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2024.07.01
2歳差の兄弟はコンプレックスが生まれやすい? ピカソに見る、“王位”を奪われた長子の心の傷
きょうだい(兄弟・姉妹)といつも比較されて育った。嫉妬や怒り、憧れをおぼえる。特別扱いされていると感じる。きょうだいのために我慢してきた……。少しでも当てはまると思ったあなたは、「きょうだいコンプレックス」を抱えているかもしれません! 精神科医、岡田尊司氏の『きょうだいコンプレックス』の一部を抜粋してご紹介します。
長子は特別。しかし弟・妹ができると……
長子は、両親にとって、やはり特別な存在として、この世に誕生する。まだ親として未熟な面もあるが、その情熱と必死さは、二番目以降に生まれた子とは違っている。何もわからないゆえに、無我夢中で世話をしようとする。このひたむきな没頭が、経験や巧みさよりも、子どもにとっては重要なのだ。

というのも、愛情の絆である愛着は、懸命に世話をするほど強まるからである。それは、子どもから親への愛着だけでなく、親から子どもへの愛着においても言えることだ。必死に可愛がれば可愛がるほど、その子への愛情が深く感じられるのだ。
他のきょうだいと決定的に違う長子の特権は、愛情を独り占めする期間をもったということである。そのことが人格形成に及ぼす影響は、次に生まれるきょうだいによって、その独占状態がいつ頃破られたかによって、それぞれ異なる。
ある程度、年齢差がある場合には、いかにも長子らしい、鷹揚で、ガツガツしない、のんびりとした性分を示しやすい。それは、一々要求しなくても、周囲が勝手に世話をし、満たしてくれた名残である。つまり、長子であることは、自分が一番で、最優先されるのが当然な境遇で育ったということであり、それゆえに、もう一つの特徴的な一面を示しやすい。それは、知らずしらず一番であろうとし、特別扱いされることを期待することである。自分が一番でない状況や軽く扱われる状況には、ストレスや不満を感じてしまう。一人っ子の期間が長いと、そうした傾向が強まりやすい。
しかし、長子とはいえ、すぐ下にきょうだいができた場合には、親の愛情を独占できた期間は短く、しかも、その地位を奪われるという打撃を味わうことになる。
その結果、安心感に欠け、自己防衛的な傾向や自己顕示的な傾向が強まりやすいが、お人好しな傾向や見通しの甘さといった特別扱いされすぎて育った長子に見られやすい欠点は薄まる。
ただ、このときのダメージからうまく立ち直れないと、その後の人生でも困難を抱える要因となる。「王位を追われた王」は、失われた地位を回復しようとして、攻撃的になったり、要求がましくなったり、自己顕示的になったり、見栄を張ったりする。また、自分の領分を守ろうとして、金銭に細かかったり、物に執着したり、吝嗇になったりすることもある。
画家ピカソの栄華の終わり
画家のパブロ・ピカソは、長子に生まれ、両親の愛情を独占したが、その栄華も、三歳のとき、妹ができて終わりを告げる。彼は混乱し、父親にべったりになり、学校に通うようになっても、父親と一緒でなければダメだった。
画家で、美術館長だった父親は、息子に付きっきりで絵を教えた。だが、母親の関心を奪われた心の傷が癒えたわけではなかった。後年の激しい女性関係を衝き動かしていたのは、満たされることのない愛情飢餓と注目への欲求であった。
下のきょうだいの方が活発だったり、優秀だったりして、長子の地位が脅かされた場合にはダメージが残りやすく、自信のない性格になったり、妬み深い性格になることもある。
精神病院の入院患者を調べた研究によると、長子の割合が期待されるよりも高くなっていたが、この結果は、アドラーに従えば、下にきょうだいが生まれ、「王位」を奪われた心の傷が影響しているということになる。

2歳くらい離れて下にきょうだいが生まれた場合には、見捨てられた不安や頑固な傾向が強まりやすい。これは、2歳頃が、いったん離れ始めた母親に再び執着する「再接近期」という時期に当たっていて、このときに母親の関心が下のきょうだいに移ってしまうと、母親を奪われたという心の傷が強く残りやすいためである。
年齢差が3歳以上あると、もっとも傷つきやすい時期は過ぎるが、親の対応次第では、かなり年齢差があっても、自分の地位を奪われたという感覚を抱いてしまう。
通常は、年齢が開くほど、親との愛着がしっかり築かれているうえに、ずっと年下の弟や妹が、自分の優位性を脅かす危険は小さいので、自分が独占していた地位を幼い存在に譲っても、自分が見捨てられたという受け止め方はしない。
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