35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第187回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
GOATってヤギって意味じゃないの!?
プレミアリーグ、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCの三笘薫選手の活躍をぜひ一度現地で見てみたいと思いながらも、休みもとれず飛行機代も高いし、なかなか簡単にイギリスに飛ぶことができずにいます。そこで最近は、ブライトンファンのイギリス人YouTuberのチャンネルを見て現地の空気を感じることにしています。
三笘選手が得点を決めた3月4日の試合後、そのYouTuberはスタジアムで観客にインタビュー、“Who is your man of the match?(今日のマン・オブ・ザ・マッチは?)”と聞いて回っています。
早口のイギリス英語、英語力0.5の私にはほとんど聞き取れないため、YouTube自動生成の英語字幕を入れてやっと、この“Who is your man of the match?”と聞いているのがわかった体たらくです。そしてインタビューされた少年の答えもまた、私にとっては複雑怪奇な英語でした。
Mitoma, he is actually like the goat out of there.
正直この回答もまったく聞き取れず、同じく自動生成の英語字幕を入れて解読しました。
字幕では確かに“the goat out of there”と出ていますし、何度繰り返し聞いてみても“goat(ゴート)”という単語は確かに聞こえます。
“goat”は動物の「ヤギ」のことです。直訳すると「彼は、実際、ヤギの向こう側みたいなもの」ということでさっぱり意味がわかりません。
しかしインタビュアーも納得の様子で、“He is the goat, absolutely agree(彼はgoatだ、絶対的に賛成) ”と頷いていました。
「ブライントンでは『ヤギ』が褒め言葉なの? でもチームロゴに入っているのはカモメだし、どうせなら『カモメ』を褒め言葉にした方がよくない?」
と混乱してしまいましたが、落ち着いて辞書で調べたらこういうことでした。
GOAT= Greatest Of All Timeの頭文字をとった略語
つまり「史上最高の」という意味になります。
“Who is your man of the match?”という質問に対して、少年は、
「三笘さ! 彼はマジ史上最強を超えてるよ!」
と興奮気味に答えたことになります。
Greatest Of All Time ですから、“GOAT”だけでもものすごい褒め言葉なのに、そこに“out of there”がついています。「GOATを超えた」というような強調になっているのかなと思いました。
このGOATは主にスポーツの文脈に使われることが多いそうで、スラングではあるもののケンブリッジの英英辞典にもちゃんと例文が載っていました。
Mohammad Ali boxed his way into our hearts and will forever be known as GOAT, Greatest Of All Time.
「モハメド・アリのボクシングスタイルは、私たちの心の中にあり、最も素晴らしい、永遠のGOATとして知られることでしょう」
ちなみに、このブライトンファンのYouTuberは、私のように現地に行けない日本人からのアクセスが多いと気がついたのでしょうか、三笘選手の魅力を語りつくすだけの動画をアップしたり、会場にいる日本人ファンにも積極的にインタビューしています。
生きた英語の勉強になるだけでなく、会場の雰囲気も伝えてくれるので、最悪英語がわからなくても楽しめます。私は正直ほとんど聞き取れませんが、楽しく見ています。
私が見たYouTube
↓
https://www.youtube.com/@LUKELiNXBRIGHTON
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。