MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

PERSON

2024.03.05

旅慣れた富裕層を虜にする「アドベンチャーツーリズム」とは

物より体験に価値を見出す昨今。旅のスタイルも贅を尽くすだけでなく、知的興奮や感動を求める時代に。沖縄からそんな旅を発信するアドベンチャーツーリズムの最前線とは。【特集 エクストリーム旅】

沖縄アドベンチャーズ
沖縄でのアドベンチャーツーリズム

贅を尽くす旅より知的興奮や感動を味わいたい

経営困難だったUSJを再建し、その後“マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に!”を大義に設立した敏腕マーケター集団、刀。USJ時代から投資とリターンのファイナンシャルマネージメントをリードし、代表の森岡毅氏を支えたのがCFOの立見信之氏だ。その刀が知的興奮と感動で、世界の見え方が変わる旅を提供するアドベンチャーツーリズム事業を開始した。

立見氏自身、60ヵ国以上を周った旅のエキスパートだ。

「私は帰国子女。小学生の時はパラグアイに住んでいて、両親が南米各地に連れていってくれました。中学時代はエジプト。中近東やアフリカ各地を一緒に旅し、そのせいでしょうか、すっかり危険な土地に耐性ができて、強刺激体質になってしまいました(笑)。今も時間があれば、未知の場所を旅しています。そういったヒリヒリ感や、知らない世界を見たいというところは、現在のベンチャーという仕事にも通じるものがありますね」

そんな立見氏が今率いる事業が沖縄でのアドベンチャーツーリズムだ。昨今、世の中も富裕層を先頭に“贅を尽くす旅より知的興奮や感動を味わいたい”と、旅のスタイルが変化してきている。そもそもアドベンチャーツーリズムとは「アクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅」と定義されている。

「まずは世界的にも貴重な沖縄のやんばるの自然や固有の伝統文化など、豊富な観光資源から唯一無二の体験価値をつくりだし、国内外の方々に体験していただこうという目論見です」

しかし上がってきた旅の企画書に当初、立見氏の心は掻き立てられなかった。

「導き手として旅のエキスパートと、地域の魅力を伝える地元のガイドが少人数を案内し、自然に触れ、信仰や生活様式を聞き、自分自身で体験する旅。ガイドつきとは、なんだかいつもの旅より安全そうだな、と」

プライベートの旅ではレンタカーのハンドルを握り、さまざまな国の国境を巡る。そんな自分で旅をつくり上げるワクワク感を体験してきた立見氏は、ガイドありきの旅に物足りなさを感じたのだ。しかしその考えは、自ら体験して大きく変わった。

ガイド随行の旅から見えてくるものとは

「導き手、ガイドさんがいると、今までの自分の旅ではスルーしていた何気ない石や水溜りが、沖縄の人にとっては信仰の対象だったり、背景に壮大なストーリーがあると教えてもらえます」

普段は横目で通り過ぎた素朴な漁船も、サバニ船という琉球王国時代に生まれた漁船であることを知る。

「都市のホテルで働いていた男がその船に魅せられ、沖縄北部に移住して一艘一艘手で作っているんです。『一生をかけてサバニ船を世に復活させ、普及させたい』という彼の話を聞き、心から感動しました」

立見氏は出合ったことがない“旅の新しい価値”を、日頃仕事で余裕がない大人、そして過酷な受験戦争で疲弊する子供にこそ、体験してほしいと願う。

「こういう体験で、自分自身のものの見方がこんなにも変わるんだと感じ、人生観にも影響を及ぼすことも知りました」

アドベンチャーツーリズムは、現代人に新しい価値観や人生観をもたらすはずだ。

「旅は非日常を味わうのが醍醐味。頭を日常から切り離し、美味しい店や観光名所といった情報に基づいた旅もひとつの楽しさです。でもその上を行くのがアドベンチャーツーリズム。自分は何を求めているのか、どんなガイドに導かれたら、そこにたどり着けるのか。そんなことを考えながら旅するのが、旅慣れた富裕層をはじめ、旅を求める人に新鮮な驚きを与え、新しいスタイルになっていくのでは、と期待しています」

立見信之の人生観を変えた数々の旅

これまで60ヵ国以上を旅行。レバノン国境からイスラエルを眺めたり、アルメニアとジョージアの国境では、姿の見えない相手から拡声器でクルマを停止させられたりといった経験も。最近旅したモンゴルでは、偶然にもドラマ『VIVANT』のロケとなったホテルに宿泊。日本で見ていなかったこともあり、現地ホテルでネットで一気見した。海外出張の際は隙間時間を見つけては、これまで行ったことがない国を訪ねるようにしている。

OKINAWA ADVENTURES

刀が展開する旅の新ブランド。沖縄の豊かな自然に触れるだけではなく、導き手のガイドと地元ガイドとともにそこに住む人々から信仰や生活様式、環境に対する革新と順応などのストーリーを聞き、自分自身で体験することにより、世界の見え方が変わる旅を提供する。

ツアーは6名以下の少人数制、他では得られない没入感と達成感を味わえる。4月からやんばるの森のツアー、7月からは海を舞台にしたツアーを開始。詳細はこちら

立見信之氏
立見信之/NOBUYUKI TATSUMI
刀 シニアパートナーCFO
1971年生まれ。ロンドンスクールオブエコノミクス修士課程卒業後、三井物産ほか、いくつかの企業を経て2017年、マーケティング精鋭集団、刀を森岡毅らと設立。2023年から沖縄アドベンチャートラベル代表取締役を兼務。

【特集 エクストリーム旅】

この記事はGOETHE 2024年4月号「総力特集:エクストリーム旅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら

TEXT=今井恵

PHOTOGRAPH=太田隆生(人物)

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

2024年6月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が4月25日に発売となる。今回のテーマは、安息と刺激が共存するハワイ。オアフ島に加え、ハワイ島、ラナイ島と3島にわたるアイランド・ホッピングを総力特集! 知る人ぞ知る、超プライベートリゾートから、新しくオープン&リニューアルしたホテル情報、最旬グルメ、死ぬまでに一度はみたい絶景、最新ゴルフ場事情など、今知りたいハワイを完全網羅する。 表紙は、ソロアーティストとして新たな道を突き進む、三宅健と北山宏光のふたりが登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

定期購読はこちら

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる