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2025.07.31

「英語ができる」ビジネスパーソンになる! 1日3時間・年1000時間の勉強は本当にできるの?【トライズ挑戦記】

「英語がしゃべれたらいいのにな」。日本人の多くが一度は思ったことがあるであろうこの願い、実は日本にいながらにして1年で叶える方法があるという。しかしその条件は「1日3時間、年1000時間」の英語学習をすること。それって本当にできるもの? できるとしてもどうやって? ゲーテ編集部が挑戦してみた。

トライズ
Unsplash / Aaron Burden ※写真はイメージ

悲しいかな、英語力世界92位の日本

英語圏の人との会食を笑顔&相槌でやり過ごし、ペラペラの同僚に追い目を感じ…「今年こそ英語やるぞ」と英会話教室を予約するも、結局続かず。というか、続けても「しゃべれる」気がまったくしない。

これ、日本人ビジネスパーソンにとっては“あるある”な話じゃないだろうか。

世界規模のベンチマークとして開発された「EF英語能力指数(EF EPI)」の2024年度版によれば、日本は国・地域別ランキングで過去最低の92位、「英語力が低い国・地域」の最下位に位置している。しかも、前年より5ランクもダウン。どうやら「日本人は英語が苦手」の状況は拍車がかかっているようだ。

一方で日本社会のグローバル化はますます進んでおり、ビジネスパーソンが英語の壁にぶち当る率が高まっているのが昨今の日本、と言えるだろう。

そんななか、「英語が1年でしゃべれるようになる」と注目を浴びているのが「トライズ(TORAIZ)」だ。個人の目標やレベルに合わて英会話学習をプランニングし、サポートしてくれる英語コーチングスクールである。

もちろん、ただトライズに行った“だけ”で話せるという魔法の話ではない。受講者に求められるのは「1日3時間、年1000時間の英語を勉強すること」。本気で挑む英語学習、というわけだ。

とてつもなくハードルが高く感じるが、日々忙しく働くビジネスパーソンにもはたして可能なのか。この記事では、ゲーテ編集部員(幼児をワンオペで育てるワーママ)の実体験をお伝えしたい。

(ちなみに、最初の3ヵ月を終えた感想を先に伝えると「1日3時間の英語勉強は意外とイケる」である)

トライズ
トライズは基本的にオンラインで完結するが、都内7箇所のほか横浜、大阪梅田、福岡天神、名古屋にスクール展開もしている。

初回コンサルで“今の英語力とゴール”をみっちり分析

トライズでは、受講者が設定したゴールに向けてオーダーメイドでプラン設計し、テキストの選定や日々の学習計画、進行状況チェックもしてくれる専属の日本人コンサルタントがつくのがポイントだ。この“伴走者”と共に日々の学習と、週3回のネイティブ講師との英会話レッスンを重ねていく。

そして、最適なプラン設計のためのキモとなるのが「初回コンサルティング」。事前に文法テストとVERSANT(実践を重視した英語力テスト)を受け、その結果をもとに約2時間かけて、自分の英語レベル・弱点を洗い出し、“ゴール設定”を行う。正直、この初回コンサルティングだけでもウケる価値がある、と思うほどの内容の濃さだ。客観的に現在の自分の英語力を把握できるうえ、1年後、どのレベルまで英語力があがる見込みがあるのか、その時自分はどんな風になっているのか、ゴールを鮮やかにイメージすることができる。

「ゴールをいかに具体的に描くかが、もっとも大事。“英語がしゃべれるようになりたい”だけではダメなんです」とは、担当コンサルタント・有馬あや子さん。ゴールの解像度が高ければ高いほどモチベーション維持につながり、そこに到達するための学習プランが変わってくる。例えばゴールが「自力で海外でプレゼンを行う」であれば、英会話レッスンでは模擬プレゼンを行うなど、より実践的な内容が組まれるためだ。

ちなみに筆者の英語力は「基礎はあり」「簡単なやりとりはできるけど詳細は難しい」「VERSANTスコア39」、1年後の目標は「海外のワイナリー取材時、通訳を介さずに話の内容を理解し、質問できるようになること」。

