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2024.07.20

【富樫勇樹×河村勇輝】パリ五輪 直前インタビュー「気持ちを切り替えて、次に挑めるかが重要」

2023年に開催されたFIBA バスケットボールワールドカップ 2023で、見事、パリ五輪出場権を獲得したバスケットボール男子日本代表。国内では、発足から来年で10年を迎えるBリーグの爆発的な人気と相まって、その活躍が大いに期待されている。日本代表の主将としてチームを五輪出場に導いた富樫勇樹選手と、人気・実力ともに日本代表のこれからを担う河村勇輝選手。ふたりのキーパーソンが沖縄での思い出と五輪への意気込みを語る。

河村勇輝選手と富樫勇樹選手

沖縄を経てパリで燃やす、Wユウキの静かなる熱情

都内某所の撮影スタジオ。端正に仕立てられたラグジュアリーブランドのスーツに身を包んだふたりの姿は、そのスマートな佇まいからしてみれば、若きビジネスパーソンと見まがう風貌だ。だが、スポーティなウェアに着替え、フォトグラファーがドリブルやシュートの動きをリクエストすると、その刹那、空気はガラリと一変。俊敏な動きとボールさばきに、その場にいた全員が彼らのプレイに瞬時に釘付けに。目の前にいるのは世界レベルのトップアスリートだということを、改めて確信させられることとなった。

富樫勇樹と河村勇輝。ともにジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の爆発的な人気を支える中心的存在だ。と同時に、バスケットボール男子日本代表・アカツキジャパンの一員として、日本のバスケットボールを世界レベルへと押し上げてきたキーマンでもある。

昨年夏に開催され大きな話題となったFIBAバスケットボールワールドカップ 2023では、日本代表の一員として世界の強豪国を相手に激闘を展開。パリ2024オリンピック・パラリンピックへの出場権を、見事に獲得したのも記憶に新しい。自国・沖縄の地で獲得した、念願の五輪自力出場権。日本のバスケットボール競技を牽引するふたりにとっても特別な感慨を持って闘ったであろう大会を、改めて振り返ってもらった。

沖縄という地の利がチームに有益に働いた

「2023年のW杯は、試合数を重ねていくごとに、沖縄全体で応援していただいているという空気を生で感じていました。しかもそれが自分が幼少期からプレイしてきたバスケットボールという競技で、さらには母国である日本の地でという状況がとても嬉しくて。2021年の東京五輪、去年のW杯と、年齢的にもいい状態の時に自国開催の大会に参加できたことは、とても運がよかったと思います。そしてパリ五輪を自力で決めることができたということも、とても感慨深いです」(富樫)

富樫勇樹選手
富樫勇樹/Yuki Togashi
1993年新潟県生まれ。18歳でプロ選手となり、bjリーグ、NBAのダラス-マーベリックスと契約後、傘下のテキサス・レジェンズでプレイ。2015年よりBリーグ千葉ジェッツで活躍する。2011年より男子日本代表に選出。2023年のW杯に続き、パリ五輪でも主将を務める。

「ホームアドバンテージのような感覚は、大会中ずっと肌身に感じていました。多くの方が試合に駆けつけてくださって、いつも以上に声援を感じましたし、パリ五輪の出場権獲得も、皆さんの応援があってこそ成し遂げられたもの。強豪国に勝つイメージを保ちながら、絶対に目標を達成しなくてはならないという緊張感があったW杯。沖縄のゆったりした空気が過度な強張りを和らげてくれたことも、チームに貢献できた一助になってくれたと思います」(河村)

ふたりが担うポイントガードというポジションは、攻守でフォーメーションの指示を出し、パスの配給役も兼務するなど、司令塔としてのリーダーシップが求められる。普段はそれぞれのクラブで活躍するふたりが日本代表としてチームに集い、五輪出場権がかかった大舞台で多大なる貢献をしたのは周知のとおり。河村が語ったように、沖縄ならではの開放感がチームビルディングに果たした効果もかなり大きかったようだ。

