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2022.12.19

悲しい時に聞きたい、イングランドのサッカー応援ソングを知ってる?

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第175回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……

llustration=Norio

ポテチの中身がほぼ空気、ペーパーが25回分短い。そんな時に言われた、シュリンクフレーションって?

先日、オンラインで日本語を教えているアメリカ人の方といつものように日本語で話していました。もう3年くらい毎週レッスンをしているので、その方の日本語レベルは上がり、レッスンというよりはもう完全にただ日本語でだべっているだけになっています。

「この前、コーヒーの粉を買ったんだけど、値段は変わらないのに前より中身が減ってたの」
という、悲しくもたわいもない話をしたところ。

「シュリンクフレーションですね。アメリカもそうですよ」
と言われました。

シュリンクフレーション? スペルを聞いてみたら、こう書くそうです。
Shrinkflation

これは Shrink=小さくなる、縮む
という言葉と
Inflation =インフレーション
が混ざった造語だそうで、調べてみれば日本でもカタカナで「シュリンクフレーション」と使われていました。経済用語のひとつみたいです。

「インフレでモノが高くなるから、商品は量がシュリンクされて、値段はそのままってことですね」
とそのアメリカ人は流暢な日本語で教えてくれました。

アメリカでは、ポテトチップスの袋の中身が、チップスではなくほとんど空気になったり、トイレットペーパーのロールがおよそ25回分短くなっているそうです。
「この前、ぱんぱんのポテチの袋買ったのに、ほとんど空気で10枚くらしか入ってなかった」とその方も嘆いていました。

「給料はたいして上がらないし、モノは高くなるし、働いても働いても、大変になるよね」と話していたら暗い気分になってきたので、「じゃあ、サッカーワールドカップの話でもしようか!」と話題を変えたものの、アメリカも日本も、16強で敗退しており、またそのアメリカ人の方は韓国系でもあるので、韓国対ブラジルの敗戦でもしっかり傷ついていて。またまた暗くなってしまったところ、その方はこう言いました。

「じゃあ、イギリスのフットボールの歌でも聴こうか」

アメリカ人なのにサッカーのことをあえて英国風にフットボールと呼んでから、イングランドサポーターが歌うこの応援ソングをYouTubeで一緒に聴きました。

歌詞の英語はあまりにシンプルすぎて学びはありませんが、なんだかクスッと笑えるのでシェアさせてください。

Don't take me home.
Please don't take me home.
I just don't wanna go to work.
I wanna stay here and drink all your beer.
Please don't please don't take me home.

おうちに連れ戻さないで
お願いだから、勝って大会を続けて
ただ、会社に行きたくないだけ
ただここにいて、ビールを飲んでいたいだけ
だからお願い、おうちに連れ戻さないで

サッカー観戦のために遠征しているイングランドファンの人は「敗退したら帰ってくる」と言っているのでしょう、勝ってトーナメントに残り続ける限りは、競技場でビールを飲んでいられる、仕事に行かなくてもいい。だから、勝って欲しいというよりは、もう会社に行きたくない、になってきている、この歌。カタールの大会では会場でビールは飲めませんが、前回ロシア大会では、街にイングランドサポーターがビールを片手に集まり、熱唱していたそうです。必死でこの歌を歌うイングランドの人を見ていると、インフレとか、シュリンクとか、敗退とか、なぜか悲しい気持ちがスッと消えてなくなるのだから不思議です。

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連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。

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TEXT=MOMOKO YASUI

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