35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第198回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
日常英会話で多出! 幸運のおまじないフレーズ
日本語ペラペラのアメリカ人の方とスカイプで話していたら、来月出張で日本に来るとのことで、「忙しいけど観光もしたいから、万全の状態で行きたい。今から体調を整えている」と言っていました。
それに対して私は「そうだよね、健康って大事だよね。私は最近コロナになっちゃってさ、大変だったよ。あなたは今のところ罹ったことはないんだよね、気をつけてね」とヘラヘラ受け応えてしまいました。彼女はそれを聞いて突然真顔になって英語でこう言いました。
I’ve never ,knock on wood, had Covid.
I’ve never had Covid.だったらわかります。けれど、間になにか入りました。
「ノック オン ウッド」と言ったでしょうか? 直訳すると「木をノックする」ですが、一体どういうことでしょうか。
knock on wood=良いことが続くように
という意味のあるおまじないだということ。
オックスフォードの英英辞典ではこう説明されています。
said after a confident or positive statement, to express a hope for one's good luck to continue.
(自信があったり、ポジディブな状態の後に、その幸運が続きますようにと願いを表現するため言われる)
なんだか複雑ですが、彼女はこう説明してくれました。
「『コロナになったことがない』と今私は言ったけれど、その発言が宇宙に届いて、なにか不思議な力が『では君にコロナをさすげよう』とかなるかもしれない。そうならないためのおまじないが、木を叩くということなんです。
I’ve never ,knock on wood, had Covid.と言いましたが、言うだけではなくて、あとで家の中で木製のものを探して、実際にノックしておきます」
knock on woodの使い方
言われてみれば、以下のような人はけっこうよくいます。
「なんかさ〜旅行でよくパスポート忘れる人いるじゃない? あれって信じられないんだけど。一度も忘れたことないわ」と言っていたのに、次の海外旅行でまんまとパスポートを忘れてきた人。
「私、晴れ女だから」と言っていたのに、なんでだか自分の結婚式だけが大雨だった人。
おそらくそんなような状態にならないためのおまじない、それがknock on woodだということです。
木に精霊が宿ると信仰していた古代ケルト人の考え方が、この言葉の起源にあるということ。そこから「幸運な状態が続いてほしい」ときに、木をノックするようになったということ。霊柩車が通ったら親指をかくすとか、まつ毛が頬についていたら、願い事を唱えながらはらう、とか、アメリカ全土でそれくらい身近なおまじないであり、フレーズなんだそうです。
フレーズとしての使い方は、I’ve never ,knock on wood, had Covid.のように真ん中に入れるパターンや、I’ve never had Covid, knock on wood.と最後に入れるパターンなどがあるようです。
ケンブリッジの英英辞典にはこういう例文もありました
The deal will be agreed on Wednesday, knock on wood.
契約は水曜日に結ばれる予定だ。無事結ばれますように。
アメリカ人の彼女は、I’ve never had Covid.=「コロナにかかったことがない」という否定文に対して「これからもかかりませんように」と願いをこめてknock on woodと言いました。上記の例文は「契約は水曜日に結ばれる」という肯定文に対して「無事結ばれますように」とknock on woodをつけています。
文章が否定か肯定かは関係なく、「その良い状態が続きますように」とこのフレーズをつけているようです。
ちなみに最近私はダイエットをしていて、1キロ痩せました。ノック オン ウッド。
この調子でもっと痩せていきたいです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。