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2024.02.19

気配りの天才・田中角栄に学ぶ、コミュニケーションの強者になる2つの条件

「もっとちゃんと考えて」そう言われたことがある人は少なくないだろう。しかし、なんとなく考えただけでは、いつまでたっても「ちゃんと考えた」ことにはならない。では、どうすれば思考の質を高め、“頭のいい人”になることができるのか? 20年以上にわたって、3000社もの企業のコンサルティングに従事してきた安達裕哉氏が伝授する、頭のいい人になるための“黄金法則”とは。45万部を突破し、2023年の年間ベストセラー1位に輝いた『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。

やる気を出すビジネスマン
ben rosett/ unsplash ※写真はイメージ

田中角栄が秘書に出した指示

コミュニケーションにおいて、“話が上手になること”よりもはるかに大切なことがあります。それは“承認欲求をどうコントロールするか”です。

同志社大学の太田肇氏は、著書『お金より名誉のモチベーション論』の中で、人は他人から認められたい、尊敬されたいと願っており、それによって動機づけられるものだと述べ、それを「承認人」(ホモ・リスペクタス)と名づけています。

昨今のSNSの台頭をみても、人は多かれ少なかれ「承認欲求」によって突き動かされるのは間違いないでしょう。ほとんどの人間はみな周りから認められ、賞賛されたいと思っています。

しかし、裏を返せば、自分の承認欲求は抑制し、他者の承認欲求を満たすことができれば、「コミュニケーションの強者」になることが可能だということです。周囲から“カリスマ”などと言われ、絶大なる信頼を得ている政治家や経営者は、往々にして承認欲求のコントロールに長けています。

たとえば、最も影響力のあった政治家のひとり、田中角栄は秘書から支持者にカネを配るとき、秘書にこう言ったそうです。

「いいか、きみが候補者にカネをくれてやるなんて気持ちが露かけらでもあれば必ず顔に出る。そうすれば相手は百倍、千倍にも感じる。百万、二百万を届けたところで一銭の値打ちもなくなるんだ」 田中が金権政治の権化のようにいわれながらも、憎めないキャラクターと見なされるゆえんであろう。

服部龍二著『田中角栄 昭和の光と闇』より

コミュニケーションの強者になるふたつの条件

田中角栄はこのように、あえて秘書に自ら頭を下げ、カネを納めてもらうべく丁重にお願いするように指示しました。“カネを渡す”ことが大事なのではなく、“候補者の自尊心を傷つけずにカネを渡す”ことが大事なのだと、田中角栄は理解していたのでしょう。

田中角栄はのちに賄賂で捕まっていますので、笑えないエピソードではありますが、彼があれほどまで支持され、今でも日本を変えた政治家として名を馳せている理由はよくわかります。

信頼を得ないと仕事にならないのは政治家だけではありません。しかしながら「自己の抑制」と「他者の承認」の両立は、それほど簡単なことではない。自制しつつ、他者を称賛するにはそれなりの精神力が必要とされるからです。

承認欲求をコントロールし、コミュニケーションの強者になるには、ふたつの条件があります。

強者の条件①  自信を持つこと

自尊心が低く、自分に自信がない人間は、他者をうまく承認することができません。

自尊心とは、自分で自分を尊重し、受け入れる態度のことです。自尊心が低いと自分で自分を肯定できないため、他者の承認が必要になってくるのです。

一見、社会的に成功している人物であっても自尊心が低く「他者に承認を要求すること」しかできない人物は「承認欲求を欲する立場」ですから、コミュニケーションにおいては弱者といえます。

強者の条件②  口ではなく、結果で自分自身の有能さを示すこと

「へえ、そうなんだ! すごいね! そういえば私さ・・・・・・」

このようになんでもすぐに自分の話をしようとする人がいます。相手の話に反応はしつつも、すぐ自分の話に引き込もうとする人です。

このような人は「他者の承認」をすると、その分、釣り合いを取ろうとして自分の話をせずにはいられないのです。しかし、それは自己アピールによって承認を得ようとする態度であり、コミュニケーション強者の態度とはいえません。

他者は褒めつつ、自分は「なんでもない人間です」という顔をするのが、コミュニケーション強者の態度であり、知的で慕われる人の態度です。

承認欲求をコントロールし、コミュニケーションの強者になるには、自分の話で他者の承認を得ようとせず、他者の承認は、結果によって得られると強く認識する必要があります。

TEXT=安達裕哉

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