英語コーチングサービス「トライズ」で“1日3時間、年1000時間”の英語学習に励んでいるゲーテ編集部員の挑戦記・第3弾。英語学習者が直面する「伸び悩み」の壁にぶち当たった話。#1 #2

英語力が伸びない…
「トライズ」での1年間にわたる挑戦も終わりに差し掛かり、今ではすっかり日常のルーティンと化した英語学習。6ヵ月を過ぎたあたりでは「中間コンサルティング」という時間が設けられた。各ネイティブコーチからのコメント等をもとに、残り半年の学習計画などを練っていくほか、コンサルタントの前でネイティブスピーカーとの会話テストをうけ、これまで学んだ文法がどの程度身についているか、リスニングやスピーキング力のチェックなども受けるというものだ。
結果は「Intermediate(中級)か Upper Intermediate (中上級)くらいのレベル」になっているとの評価で、担当の有馬さんも「半年で学んだ文法が適切に会話に取り入れられていて感動しました!」と喜んでくれたほど。ちゃんと英語力があがってるんだな、と嬉しく思う一方で、その時の筆者の心にはモヤっとしたものが…

トライズ東京丸の内センター所属。海上輸送業および商社で輸出を担当したキャリアを持ち、大学院でTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)資格も取得。
実は「VERSANTスコアが伸びない」というスランプに陥っていたのである。
いわゆる“成長の停滞感(伸び悩み)”で、トライズでは「4の谷(死の谷)」と「9の谷(苦の谷)」と名付けるほど、どの受講生も例外なくぶつかる壁なのだとか。
「4の谷(死の谷)」と「9の谷(苦の谷)」とは、英語学習をはじめて4ヵ月目と9ヵ月目に訪れる伸び悩みのこと。
英語学習をスタートし最初の3ヵ月で音声を聞き取る力がぐんと伸びるが、その時点ではまだ音声と意味をはっきり結び付けることができていない。4ヵ月目になると意味がわかるようになるが、脳のワーキングメモリがそのことに割かれてしまい、発話の反応が遅くなることでスコアが落ちるのだという。
そして9ヵ月目になると身に付けた構文を使って話せるようになるが、脳内でそれが自動化されるまではスムーズな発話につながらず、また一時的にスコアが下がるというのだ。
筆者の場合は若干ずれていて、4ヵ月目でスタート時点の39→最高スコア48を記録するも、翌月にはガクッとスコアが落ちた。いわゆるこれが「4の谷」だろう。その後、スコアは取り戻しはしたものの、その最高点を超えられないまま数ヵ月が過るという、9の谷ならぬ「48の壁」が立ちはだかっていた。
さらに、いざネイティブスピーカーを前にすると、英語がスムーズに出てこず、自宅に帰ってから「ああ言えばよかったんだ…」と後悔することも続いていた。VERSANTのスコアが思うように伸びない焦りと相まって「このままで本当に英語がしゃべれるようになるのだろうか」というネガティブ思考に陥ってしまっていたのである。

「ネイティブとのギャップ」が自分を追い詰める
そんな筆者に対し、「人間には危険回避の本能があります。だから、どうしても『できていないこと』にばかり目が向いてしまうんです」と有馬さん。
今の筆者は、英語力の頂点である「ネイティブのレベル」と「現在の自分」を比較し、その埋まらない距離に絶望している状態。そこから脱するには、比較対象を「他人」から「過去の自分」へ強制的にシフトさせることが大事だという。
「以前だったら、今のこのもどかしさすら感じられなかったはずです。聞き取れているからこそ、返せない自分が悔しい。それは確かな成長の証です。また、単語がパッと出なくても、その代替表現を後からでも思いついたのなら、それは自分の中に“言い換える力”が備わってきた証拠。 そのストックを一つずつ増やしていく。それが英語学習なんですよ」
また、VERSANTスコアについても、要素を細かく分析をしてくれた。同じ48点でも、最初はたまたま知っている単語が多く出題されたことから「語彙力」がスコアを引っ張っていたが、その後は「流暢性」が劇的に伸びスコアを押し上げていたことがわかる。その観点から、英語がスムーズに口から出るようになってきているのは間違いないと、有馬さん。

「テストのスコアという遠いゴールだけを見ていると、足元がおろそかになります。今日はレッスンに出た、単語を一つ覚えた。その一つひとつの『過程』にチェックを入れ、自分を褒めてあげてくださいね」
その後、有馬さんと二人三脚で学習を進め、VERSANTスコアは50点をマークすることができた。この時の手応えは過去のものとは違っていて、「英語がしっかりと聞き取れて、反応ができている」感覚、もっと詳しく言えば「音を聞く→頭に意味が浮かぶ→言うべき言葉が口から出てくる」というサイクルが“自動的にまわっている”という実感である。テストが終わった直後は「もっと高い点数が出たかな?」と思ったほどだった。
英語の得意・不得意、言語的なセンスの有無に関わらず、新しい言語を習得する過程では誰もが停滞期を経験する。大事なのは、ここで挫折しないこと。「英語力は必ず伸びる」という事実を認識したうえで学習を続けていけば、停滞期は必ず乗り越えられる。そのことを実感した数ヵ月だった。

