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2024.06.11

森田恭通/経営とは美の集積である。 日本最大のろうそく会社社長から学ぶ、ビジネスの「次の一手」を見つける方法

日本のろうそくのシェア50%を占めるカメヤマローソク最大の旗艦店をデザインした森田恭通氏。都会に位置せずとも、人を呼べる施設にしたい。経営者から教えられたビジネスの新発想とは。デザイナー森田恭通の連載「経営とは美の集積である。」Vol.47。

カメヤマローソクタウンストア
森田氏がデザインした、三重県亀山市のカメヤマローソク最大の旗艦店「カメヤマローソクタウンストア」。カメヤマローソクが取り扱う多彩な商品が、カテゴリーごとに見やすくラインナップされている。

社屋をエンタテインメント施設に

日本でろうそくといえば、カメヤマローソク。国内シェアの50%を占めていると言われ、誰もが手に取っているのではないでしょうか。3年後に創業100周年を迎えるこの会社は、三重県亀山市に広大な敷地を持ち、2024年5月にカメヤマローソクタウンの名で一大エンタテインメント施設として新たにオープンしました。

その中でろうそくなどを物販する旗艦店「カメヤマローソクタウンストア」のデザインを、会長の谷川花子さんが依頼してくださいました。

亀山市は東京や大阪から気軽に行ける場所ではありません。だからこそ谷川会長は「ここにしかないもの、わざわざ行ってみたくなるような世界観をつくってください」と要望いただきました。

改めて勉強させていただいたところ、カメヤマローソクには驚くほどの商品カテゴリーとバリエーションがありました。ろうそくといっても神仏用などで使うものだけでなく、バースデーやお祝いの席で使うキャンドル、さらには災害用の常備品にいたるまで。私たちの身近にはさまざまなろうそくがあるんだなと改めて知る機会を得ました。さらにストアには一般的なろうそくのほかに水に浮かべることのできるフローティングローソクやLEDローソクなどもあります。この豊富で多彩なバリエーションを活かして、いっそ宝探しをしながら買い物できる、ミュージアムのような場所にしようと考えました。

もともとここは円形の建物。中を9つのエリアに分け、手前から奥に向かってだんだんと上っていく、ろうそくが映えるオフホワイトの空間をデザインしました。照明器具は77本の巨大なろうそく型ライト。浮遊感漂うような空間に、多彩な商品を並べることで、ろうそくの世界観に没入できる、体感型の空間へと昇華させました。

ストアに併設されているのは「灯MUSEUM」。薄暗い空間にたくさんのランタンをぶら下げ、そこではろうそくの灯りの美しさや炎による癒やしといった世界観を体感できます。またこの施設では、オリジナルのろうそくを作るワークショップなども開催し、大型バスで工場見学とセットになったツアーなどもあるようです。

地域の特性を最大限活かしたろうそくの総合エンタテインメント施設をつくるという谷川会長の考えこそ、地方創生や地方で素晴らしい技術や伝統工芸の会社を営み続ける方々にぜひ挑戦してほしいものだと思います。

今や多くの人々は商品にある背景を求めています。日清食品のカップヌードルミュージアムの成功例がそのひとつです。工場で製造工程を見てもらえば、企業側は安心と商品をPRする絶好の機会。もちろん、それによって社内も活性化するはずです。「こうやってできているのか」「こういう素材を使うのか」と、自分の目で見ることがその製品への愛着につながり、揺るぎない安心へとつながります。

そのほかにも、展示スペースを借りずにソーシャルメディアを通じて発信する選択肢もあり、さまざまなチャンスを得ることもできます。企業側は日々のルーティンである見慣れた風景でも、角度を変えてみたら新たな発見があるはずです。それらを次の仕事の一手に使う。そういった角度を変えてみることが、新しいビジネスにつながるのではないかと僕は思うのです。

森田恭通/Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」を主宰。

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井恵

PHOTOGRAPH=SEIRYO YAMADA

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