人と社会の本質を鋭く突いた、心理学の巨頭 アルフレッド・アドラーの言葉をまとめた一冊『超訳 アドラーの言葉』から、一部を抜粋・再編集した記事をまとめてお届け! ※2024年4月掲載記事を再編。
1.仕事・人生の見え方が変わる! アドラーの言葉6選
「善い行い」には二つある
「向上したい」「理想の状態に近づきたい」という目的は、人生の建設的な面につながることもあれば、非建設的な面につながることもありえる。
例えば、「善い行いをしたい」という願望があるとき、可能性は二つある。
一つは「本当に人のためになることをしたい」というとき、もう一つは、「ただ単に自慢したいだけ」というときだ。
2.「甘やかされた子どもは好かれない」アドラーが断言する、教育において大事なこと7選
体罰はしてはいけない
あらゆる体罰に対して、私は反対の立場をとることを知っていただきたい。
私は、相手に変化を促すときも、その子の児童期初期の状況を知ろうとし、「説明」や「説得」を用いる。私とは逆のやり方、つまり子どもを叩いたりして、どんないい結果が得られるというのか。
この子が学校で失敗したからといって、それが彼を叩く正当な理由にはけっしてならない。この子が文字を読めなかったのは適切な教育を受けてこなかったからであり、彼を叩いたとしても教育効果は望めない。この子が「失敗したら叩かれる」と学ぶだけで、不快な状況から逃げるために、学校をズル休みするといったような学習しか生まれない。
「叩く」という状況を、子どもの視点から見てみるといい。そうすれば、これは「つらい、苦しい」という感情を増やすだけだということがわかるだろう。
3.「怒るのは、他人を支配したいから」「妬む人は責任転嫁をするから」心の不安定に効く、アドラーの名言6選
楽観的であれ
楽観主義の人というのは、性格が大筋でまっすぐの方向をとる人のことだ。
彼・彼女たちは、どんな困難にあったとしても勇敢に立ち向かい、不用意に不安に感じたり、嘆きすぎることはない。自信をもち、人生に対する建設的な態度をとる。周囲に対しても、過度に要求することもない。
自分の力を信じており、自分がとるに足らない存在だとは思っていないから、彼・彼女たちは、困難な出来事にあったとしても、自分を弱く不完全であると考えるきっかけを見つけるような人たちより、耐えることができる。また、「間違えても、また挑戦すればいい」と確信して、冷静でいられるのだ。
4.「優れていたい」が強すぎると病的になる。アドラー的、劣等感との付き合い方
人間は劣等だからこそ発達した
自然界にあまたいる生物のなかで、人間は「劣等な」生き物だ。体も大きくなければ、鋭い角も牙もない。圧倒的に速く走れるわけでもない。そして「劣等」であるがゆえに、「不足している」「安全ではない」という意識を人間は常にもっている。
その意識が常にあるからこそ、環境に適応し、安全に生きる状況を作り出すために、外敵に備えておくことや対策をしておく方法を考えだしたのだ。
この人間を環境に適応させ、安全な場所をつくる能力をもちえたのは、人間の「精神」という器官が発達したからである。
5.“運命を信じる”ことは、間違った心の支え。やる気になる、アドラーの言葉5選
実践してこそ習得できる
「人間を深く知ること」は、本や教科書から得られる知ではなく、実践してこそ習得できる知だ。
経験し、自分の実体験として身につけることで人々の喜びも不安も共有していくべきなのだ。
それは、優れた画家が人物画を描く際に、その人を写真のように写しとるのではなく、その人から感じとった印象や雰囲気を描くことができるのと同じようなものだ。