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2024.07.04

「今って平成何年ですか?」男子バスケ8強入りのキーパーソン・八村塁が代表に合流!

NBAで2年連続プレーオフに進出した八村塁(26歳・レイカーズ)がパリ五輪に向け、約3年ぶりに日本代表に合流した。チームの軸として出場した2021年の東京五輪は、3戦全敗。五輪予選を兼ねた2023年夏のW杯はNBAシーズンへの準備を優先して欠場したが、3年前のリベンジを期すパリへの思いは強い。連載「アスリート・サバイブル」

日本代表に合流した八村選手

トム・ホーバスHCと直接話し、パリ五輪出場を決意

約3年ぶりの日の丸のユニホーム。2024年6月28日にスタートした、パリ五輪日本代表の最終候補メンバー16人による国内合宿。そこに合流した八村は冗舌(じょうぜつ)だった。

テレビカメラ15台、50人を超える報道陣が集結した注目の練習初日。取材ではスタッフが用意したマイクを使わずに、声を張り丁寧に質問に応じた。

「また日本代表に帰って来られて嬉しい。今まで一緒にやったことのないメンバーとできることが、すごく楽しみ。オリンピックの舞台に戻れることは光栄。思い切ってやっていきたい」

合宿の初日にトレーナー陣に挨拶した際には、「今って平成何年ですか?」と質問する“浦島太郎ぶり”も発揮。NBAで5季を戦い、2年連続でプレーオフに進出した経験を日本代表チームに還元する。

五輪予選を兼ねた2023年夏のW杯は、NBAシーズンへの準備を優先して出場を辞退したが、五輪切符を獲得した日本の戦いに興奮し「ずっと家で叫んでいた」と言う。

2023-2024年シーズン終了直後に、生活拠点を置くロサンゼルスでトム・ホーバスHC、東野智弥技術委員長と直接会談し、五輪出場の意志を固めた。

東京五輪後に発足したホーバス体制下では初のプレーとなる。パリ五輪開幕まで残された期間は1ヵ月弱。司令塔の河村勇輝(23歳・横浜BC)、3Pシューターの富永啓生(23歳)、2023年2月に日本国籍を取得したセンターのジョシュ・ホーキンソン(29歳・SR渋谷)ら半数以上の選手と初対面だが、融合に自信を見せる。

「トムさんがやるバスケは僕にも合っている。僕のオールラウンダーなプレーが発揮しやすいようなスタイル。以前は僕が一番年下だったけど、若い選手が増えて上の方になってきた。年下の人たちに僕がいい影響を与えられたら。そのなかでチームとしても上がっていけると思う」

2019年のW杯や2021年東京五輪でチームメートだった主将の富樫勇樹(30歳・千葉J)は、「何人かは塁と一緒にやってきているが、半分以上が会ったこともない選手。まだまだ時間はかかると思う。まずは塁が全員の名前を覚えるところから始まる」と強調した。

東京五輪の雪辱を果たす

NBAで日本人最長の6季を戦い、2024-2025年シーズンでのBリーグ入りを表明している渡邊雄太(29歳)が左ふくらはぎ肉離れで離脱中。五輪に間に合うか微妙な状況で、順調に回復した場合でもぶっつけ本番になる可能性が高い。コート内外でチームを引っ張る大黒柱の離脱により、八村への期待はより大きくなる。

2021年東京五輪に八村は主力として出場。スペイン、スロベニア、アルゼンチンと同組の1次リーグで3戦全敗を喫し、出場12ヵ国中11位に沈んだ。パリ五輪でのリベンジに懸ける思いは強い。

チームの掲げるパリ五輪の目標は8強入り。1次リーグで開催国のフランス、2023年夏のW杯を制したドイツと同組。残り1枠には2024年7月2日からラトビアで開催されている最終予選を制したチームが入る。

チームは2024年7月5日、7日に有明アリーナで韓国代表、同19日にベルリンでドイツ代表と強化試合を行い、本番を迎える。

1次リーグ突破は簡単ではないが、八村は「東京五輪は全然いい結果が出なかった。次の五輪ではどれだけ僕たちが成長しているかを見せたい」と力を込める。

五輪のバスケットボール競技の1次リーグは、パリから北に約250km離れたリールで開催される。パリでプレーできるのは決勝トーナメントに進出した8ヵ国のみ。ホーバス・ジャパンが花の都にたどり着くためには、八村の躍動が不可欠だ。

八村塁/Rui Hachimura
1998年2月8日富山県生まれ。ベナン人の父と日本人の母を持つ。富山・奥田中時代にバスケを始め、宮城・明成高で全国高校選抜優勝大会3連覇を達成。U-17世界選手権で得点王に輝き、米ゴンザガ大へ進学。2019年6月のNBAドラフトで1巡目全体9位指名でウィザーズに入団した。2023年1月にロサンゼルス・レイカーズに移籍し、2022~23年、2023~24年シーズンと2年連続でプレーオフに進出。日本代表として2019年W杯、2021年東京五輪に出場した。ポジションはパワーフォワード。身長203cm。

■連載「アスリート・サバイブル」とは……
時代を自らサバイブするアスリートたちは、先の見えない日々のなかでどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「アスリート・サバイブル」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

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TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=長田洋平/アフロスポーツ

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