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2024.04.29

「話せば分かる」より「離せば分かる」。同僚と気まずくなったときの対処法【芸人人気NO.1講師】

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「職場で意見のすれ違いがあり、溝ができてしまいました。仕事上、気まずくなった同僚と、どう接するべきでしょうか?」という相談をいただきました。

僕が講師をしている3つの学校でもそうですが、コロナ明けで対面の機会が増えたことで「思わぬすれ違い」「些細な対立」も増えているようです。

そこで今週は、「同僚と気まずくなったときの対処法、考えかた」を、ほぐしていきたいと思います。

真のコミュニケーション能力は、気まずくなったときに試される

まず、同僚との対立、すれ違いが起きることは、いたって健全です。刑事ドラマの相棒同士がモメたり、バスケの名コーチが選手と口論したりするのは“同じ目的をもっている”から。

職場とは、同じ目的をもつ人の集合体なので、いわば“気まずくなることが前提の組織”。すれ違いや対立は当たり前なんです。

また、職場の人間関係が悪くなったとき、「自分はコミュニケーション能力がないのかな……」と落ち込む人がいます。

しかし僕は、いつも生徒たちに「コミュニケーション能力というのは、周りとうまくやるスキルや、打ち解ける速さのことじゃないよ。“気まずくなったとき、関係を修復できる能力”のことやで」と伝えています。

とくに職場の同僚は“気まずくなることが前提のメンバー”なので、大切なのはモメないことではなく“気まずくなったとき、どんな振る舞いでリカバリーするか?”。そっちのスキルを身につけておくほうが重要なんですね。

ちなみにコンビ芸人は、四六時中いっしょにいるので、意見がすれ違ったり、溝ができたりすることは茶飯事です。

ですが、売れっ子コンビほど、この“気まずさ”を修復する能力に長けています。

では彼らはどうやって修復しているのか? その例を踏まえつつ、次のステップに進みましょう。

歩み寄るタイミングは、「悪いことしたかな?」が浮かんだら

もし、「溝」をつくってしまった原因があなたにあるなら、自分から埋める努力が必要になります。

「向こうにも非はあった」「自分から歩み寄るのはダサい」などの葛藤もあるでしょう。

しかし、職場のイザコザのほとんどは“傷ついているのは心ではなくプライド”です。過剰なプライドは会社と自分の利益にならないので、早めに兜を脱ぎ、軟着陸をめざすことをおすすめします。

売れっ子コンビは、タレントスキルが高いぶん、プライドもやや高い傾向があります。

個性の強い2人がモメると、それなりの軋轢が生じるのですが、彼らはうまく関係を修復しています。

あるコンビに「歩み寄るタイミング」を尋ねたことがあるのですが、2人はこんな返答をしました。

「単純だよ。“あっ、悪いことしたかな?”って感情が浮かんだときは、だいたい悪いことをしたときじゃん? だから“悪いことしたかな”と感じたら、ウチらはお互い素直に謝るんだよ」

実にシンプルかつ明瞭な答えでした。

心にもないのに、カタチだけ歩み寄ってもモヤモヤは続くだけ。胸の内に「悪いことしたかな」「こっちの落ち度だな」などのサインが出たら、それを素直に実行する。このテクニックは、あらゆる対人関係において有用でしょう。

「話せば分かる」より「離せば分かる」

最後に、「溝」ができてしまった原因が相手側にあり、向こうからの歩み寄りもないときの対処法です。

こんなときは、ムリに距離をつめようとせず、仕事に差し支えのない距離感をとって共生するのがベターです。

どうせ同僚とは、毎日顔を合わせるので“話せば分かる”より“離せば分かる”ことも多いからです。

大切なのは、いくら気まずさを感じても「ぶつかっている敵」と見なさないことです。

道で人とすれ違うとき、同じ方向によけてぶつかってしまうのは“お互いが気にし過ぎている”から。一方が気にしなければぶつかることはありません。

人間関係も、一方が気にしなければぶつかりませんし、すれ違っても、またいつかどこかで、めぐり逢うタイミングが来る。そんなもんなんです。

では、また来週お逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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