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2023.09.04

人気デザイナーが実践する、SNS時代の円滑なコミュニケーション術

自身の発言が意図とは異なって伝わることがある。言葉、文字、どちらにせよ、意見を主張する際には、言葉の真意をお互いに汲み取るコミュニケーション能力が求められる。デザイナー森田恭通連載「経営とは美の集積である」Vol.39。

高さ2mのワインボトル
ワイン好きなGMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏の還暦祝いに、友人とギフトを贈る際に森田氏がブルゴーニュワインをオマージュして作った高さ2mものボトル。奥様へサプライズをしたり、友人から相談される機会も多いサプライズ好きな森田氏ならでは。

自分の発言に覚悟と責任を持つべし

SNSやメディアを通じての発言が話題になる昨今。真摯に自分の言葉で発信しても、聞き手や読み手の価値観でいろいろな受け取り方が生まれることがあります。僕は正直、怖いなと思っています。

コミュニケーションツールのひとつにSNSが加わることにより、スピード感や手軽さが増し、よい意味で影響を及ぼすこともあれば、言葉が凶器になることもあると感じます。

そして時に、言葉の伝言ゲームは、往々にして尾ひれはひれがつくことも多くあります。僕の場合で例えるならば、グラス1杯のシャンパンを飲んでいたのが、森田がマグナムを開けていたという話になったり(笑)。

それぐらいなら笑い話ですが、誰かが誰かをこう言っていたという話が間違って伝わると、そのせいで仲違いが起きてしまうこともあります。これが活字になると、解釈が変わることもあるし、話が大きくなることもある。

とはいえ、誰もが批判を恐れ、口をつぐむような世界は困ります。僕は今までも、これからも、自分の意見をいつでも主張できる自由な世界であるべきだと思っています。

仕事の場でも時にコミュニケーション能力が問われる場に遭遇します。あまり起こることではありませんが、例えば相手の意見を覆さなきゃいけない場合や、時には話が本筋からずれてしまうこともあります。その際はデザイナーとして意見を述べるのではなく、必ず相手の立場になって、「こう思われたから、こうしようと思ったんですよね」とひと言添えます。「ただ、その場合の仕上がりはこうなります」と説明補足すると、相手は大概穏やかに聞いてくれます。

ネガティブな話をする際は、会話が一方的にならないよう気をつけるとともに、相手の立場に立つことで、不快にさせない言葉が見つかるのではないでしょうか。

スタッフに対しても同じです。注意が攻撃になってはいけない。だから話が一方的にならないよう、相手の意見をきちんと聞くよう常に心がけています。さらにコミュニケーションを取る際は、相手の年齢を加味することも必要だと思います。世代間には言葉の捉え方のズレがありますから、自分なりの伝え方があるとしても、伝え方を模索することも必要です。

僕の周りで抜群にコミュニケーション能力が高いのは、ゼットン創業者の稲本健一さん。パーティーやイベントでMCを頻繁に依頼されるぐらい、とても弁が立つ方です。

彼の口癖に「ていうか、ぶっちゃけ」という接続詞(?)があるのですが、彼は無意識にその言葉で「僕は本音を話していますよ」というスタンスを、相手に伝えているのだと思います。この言葉を聞いて腹を割らない相手を僕は見たことがありません。そんな言葉をさらりと言い、相手と本音で向き合う稲本さん。すごいなと思います。

過去の経験から、僕は「自分の言葉には覚悟、責任を持つべき」と思っています。そこを踏み間違えなければ、伝わり方に不安を感じる必要はないと思うのです。

また人はつい自分の話ばかりをしがちですが、仕事の場ではとくに意識して相手の話をじっくり聞く。これこそがコミュニケーションを円滑に進める秘訣ではないでしょうか。

森田恭通/Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」を主宰。

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井恵

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