PERSON

2024.02.13

海と富士山を望む、鈴木亜久里の“宙に浮かぶ”邸宅に潜入

都心に家を持ちながら、そこを離れた場所にも居を構える。そんな多拠点ライフを楽しみ尽くしている8名の仕事人のこだわりの邸宅を大公開! 旅先のホテルでは到底かなえることができない多拠点邸宅だからこその醍醐味に迫る。今回は、実業家・アルネックス代表取締役の鈴木亜久里邸を紹介する。【特集 多拠点邸宅】

鈴木亜久里邸のリビング
何も遮るものがない絶景。土地の元オーナーからは「こんなすごい眺めになるなら売るんじゃなかった(笑)」と言われたとか。

海と空に抱かれて心を解放できる、唯一無二の絶景空間

リビングに入ったとたん現れるのは、180度以上広がった窓の先に広がる空と海。大島から伊豆半島、江ノ島、そして神々しいまでの富士山が目の前に。

「動いていく雲や煌めく海を進む船、そして徐々に沈んでいく太陽。ここにただ座って外を眺めているだけでも、飽きることがないんです」

心地よい風を受けながらそう話すのは、元F1レーサーで、現在はレースチームの運営やドライバー育成などのモータースポーツプロジェクトを行うアルネックス代表取締役の鈴木亜久里氏だ。

とにかく海が好きという鈴木氏。もともとクルーザーを友人と所有しており、見つけたのがマリーナから歩いてすぐのこの場所だった。自艇を係留したマリーナを眼下に、海を望む高台に建つ家は、かつて住んでいたモナコを彷彿とさせる。

「美しい富士山が見える分、モナコよりもいい(笑)。こんなロケーションは日本にはなかなかないと思います」

崖の中腹に建つこの家だが、訪れた当初は平らな土地がほとんどなかったという。

「最初に見た時はただの崖。正直どうやって家を建てるんだろうと思いました(笑)。それでもこの土地に決めたのは、やはり何も遮ることのないこの絶景があったからなんです」

まずは土地を家が建てられる状態にするために、崖を削り平らな部分を造成。強度なども考慮した土台づくりにかけた期間だけでなんと1年半。さらに設計もこの眺望を最大限に活かすために設計士と何度も相談し、1年以上の時間をかけたそうだ。

「こだわったのはリビングの広さと眺め」という言葉どおり、約70㎡というリビングの片側は高さ3m近い天井まで広がる窓を設け、さらに絶景の邪魔にならないようバルコニーの桟(さん)も細いスチールとワイヤーに。すべての部屋から海を望むことができる、まるで宙に浮かぶような大パノラマの家が実現した。

非日常の空間を持つことが気持ちの豊かさを醸成する

インテリアはすべて鈴木氏がセレクト。ブランドにこだわりはなく選んでいるというが、どれもイタリアやドイツの上質なものばかり。シンプルななかに、自身のレーシングチームARTAのスポンサーでもあるフランク ミュラーの色鮮やかなクッションやラグがアクセントに。

またリビングの一角に置いてあるのが、高校時代に憧れていたというバイク、YAMAHA TZ250だ。

「高校生の時、本当はバイクでレースにでたかったんです。50年以上前のバイクですが、やっと見つけてレストアしたものを飾っています」

実はガレージには他にも大好きなバイクが数台。東京では乗らないような古いフィアット500もあり、リゾート地ならではの運転も楽しんでいる。

この家まで、東京の自宅からドア・トゥ・ドアで約1時間。当初は家族のための家のつもりだったが、この唯一無二の眺めと心地よさを求め、気づけば多くの友人たちが集まる家に。

「ここなら思い立ったらすぐ来られる。その気軽さもこの場所を選んだ理由のひとつです。でも来る来ないに関係なく、自分にとってこういう場所があるということ自体が、心の余裕になっていると思います。いつでも行ける非日常の空間がある、そう思うことで気持ちが豊かになるんです」

かつてはレーシングドライバー、そして今は監督かつ経営者として、レースという緻密かつ苛烈な世界に身を置く鈴木氏。その精神を開放し、ゆとりを得られる場所、それが空と海に囲まれた別邸なのだ。

The Essence of House

一面海と空。すべての部屋がガラス張り
開口部が南向き&ガラス張りで、四季を通して陽が注ぐ。北風の影響もなく冬でも温かい。宙に浮くような設計。

崖ならではの陽当たりと眺望
建物の基礎を崖の中に頑強につくり、迫りだした設計のため浮いているかのように見える。

遊び道具を詰めこんだ専用ガレージ
レストアしたバイクやクルマ、ウェットスーツなどこの地で遊ぶためのアイテムがずらり。

Data
所在地:神奈川県横須賀市佐島
敷地面積:274.85㎡
延床面積:259.40㎡
設計者:石原設計 一級建築士事務所
構造:RC造

鈴木亜久里/Aguri Suzuki
実業家・アルネックス代表取締役
1960年東京都生まれ。1988年にF1デビュー。1990年の日本GPでは日本人ドライバー初の3位入賞。現在は世界に通用する日本人ドライバーの育成を目的としたARTA Projectでプロデューサー・総監督を務め、SUPER GTに参戦中。

【特集 多拠点邸宅】

この記事はGOETHE 2024年3月号「総力特集:多拠点邸宅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら

TEXT=牛丸由紀子

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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