35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第211回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
『Mr.ビーン』の俳優、ローワン・アトキンソンのインタビューで知った英語
先日、動画サイトで、『Mr.ビーン』の俳優、ローワン・アトキンソン氏のインタビューを見ていました。『Mr.ビーン』は言葉を一切使わないコメディですから、彼が喋っている様子を見るのは初めてのことでした。
ローワン・アトキンソン氏は、「よく、デパートなんかに行くと、人々にじっと見られるのです。『あの人Mr.ビーンに似ているな』って目で」と言っていました。作品内ではいつもコミカルな表情をしていますから、町の人々はプライベートな、通常時の彼の顔を見てもピンと来ず「Mr.ビーンっぽいけどなぁ」とじっと見るだけで声をかけてこないのだそうです。
そういう時、ローワン・アトキンソン氏は「もういっそ、『正解です、私がMr.ビーンです』って札を出してあげたいくらいだよ」と笑っていました。
しかしある時、ローワン・アトキンソン氏をひとしきり見つめたあと、彼の元に来てこう言った人がいたんだそうです
Excuse me, has anyone ever told you that you are the absolute spitting image of Mr.Bean?
(すいません、これまであなたは、Mr.ビーンの絶対的spitting imageだと誰かに言われたことはありませんか?)
動画は英語字幕を出していて、時折止めたりして、ゆっくり字幕を見ていればなんとなくインタビュー内容はわかったのですが、「Mr.ビーンの絶対的spitting image」のところが完全に意味不明でした。
spitting image of 〜=〜の生き写し
という意味だと調べてわかりました。
瓜ふたつ、生き写し、英語では「口から出したくらい似ている」っていうのなんで!?
Spitとは「唾を吐く」という意味の動詞ですが、「その本人が口から吐いてもう1人吐き出したくらい似ている」という意味で使われるようになったそうです。
なので、この男性は「Mr.ビーンの生き写しのようだと言われたことはありませんか?」と言ってきたわけです。「Mr.ビーンにむちゃくちゃ似ていますね」と言っているのですが、あえて“has anyone ever told you that you are the absolute spitting image of Mr.Bean?(Mr.ビーンにむっちゃ似ているってって言われたことないですか?)”という遠回しな聞き方がなんともイギリスっぽいなぁと思いました。
ローワン・アトキンソン氏は、そう聞かれて「いや、実は私がMr.ビーンを演じている俳優なんだ」と言って、相手は絶句したそうです。
「生き写し」で思い出した、私の恐怖体験
この表現は最近のものなのかと思ったのですが、1689年に、コメディ劇作家のジョージ・ファーカーという人が作品の中に使った以下のセリフから、一般的になったのではと言われているそうです。
He's as like his own dada as if he were spit out of his mouth.
(彼は、彼のお父さんが口から吐き出したくらいにお父さんに似ている)
「生き写し」と言えば思い出すことがあります。
同業者が集まるあるパーティ会場で、上司が「先に帰る」というのでエレベーターホールまで上司を見送り、エレベーターがエントランスまで下がったことを確認してから、また会場に戻ったことがありました。しかし会場に戻ったとたん、今さっき見送ったはずの上司がテーブルでシャンパンを飲んでいました。
意味がわからず恐怖のあまり悲鳴を上げてしまいましたが、すぐ周りに「あれ? あの上司、双子なの知らなかった?」と言われて納得しました。瓜ふたつ、生き写し、口から出したくらい似ている、どの言葉も当てはまるくらい、そっくりでした。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。