新旧の宿が、それぞれの美意識で進化を遂げる熱海。温泉、眺望、そして海と山に育まれた熱海ならではの美食がひとつになる、食通こそ訪れるべきオーベルジュへ。今回は、「無為自然 -ATAMI-」をご紹介。【特集 偏愛リゾート軽井沢&熱海】

日本が誇る“蒼”の世界を目と舌で堪能する
日本でオーベルジュという言葉が広まったのは1997年頃のことだ。食を目的に旅をする。それは土地の気候風土や文化を知ることにもつながる。モノ消費からコト消費に時代がシフトしてからは、ガストロノミーツーリズムの機運が高まり、そのなかでも食通の注目を集めている美食の宿が「無為自然 -ATAMI-」だ。
中国古代の哲学者である老子が唱えた「作為なく、ありのままでいることがよいとする」言葉を体現。心を空に、自然と向き合う時間に彩りを添えるのがメインダイニング「LAT.34°N by 蒼」。日本屈指の好漁場である伊東や稲取の座標であり、多くのパワースポットが緯度付近に集中する“北緯34度線”になぞらえた店名にも興味をそそられる。さらに東京を代表するフランス料理店「蒼」のDNAを受け継ぐと聞けば期待は高まる。
総料理長を務める深海政也氏は、日本人シェフとしての使命のひとつは食材といかに向き合うかにあると考え、“高鮮度料理”というまったく新しいテーマを掲げる「蒼」の峯村康資氏のもとで、生命の営みをたどる料理をゼロから学んだ。熱海を含む伊豆半島は雄大な自然の恩恵に満ちた食材の宝庫だが、その鮮度に甘んじることなく“旬”と“瞬”を妥協なく切り取る。磨き上げられた包丁は食材の味を底上げし、的確な火入れは肉や甲殻類の香りや風味を極限まで際立たせる。
とこしえの自然に抱かれた宿の客室は開放感と清々(すがすが)しい気に満ちており、晴れた日は遠く房総半島まで見渡すことができる。全室オーシャンビューの露天風呂つきという熱海らしい設計に加え、広々としたデッキに出れば、木々と潮騒が奏でる音色に真の癒やしを感じられる。インフィニティプールの横で寛ぎながら、ディナーまでの時間を心待ちにするのもよし。
高鮮度の恵みをたっぷりと享受し、深い睡眠から目が覚めたら、厳選された素材を生かした和朝食で気持ちのいい一日をスタートできる。レストランは宿泊ゲスト以外の予約も可能だが、やはり、ここは美食と宿泊をともに楽しむ選択を。類まれなる贅沢を心の底から感じるはずだ。
NIPPON RESORT 無為自然 -ATAMI-/MUISHIZEN ATAMI
住所:静岡県熱海市網代591-38
TEL:0557-52-6155
客室数:全18室(うちヴィラ棟3室)
料金:1泊2食つき¥128,000〜(2名利用時の1室料金)
施設:屋外プール、サウナ、バー、レストラン
この記事はGOETHE 2026年7月号「総力特集:偏愛リゾート最前線!」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら









