TRAVEL

2026.06.06

瞑想体験、絶景バー、予約困難店、名門ホテル…知られざるアメリカ・セドナ旅【前編】

アメリカ・アリゾナ州のセドナは、世界中のエグゼクティブが訪れるウェルネススポットのひとつだ。赤く染まる大地、地球のエネルギーが集まる場所といわれるボルテックス、自然と向き合う瞑想体験――。忙しい日常から距離を置き、思考と感覚を整える時間が、この地には流れている。今回は、セドナからフェニックスへ。大自然、美食、アートを巡るロードトリップをとおして、“感性をリセットする旅”をレポートする。

思考をリセットするなら、アメリカ・セドナへ

地球のエネルギーを感じる、セドナのウェルネス体験

ワイルドな景観が旅人の心を惹きつけるセドナ。古くからスピリチュアルの聖地として知られ、近年はウェルネスを目的に訪れる旅行者が増えている。

なかでも有名なのが、“地球のエネルギーが集まる場所”といわれる「ボルテックス」だ。地磁気が強いとされる神秘的なスポットで、ヒーリングセッションやサウンドバス、ヨガなどを体験する人も多い。

コロナ禍以降、日本でもウェルネスをテーマにしたホテルの開業が相次いでいるように、旅に「心身を整える時間」を求める流れは確実に広がっている。多忙を極めるビジネスパーソンであればなおさら、徹底した非日常の​なかで自分自身と向き合い、思考を静かにリセットする時間が必要なのかもしれない。

今回の旅では、そんなセドナの大自然に身を置きながら、さまざまなウェルネスアクティビティを体験した。

北米先住民の儀式をルーツに持つ「シャーマニック・ドラム(Shamanic Drumming)」も、そのひとつだ。一定のリズムを刻む太鼓の音に耳を傾けながら、マインドフルネスへと導いていく体験型セッションである。

赤土の上に寝転がり、シャバーサナと呼ばれるヨガのポーズで身を委ねる。すると、だんだんとドラムの音が近づいてくる。単調に繰り返されるビートが呼吸を整え、脳がリラックス時に現れる“θ波”の状態へと近づいていく感覚があった。

気づけば深い瞑想状態に入り込み、体から意識が離れるような幽体離脱に近い不思議な感覚に包まれていた。

セッション後は思考がリセットされ、頭がすっきりと冴えわたる。集中力が高まり、アイデアも自然と浮かびやすくなる。ビジネスパーソンにとっても、有意義な体験になるはずだ。

レッドロックを4WDジープで駆け抜ける「ソルジャーズ・パス・ジープツアー」にも参加した。

人気トレイル「ソルジャーズ・パス」周辺を巡るこのツアーでは、徒歩では辿り着けない展望スポットや未舗装の山道まで案内してくれる。場所によってはジェットコースターさながらのスリルも味わえる。

この土地を熟知したガイドの話に耳を傾けながら景色を眺めていると、単なる絶景としてではなく、その奥にある歴史や文化への理解が深まり、自然への見方が少しずつ変わっていく。

なかでも印象的だったのが、アリゾナサイプレスと呼ばれる木にまつわるエピソードだ。雷を受けることで木の水分が蒸発し、結果として山火事の延焼を防いできたという。そんな話を聞いていると、自然が単なる風景ではなく、意思を持った存在のように思えてくる。

「セブン・セイクリッド・プールズ」も、セドナを代表するパワースポットのひとつだ。

岩のくぼみに水が溜まり、階段状に連なる7つの池は、人間の身体に存在するとされる“7つのチャクラ(エネルギーの中心点)”に呼応していると語り継がれている。

セブン・セイクリッド・プールズ。

岩に腰を下ろし、静かに呼吸を整え、自身のチャクラへ静かに意識を向けてみる。次第に雑念が薄れ、自然と心が落ち着いていく。周囲の音や風景に意識が溶け込み、ただ穏やかな時間だけが流れていた。

自然のなかで感覚を解き放ち、自分自身を整える。セドナには、そんな時間がよく似合う。

セドナを味わう美酒と美食

絶景バーから予約困難の人気店まで。セドナには、グルマンがお忍びで通う予約困難店やアメリカ南西部ならではの食を楽しめる名店が揃っている。

レッドロックを臨むナイスビューが自慢の「バー・ウーウー(Bar WooWoo)」は、スカイロックホテルのラウンジに併設されたレストラン&バーだ。

ここでぜひ味わいたいのが、シグネチャーカクテル「メスカル・ムーンライズ(Mezcal Moonrise)」。バタフライピーシロップ、ブラッドオレンジ、メスカルを合わせた一杯は、ほんのりスパイシーで甘口。セドナの夕暮れを思わせる幻想的な味わいだ。

ダール&ディ・ルカ・リストランテ・イタリアーノ(Dahl & Di Luca Ristorante Italiano)」は、セドナ屈指の人気を誇るイタリアン。

食ツウに知られるシェフ、リサ・ダール氏が手がける一軒で、ピアノの生演奏が流れる落ち着いた空間には、大人のロマンティックな空気が漂う。

シェフとして歩み始める以前はファッション業界に従事していたという、その豊かな感性が息づいた美しい料理がゲストを魅了してやまない。料理はもちろん、空間演出まで実に洗練されている。人気店のため、早めの予約がおすすめだ。