「沖縄では同世代の富永(啓生)選手とレンタル自転車で出かけたり、砂浜でゆっくり過ごしたりしていました。ふだんはホテルで休むことが一番リラックスできる方法ではあるのですが、チームメイトとのコミュニケーションを図るという意味では、互いがオープンになれる場所で話す機会をつくるのも、楽しさ以上に大事なことのひとつなのだと感じました」(河村)

ボードゲームに興じる
W杯期間中のオフにはホテル近くのボードゲーム店で富永選手とゲームに興じることも。「店内に100種類ぐらいボードゲームがあり、お薦めされたゲームを無心で遊んで、緊張感を和らげました」(河村)

「僕は渡邊(雄太)選手とタコスを食べに行ったり、沖縄そばを堪能したり(笑)。宿泊場所が海沿いで、少し歩けばビーチがあったりとリフレッシュできる環境もチームにとってプラスに働いた感はあります。大会期間が長いと、気持ちを切り替えて次に挑めるのかがとても重要です。食やアクティビティなどでさまざまな選択肢があった沖縄は、そういう意味でもとてもよかったなと。年齢差などに関係なくチームとしてまとまることができた要因のひとつだったと思っています」(富樫)

タコス
意外にも食事は気をつけすぎておらず、現地の食事を楽しんでいたという。「渡邊選手とタコスを食べに行ったりしていました。沖縄のタコスは生地が特徴的で、美味しかったです」(富樫)

Bリーグのさらなる隆盛。そして五輪での勝利へ

激闘の末に見事獲得したパリ五輪出場権。その後は、富樫は千葉ジェッツ、河村は横浜ビー・コルセアーズと、それぞれが所属するプロクラブに戻り、Bリーグのさらなる隆盛に貢献した。2015年に発足したリーグは、富樫を筆頭とするスタープレイヤーたちの活躍もあり、リーグ発足10年を控える今では試合チケットが入手困難な状況に。観客の男女比もほぼ同数と、大きな盛り上がりを見せている。

そして、歴史的な大舞台の場となるパリ五輪がいよいよ開会目前。富樫は前回の東京に続く2度目、河村にとっては初の五輪のコートで、2023年のW杯の覇者であり、同じグループで惜敗を喫したドイツと予選ラウンドの初戦に対峙。ふたりは静かに闘志を燃やす。

「五輪は各国の代表選手がW杯とはまた違ったレベルで挑む試合になると思うので、そのなかで1勝するということは決してひと筋縄ではいかないはず。ただ、W杯で得た多くの経験と、今までで最高のメンバーが揃ったという自信があります。皆さんの期待に応え、いい結果を出せるように頑張ります」(富樫)

「僕自身にとって初めての五輪ですし、チームとしてはベスト8という大きな目標を掲げる大会です。W杯で得た経験や自信を必ず還元できると信じていますし、日本に戻ってきた時にバスケットボールがさらに盛り上がるような試合をしたいと思っています」(河村)

河村勇輝選手
河村勇輝/Yuki Kawamura
2001年山口県生まれ。高校時代にBリーグ特別指定選手として、当時の最年少出場・最年少得点記録を更新。2022年に横浜ビー・コルセアーズとプロ契約を締結。同年7月日本代表に初選出。2022-23 Bリーグ初の個人6冠を達成。2023-24 Bリーグベストファイブ。

運命のパリ五輪予選ラウンド初戦は、2024年7月27日13時30分(日本時間同日20時30分)ティップ・オフ。NBA組も加わり、さらにパワーアップしたバスケットボール男子日本代表の激闘に、さらには両選手の熱いプレイに、日本から声援を送りたい。

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衣装クレジット:<富樫>ジャケット¥380,000、シャツ¥121,000、パンツ¥79,000[参考価格]、ネクタイ[参考商品](すべてディオール)、時計¥1,900,000(ディオール タイムピーシズ/すべてクリスチャン ディオール TEL:0120-02-1947) <河村>スーツ¥427,900、シャツ¥52,800、ネクタイ¥25,300、タイバー¥51,700(すべてトム ブラウン/トム ブラウン 青山 TEL:03-5774-4668)

TEXT=畠山里子

PHOTOGRAPH=HIRO KIMURA

STYLING=櫻井賢之

HAIR&MAKE-UP=鈴木竜也(for 富樫勇樹)、島徹郎(juice・for 河村勇輝)

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