VERSANTスコアは日本人平均の37点に毛が生えた程度で、「大学入試までは英語を勉強していて、その後本気で取り組めていない」日本人ビジネスパーソンの典型レベル、とのこと。トライズ受講者は平均して、1年後、このスコアを10〜12点ほど伸ばしているという。37→47まであがると「自力で海外出張に行き、冷や汗かきながらも質疑応答をこなせるレベル」に到達できるという。

「1日3時間、年1000時間」をこなせば、「英語がしゃべれる」ようになる。これはどうやら本当に“現実的な話”らしい(ちなみにプレミアリーグ・サウサンプトンFC所属のサッカー選手・菅原由勢氏もトライズ修了後に渡英している)。

トライズ
これが「VERSANT」の結果。文章構成、語彙、流暢さ、発音の4つの観点から採点される。
左は初回コンサルティング時に書いた、1年後の目標を記入した「誓約書」。これを励みに英語学習を進めていく。最初の3ヵ月で使った教材はこの3冊。トライズで使う教材はすべて市販のもので、数多あるなかから専属コンサルタントがセレクトしてくれる。

日々のスキマ時間を使って1日3時間を積み上げる

では先ほどから出てきている「1日3時間、年1000時間」の根拠は何なのか。それは、アメリカ外交官の日本語習得には高品質な学習を受けても2200時間かかることが分かっており、日本人の英語習得にも同様の時間が必要とされていることに由来する(アメリカ国務省附属機関FSIの調査より)。

一般的に日本人は学生時代に英語を約1200時間学習しているので、社会人が英語を習得するためには、最短でもあと“1000時間”不足しているという計算になる。トライズでは、その1000時間を1年かけて消化することを目指すのだ。

問題は、毎日に換算すると“3時間”となるその学習時間を、どうやって確保するか。

日々の学習は、スピーカーから流れてくる音声の真似をするリピーティング(後に“シャドーイング”にステップアップ)と、英語のフレーズがパッと出てくるような処理能力を高めるフレーズ暗記の2種類が軸となる。

実は、これらの学習方法はスキマ時間と結びつけられるため、実際にやってみると「簡単ではないけど思ったより“3時間”はイケる」ことがわかる。

ネイティブ講師との英会話レッスン(週3回)、その予習・復習(各回1時間半)は座学となるので時間確保に工夫が必要だが、それ以外の学習は筆者の場合、朝の身支度時間、通勤時間、朝晩の料理&後片付けなどの家事の時間をメインに使うことでクリアできた。

毎日の学習でインプットし、週3回の英会話レッスンでアウトプット。さらに2週間に1回、専属コンサルタントと共に進行チェックと学習成果を試すテストを行い改善点などを教えてもらうほか、月1回のVERSANTテストで英語力の定点観測も実施。このように、PDCA(Plan・計画、Do・実行、Check・評価、Action・改善)をシステマチックに回していくことで、1年間の学習を着実に進めていくことができるのだ。

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受講生は学習計画表をつくり、毎日の学習時間と内容をコンサルタントに共有。「日曜日は休む」などライフスタイルに合わせて調整するのは自由だ。スキマ時間を学習時間に充てるため、スマホでSNSや動画をなんとなく見る時間は劇的に減った。
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英会話レッスンはオンラインで実施。平日・土曜の朝6時〜夜23時の間で希望を出せる。筆者の担当は、アメリカ・イギリス・アジアという、異なる地域出身の3名の講師。国によって変わるイントネーションや発音に慣れていく狙いがあるという。

3ヵ月で英語力はどこまで伸びた?

トライズで「1日3時間、年1000時間」チャレンジをはじめて3ヵ月。出張や連休の子供の相手で学習時間が確保できなかった日もあったが、なんとかやり遂げたという達成感はある。では、肝心の英語力は伸びているのかいないのか?

結果は、VERSANTスコアが39→45までアップ! 自分でも「おお」と思えるくらいの成績を出せた。「英語がしゃべれる」というレベルにはまだまだ至らないけれど、海外の方とコミュニケーションを取る場面では、相手の話していることが「頭に入ってくる」と感じることが増えた実感がある。

本当に「1日3時間」の学習をこなせるのか不安でしかなかったが、その最初のハードルを越え、実際に英語力が伸びているという感覚も得ると、俄然“1年後”への期待が高まる。トライズのプログラムをやり遂げた先には、どんな結果がまっているのか。また機会があれば、その経過をお伝えしたいと思っている。

TEXT=岡村彩加(ゲーテ編集部)

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