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2024.09.08

慶應義塾高校が107年ぶりの甲子園優勝を引き寄せた「魔法のポーズ」の裏側

2023年、107年ぶりの甲子園優勝を果たした慶應義塾高校野球部。その背景に“負け知らず”のメンタル術があったのをご存じだろうか? 同野球部のメンタルコーチを務める吉岡眞司氏が、2023年甲子園決勝で話題になった「魔法のポーズ」とメンタルの関係を解説する。ビジネス、ダイエット、受験など、あらゆる分野に活用できる“必ず目標達成ができるようになる”秘訣を『強いチームはなぜ「明るい」のか 』より一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】

『強いチームはなぜ「明るい」のか 』
Unsplash / benjamin hershe

感情のスイッチをプラスに入れる「魔法のポーズ」

2023年夏の甲子園の決勝戦。1回表、塾高の1番バッター丸田選手は、いきなり先頭打者本塁打を放ちました。そして、1塁ベースを駆け抜け、打球が右翼席に入ったのを見届けると、右手の親指と人さし指、中指の3本を広げ、空に向けて高々と突き出しました。喜びにわくベンチの選手たちも立ち上がり、同じポーズを行っていました。

この独特のポーズは、全国の野球ファンの間で大きな話題となりました。

「あの、慶應の『3本指』のポーズはいったい何だ?」

これは、脳を最高の状態に導くための「魔法のポーズ」です。このポーズを行うことで、脳に自分たちが掲げた目標と目的を呼び起こし、それらをなんとしてでも達成しようとする強い意欲を高めることができます。

塾高の選手たちは、神奈川県大会も含めたすべての試合で、仲間がヒットを打ったときや良いプレーをしたときなどに、この「3本指」のポーズを行っていました。そして、ピンチの場面で選手たちがマウンド上に集まったときにも行っていました。

ポーズに目標と目的を結びつける

この「3本指」のポーズに魔法をかけるために、彼らは日頃から、このポーズに目標と目的を結びつける作業を繰り返していました。彼らの目標は「KEIO日本一!」、目的は「恩返し&常識を覆す」です。たとえば、彼らは練習前に必ず、この「3本指」のポーズを示しながら、目標と目的、スローガンを唱和していました。また、学校でチームメイトに会ったときにも、「おはよう」のあいさつとともにこのポーズを出していたようです。

動作や表情は言葉以上に、感情に強い影響をおよぼします。ピンチの場面をはじめ、“ここぞ!”というときに、プラスの感情を呼び起こすポーズをアウトプットすることで、高いパフォーマンスを出せるようになるのです。

そして、目標や目的とリンクしているポーズだからこそ、苦しい局面で行うことで、「自分たちは目標や目的を実現するために今この一瞬を頑張っているんだ」、「このくらいのことでくじけてはいられない」と、自分たちにハッパをかける効果もあるのです。

「魔法のポーズ」は、どんなものでもかまいません。ちなみに、塾高の「3本指」のポーズは、選手たちが尊敬する野球部OBの大学生の学生コーチが、数字を数えるときに親指、人さし指、中指の順に出していたしぐさが由来だそうです。

うれしいとき、楽しいとき、感動したとき、お風呂に入って気分が良いときなど、どんなときでもかまいません。何か良いことがあったときに、必ずそのポーズを行うように心がけてみるのです。

授業中に先生に指されてうまく答えられたら、机の下でこっそりとポーズをとるのもよいでしょう。習慣づけることで、「このポーズを行ったときは良い状態なんだ」と脳が認識し、そのポーズとプラスの感情やイメージとが結びつくようになるのです。

そうなったら、もうしめたもの。気持ちが乗らないときや落ち込んでいるときなどでも、このポーズを行うことで心の状態をポジティブに変えられるようになるのです。

TEXT=吉岡眞司

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