英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第253回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
白馬の王子様が現れた!?
日本語ペラペラのアメリカ人女子(感情的になると英語になる)と、いつものようにオンラインでおしゃべりしていた時のことです。
最近彼氏が新しくできたようで、その彼について話したいのかずっとソワソワしていました。
「彼はどんな人なの?」
そう聞いてあげると、彼女は目を輝かせてこう言いました。
I can call him Prince Charming.
直訳すると「私は彼をプリンス・チャーミングと呼ぶことができる」となります。
プリンス・チャーミングって一体なんでしょうか。
「ハンサムで背が高く、とにかく優しい。毎日クルマで送り迎えしてくれるし、なんでもない日でも花束や贈り物をくれるの」
彼女はそこからは日本語で、彼の魅力を語り始めました。
「しかも仕事は弁護士で、なかなか優秀みたい。モテるだろうけど、私だけを見てくれている感じもする」
そんな完璧な男性、いるのでしょうか。
彼女の話を聞きながら、Prince Charmingをケンブリッジの英英辞書で調べてみたら、こう書かれていました。
A woman's Prince Charming is her perfect partner(女性のPrince Charmingとは、彼女の完璧なパートナー)
ということは、「理想の人」とか「白馬の王子様」みたいなことでしょうか。
彼女は最初に「彼のことはまさに理想の人って言えるわ」とかそういうことを言っていたのでしょう。
もともととにかく背が高い男性が好みの彼女、さらにその彼は優しくてお金持ち、なのに自分だけを見ていてくれるのです。これはまさに「理想の人」「白馬の王子様」と言えるのかもしれません。
「理想の王子様」を手にいれる方法
「そんな理想的な彼氏、どこで見つけたの?」
と聞いてみたところ、
「とにかく『背が高い男性を紹介してくれ』と友達に言いまくって、手当たり次第に会った」
ということ。
「待っているだけでは、王子様は現れないの。とにかく自分のパワーを全部使って探し当てたのよ」
と鼻高々の様子でした。
確かに、むっつりしているよりも自分の好きなタイプを大っぴらに周りに伝えておくと、自然と周りが連れてきてくれる、ということはあるでしょう。そうやって理想の人を見つけ、猛アピールの末に「理想の王子様」を手に入れたようです。
ちなみにケンブリッジの英英辞典には、Prince Charmingを説明する、こういう例文が載っていました。
How much time have you wasted sitting around waiting for Prince Charming to appear?(白馬の王子様が現れるのを、ただ座って待って、どれくらいの時間を無駄にしているの?)
ただ待っているだけでは「白馬の王子様」は現れないのだと、彼女とケンブリッジの辞書に教えてもらいました。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。
「その英語でよく外国に行ったね」「めちゃくちゃカタカナ英語だね」と、なぜか日本人に笑われながらも、覚えたフレーズの数々。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。人のイングリッシュを笑うな。