本格メキシカンを楽しむなら「ソルトロック・キッチン(SaltRock Kitchen)」へ。

アマラ・リゾート&スパ(Amara Resort and Spa)内にあるレストランで、レッドロックを望むテラス席の開放感は格別だ。

スパイシーなアヒポケト・スターダと、クラフトマルガリータのペアリングも秀逸。陽気な空気に身を委ねながら過ごす時間が心地いい。

セドナで本格メキシカンを楽しむなら「SaltRock Kitchen」
川沿いのテラス席は事前予約しておくのがベター。

アートとカルチャーが息づく、砂漠都市フェニックス

アメリカ南西部最大級の都市、フェニックス。年間300日以上晴天が続くことから、“太陽の谷”とも呼ばれている。

近年は半導体産業の集積地として注目を集める一方、カルチャーシーンも大きく進化している。

今回は、先住民文化を伝えるミュージアムから現代アート、美食スポットまで、フェニックスの多面的な魅力を巡った。

アメリカ南西部最大規模を誇る「フェニックス美術館」は必訪。現代アートからヨーロッパ絵画、ファッションデザインまで幅広い作品を2万点以上収蔵している。

なかでも印象的なのが、草間弥生による「ミラールーム」。無数の光が広がる幻想的な空間に、多くの来館者が足を止めていた。

現代アーティスト、カルロス・アモラレス氏による「ブラック・クラウド」も圧巻。2万5000匹もの黒い蝶が空間を覆い尽くすインスタレーションは、一見の価値がある。

ネイティブアメリカン文化に触れるなら「ハードミュージアム」へ。

ビーズ装飾や刺繍を施した衣装、精霊を模した木彫りのカチーナ人形など、先住民の文化や歴史を深く知ることができる。

ハードミュージアム
1929年開館のハードミュージアム。アリゾナ州で影響力のあったヘンリー・ハード夫妻のコレクションが展示されている。

歴史ある名門ホテルと、フェニックスのナイトアウト

フェニックスを代表するホテルといえば、「アリゾナ・ビルトモア」。

1929年創業の歴史あるホテルで、数々の要人や著名人を迎え入れてきた。広大な敷地には7つのプールや6軒のレストラン・バー、アパレルショップが点在。ホテルだけでも十分に滞在を楽しめる。

おすすめは、ファイヤーピット付きのコテージタイプ客室。ソノラ砂漠にインスパイアされたナチュラルなデザインが心地いい。

​ステーキ好きなら「レン&ウルフ(Wren & Wolf)」も外せない。

山小屋のような空間で味わうジューシーなリブアイは格別。トリュフバターとの相性も抜群だ。

食後にはスモークの演出がフォトジェニックなクラフトカクテルを嗜むのがオススメ。フェニックスでのナイトアウトを華やかに彩ってくれる一軒だ。

​ステーキ好きなら「Wren & Wolf」
ダウンタウン中心部に位置し、アリゾナ・フィナンシャル・シアターやフェニックス・アリーナが徒歩圏内。試合や舞台の前後で訪れるゲストも多い。

さらにもう一軒、ユニークなバー「キャリー・オン(Carry On)」へ。同じダウンタウンエリアに位置するのでレン&ウルフから近く、ハシゴするのにちょうどいい。

1970年代の航空機をテーマにしたコンセプトバーで、機内を模した空間のなか、日本酒や梅酒を使ったカクテルを楽しめる。

キャビンアテンダント風のスタッフがドリンクを運び、機長のアナウンスが響く店内は、まるでファーストクラスに乗り込んだかのような没入感だ。

セドナのユニークなバー「Carry On」
飛行機をモチーフにした店内。

ラグジュアリーな空旅をかなえる「スターラックス航空」

今回の旅で利用したのは、台湾のラグジュアリーエアライン「スターラックス航空」。日本からフェニックスへは直行便がないため、台北経由で向かった。

機内は、BMWグループ傘下のデザインワークス(Designworks)が手がけた洗練空間。無料Wi-Fiや十分なワークスペースも備わり、移動中も快適に仕事ができる。

機内食にはミシュラン星付きレストランの監修メニューも。ロブスターとシャンパーニュを味わいながら過ごす時間は、もはや空の上のレストランだ。

台北の空港で利用したスターラックス専用ラウンジでは、テーブルのQRコードからフードやドリンクがオーダーできる。スタッフを呼ぶことなくスムーズにオーダーが完結し、待ち時間のストレスも少ない。

デザイン、サービスともに洗練された体験は、スターラックスならではのフライトスタイル。ビジネストリップの選択肢としてもよさそうだ。

​取材協力:
Visit The USA​ https://www.visittheusa.com/ja/
Arizona Office of Tourism https://tourism.az.gov/
Visit Phoenix​ https://www.visitphoenix.com/
City of Sedona https://www.scenicsedona.com/
スターラックス航空 https://www.starlux-airlines.com/ja-JP

TEXT=星子莉奈

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