業した24歳の頃から、定期的に受けていますね。加入している健康保険組合が提携している医療機関を利用したりして。
岸 そんなに若い頃から⁉
堀江 当時の共同経営者が健康に対する意識が高くて、「責任ある立場なのだから、健康チェックは必要だ」と勧められて。僕、意外と人の言うことを素直に聞くんですよ。
岸 全然そんな風には見えないのに(笑)。
堀江 いや、けっこう素直なんです(笑)。大学生の時も、虫歯が悪化して大学構内の病院に行ったら、担当医から「歯がきちんと磨けていない。磨けるようになるまで治療しない」と言われて、2週間くらいブラッシングの指導を受けましたね。歯の健康に関しては、あの時から意識していますよ。
2.抗がん剤の副作用期間が短くすんだ要因、運動習慣を無理なく持つにはどうすればいいのか【堀江貴文×岸博幸】
岸 昨夏、治療のために入院したんですが、通常だと6週間かかるところ、僕は4週間で退院できました。抗がん剤の副作用もあるにはあったけれど、5日くらいで治まり、わりとすぐに食欲も回復したんですよ。担当医いわく、それは、僕の基礎体力が高かったからだそうです。予防という意味ではもちろんですが、治療という観点でも、体力は大事だなと痛感しました。
堀江 運動の習慣を持つことは非常に大事ですね。僕もほぼ毎日運動していますよ。
岸 やっぱり体を動かすことは必要ですよね。僕も、医師に止められているので格闘技系はできなくなってしまったけれど、今も週2、3日くらい走っています。堀江さんはどんな運動を?
堀江 筋トレとストレッチはほぼ毎日していて、あとゴルフもしますし、冬はスノーボードにも行きますね。でも、周りを見ると、まったく運動しないという人がけっこう多いんですよ。東京オリンピックの開催で運動する機運が高まることを期待したんだけれど、コロナのせいでそうはならなかったし。
岸 「忙しくて運動できない」という人が多いけれど、1日30分程度の時間を確保するのは、それほど難しくないと思うんだけどな。堀江さんみたいに忙しい人でも毎日運動しているわけだから。
3.堀江貴文&岸博幸「イヤなことはできるだけ排除」頭と精神の健康を保つ大事な3要素とは
岸 僕は病気になったのを機に、考え方や人生観がかなり変わりました。余命を告げられ、残りあと10年をどう生きるかを考えた時に、「自分が好きなようにやるのが一番いいよね」という結論に達したんです。勝手かもしれないけれど、毎日を自分がハッピーになるため、楽しむために生きようと。もちろん、体力と最低限の財力は意識しながら、ですけど。
堀江 それから、頭はいつまでもクリアでないと。そのためには、睡眠も大事。
岸 確かにそうですね。
堀江 これは以前から言われていることですが、脳に入った情報はいったん海馬に保管され、海馬が長期記憶として残すべきだと判断すると、大脳皮質に送ります。イメージでいうと、その過程で不要なものはゴミとして処理されるわけですが、その掃除がうまくいかないと、ゴミがどんどんたまってしまうんですよ。このゴミが、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症の一因とされているんですが、最近、睡眠中に脳波の変化が起こることとゴミ掃除が関係しているとする論文が出ていて。つまり、頭がクリアであり続けるには、睡眠も非常に重要だと。