35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第218回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
fabric of us.=私たちの布!? ってどういうこと?
Volunteering is the fabric of us.
というタイトルのメールが先日来ていました。差出人はイギリスのマラソン大会の運営本部です。4年ほど前に、イギリスのグリニッジという場所で開催されたマラソン大会に出場した際に、メールアドレスを登録していたので、その後もメールマガジンが届いているのです。
メールの内容は、「マラソン大会運営本部設立19年を記念して、これまでのボランティアスタッフに感謝します。あなたもボランティアになりませんか」といった内容でした。
けれど“Volunteering is the fabric of us”という肝心のタイトルの意味がわかりません。
Fabricとは、布とか生地という意味の名詞です。直訳したら「ボランティアは私たちの生地」になってしまいます。
けれど辞書を調べてみたらこういうことでした。
fabric of 〜=〜の一部、〜を構成するもの、〜の構造
このメールのタイトルは「ボランティアは私たちの一部」という意味になり、つまり「ボランティア活動は私たちの根幹」ということかもしれません。
確かにマラソン大会は、交通整備をする人や、お水を配る人などたくさんのボランティアがいて成り立っているものですから、マラソン大会運営本部からしたら、なくてはならない人たちです。
Fabricは「編み物」とか「織物」という意味もあるので、「ボランティアは私たちを編むもののひとつ」みたいな意味合いで、fabric of〜という表現が使われているのかなと思いました。
ビジネスメールでも使える!
他にも、ケンブリッジの英英辞典にはこういう例文がありました。
the fabric of society
文脈にもよりますが、この場合は「社会の構造」という意味になるようです。
Unhappiness was woven into the natural fabric of people's lives.(不幸というものは、人々の人生にあたり前に織り込まれている構造である)
なんだかとても哲学的な例文ですが、なるほどと思えます。
新聞や論文、ビジネスメールなんかでfabric of〜はよく出てくるようなので、ぜひとも覚えておきたい使い方です。
ちなみに、4年前に出場したそのマラソン大会は、語学学校で知り合ったブラジル人のおじさんと一緒に出場しました。おじさんは、ブラジルの大学で植物学・農業を専門に教えている教師で、公園を走っている時はいつも「あの植物は〇〇だ」などと教えてくれました。大変知識人ではありましたが、英語レベルだけは私と同じく低かったため、年齢や、お互いの社会的地位を考えることはなく、おじさんは友達のように接してくれました。
あれから4年、久々におじさんのFacebookをのぞいたら、大学の学長になっていました。おじさんこそ“fabric of academy”「学問を構成するもののひとつ」であったようです。4年で英語レベルがまったく上がらない私とはちがって、きっと英語も上手になっているに違いありません。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。