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2024.01.09

日本で今最も売れているのは、このクルマだ!

2023年の日本ではどんなクルマが売れたのか。ベストセラーのランキングからわかったこととは……? ■連載「クルマの最旬学」とは

2023年の日本で売れたクルマ

習いごとや学習塾への送り迎えにクルマを使う

クルマは世につれ、世はクルマにつれ。いま売れているクルマを知れば、世相がわかる(かもしれない)。というわけで、ベストセラー商品のランキングを作成してみた。

(数値は2023年4月から9月の販売台数で、乗用車は一般社団法人日本自動車販売協会連合会、軽乗用車は一般社団法人全国軽自動車協会連合会の統計データによる)

堂々の第一位に輝いたのは、ホンダのN-BOXだった。ホンダN-BOXは、スーパーハイトワゴンというカテゴリーに属する軽自動車。スーパーハイトワゴンに厳密な定義は存在しないけれど、一般に全高1700mm以上と背が高く、スライドドアを備えるモデルをこう呼んでいる。

2023年の日本で売れたクルマ
2023年10月にフルモデルチェンジを受けたホンダN-BOX。モデルチェンジ後の11月も月間で2万1097台を販売、トップを快走する。価格は164万8900円から。

トップ10のランキングを見ると、ダイハツ・タント(3位)、スズキ・スペーシア(6位)とスーパーハイトワゴンが3台ランクインしている。スーパーハイトワゴンのウリは室内空間が広いこと。身長140cm程度のお子さんなら室内で立ったまま着替えができるし、後席を倒すと27インチまでの自転車なら楽々積み込むことができる。

自動車メーカーの担当者によれば、「スポーツの習いごとを終えたお子さんを車内で着替えさせる」とか、「自転車で塾に行ったお子さんをスーパーハイトワゴンで迎えに行って、自転車と一緒に帰宅する」といった使い方を想定しているという。なるほど、いまの日本はそういった用途でクルマを使うことが多いのだろう。

軽自動車の場合は、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、排気量660cc以下という軽自動車規格が定められている。したがって、スペックで差別化を図ることは難しい。そこで自動車メーカー各社は、買い物袋をぶら下げるフックを装備したり、スマホを置く場所に気を配ったり、工夫を凝らしている。

2023年の日本で売れたクルマ
スーパーハイトワゴンの実力者、スズキ・スペーシア。こちらもホンダN-BOXとほぼ同時期にフルモデルチェンジを受け、新型へ移行している。

実際に乗ってみると、かゆいところに手が届くとはこのことか、と膝を叩きたくなる。便利なことこのうえなく、クルマおたくの筆者でさえ、「これでいいかも……」と思うほど。来日観光客の多くが日本のコンビニの使い勝手のよさに感銘を受けるというけれど、スーパーハイトワゴンは“走るコンビニ”とでも呼びたくなるような存在だ。

2023年10月、ホンダN-BOXはフルモデルチェンジを受け、3代目へと移行した。デザイン、機能性ともにキープコンセプトのモデルチェンジであるうえ、ライバルであるダイハツの今後が不透明なこともあって、2024年もトップを維持すると予想する。事実、モデルチェンジ後の11月も2万台以上を販売、好調を維持していた。

身も蓋もない結末に……

軽自動車以外のランキングを見ると、トヨタ一強の時代だと言わざるを得ない。2021年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したヤリスを筆頭に、トヨタ車がずらりと連なる。

興味深いのは、トップ10圏外ではあるけれど、20位にクラウンが入っていること。4月から9月の半年間で1万8067台を売っている。遡って2021年の統計を見ると、トヨタ・クラウンは1年間で2万1411台しか売れていない。その激変ぶりが話題となったクラウンであるけれど、少なくとも販売台数からはモデルチェンジが成功だったことがうかがえる。

2023年の日本で売れたクルマ
トヨタ・ヤリスの販売台数には、写真のヤリス・クロスやGRヤリスの数字も含まれている。なかでも、ヤリス・クロスの占める割合が最も大きいという。

ここで注目したいのが、9位にランクインしているトヨタのミニバン、ノア。実はちょこっとだけ意匠が異なる兄弟モデルのトヨタ・ヴォクシーが同じ期間で4万5020台売れていて、合計すると9万4607台と同門のヤリスに肉薄する。

ヤリスの場合は、コンパクトカーのヤリスと、SUVのヤリス・クロス、そしてスポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇るGRヤリスの合計となるから、純粋に販売台数を考えるのであれば、ノア/ヴォクシー兄弟のほうが売れていると見ることもできる。

クルマ業界で“ノアヴォク”と呼ばれるこの兄弟の特徴は、室内空間の広さと進化したハイブリッドシステムによる好燃費。衝突被害を軽減する自動ブレーキなど、安全機能もレベルアップしている。

いま売れているクルマを知れば世相がわかる、などと大上段に構えてしまったが、蓋を開けてみれば、ホンダN-BOXにしろトヨタのノアヴォクにしろ、広くて便利なクルマが売れているという、ごくあたりまえの結論となってしまった。まさに、身も蓋もない……。

ひとつだけ、軽自動車もノアヴォクも、国内市場専用に開発されたモデルであるということは付け加えておきたい。経済力が低下しているとはいえ、日本は中国、アメリカ、インドに続く世界第4位の国内販売台数を誇る自動車大国。5位のドイツが年間300万台弱であるのに対して、日本では約420万台を販売する。海外輸出が大事なのはもちろんであるけれど、国内市場をおろそかにすると足元をすくわれる、ということが今回のランキングからわかった。

2023年4月〜9月の販売ランキングTOP10
1位 ホンダ N-BOX(10万409台)
2位 トヨタ・ヤリス(9万4443台)
3位 ダイハツ・タント(7万3493台)
4位 トヨタ・カローラ(6万7724台)
5位 トヨタ・シエンタ(6万3949台)
6位 スズキ・スペーシア(5万7224台)
7位 トヨタ・プリウス(5万4005台)
8位 ダイハツ・ムーヴ(5万1518台)
9位 トヨタ・ノア(4万9587台)
10位 日産・ノート(4万6144台)
(参考)トヨタ・ヴォクシー(4万5020台)

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

■連載「クルマの最旬学」とは……
話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

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クルマの最旬学

話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

TEXT=サトータケシ

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