友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

イギリス南部は気候も土壌もほぼシャンパーニュ
「イングリッシュスパークリング」というジャンルをご存知でしょうか。その名の通り、イギリスで造られるスパークリングワインのことで、近年注目が高まっているんです。
いや待ってイギリスでワインなんて造られてんの? と思われるかもしれませんがそうなんです。造られているんです。
昨今の気候変動の影響でワインの産地はいま徐々に北へと移動。イギリスのいくつかの地方が、かつてのシャンパーニュに似た気候となっており、かつイギリス南部はドーバー海峡を挟んでフランス北部のシャンパーニュ地方に近似した白亜の地質を持つのだそう。つまり、気候も土壌もほぼシャンパーニュ。
余談ですがスウェーデンとかフィンランドでもワインは造られてるんですよ。昨日の常識、今日の非常識。ワインの世界も日々動いております。
余談を終えてイングリッシュスパークリングの話に戻りましょう。シャンパーニュが他のワイン産地と比較して特権的な位置にある理由、それはいくつかあると思うのですが、そのひとつに高い「酸」があります。
キリリとワイン全体を引き締めるハイトーンな酸あればこそ、豊かな果実味や、複数の原料ワインを組み合わせて生まれる複雑さが統合され、シャンパーニュならではのおいしさを醸し出すわけですが、以上に述べたような気候・地質の条件により、イングリッシュスパークリングはその「酸」を獲得できています。
ゆえに、シャンパーニュとイングリッシュスパークリングは、同じ品種を並べて比較した場合、どちらがどちらと判別するのがかなり難しくなっています。お正月の名物企画「芸能人格付けチェック」に仮に出題したら大混乱を巻き起こしそうな気配です。
という長い前置きを終えて、今回ご紹介するのは「ボルニー ブラン ド ブラン 2018」というワイン。定価は11,000円ですが、ネットショップなどで10,000円を切る価格で入手することが可能なワインです。
イギリス南部・サセックス州の生産者で、創業から50年と少し。それでいて、商業的なワイン生産者としては英国で6番目だというから、イギリスの産地としての“若さ”がわかります。
このワインは、シャンパーニュを代表する白ぶどうでもある品種「シャルドネ」を100%使い、シャンパーニュと同じ製法で造ったというワインです。
定価11,000円なので決して安いワインではありません。その値段を支払えば、それなりの選択肢からシャンパーニュを選ぶことも可能でしょう。
それでもあえてこのワインをご紹介するのはシンプルに味がいいから。豊かでシャープな酸、たっぷりとした果実味、そして熟成由来の香ばしさ。と、ここまでは「良いシャンパーニュ」と同要素。
それらに加えて、独特な透明感があるのがイングリッシュスパークリングの真骨頂だと私は思います。複雑みや味の奥行きは、さすがにシャンパーニュに分がある。しかし、底まで光が届く洞窟の奥の泉のような青い透明感は英国泡ならでは。イギリス製スパークリングワインという物珍しさは、手土産やプレゼントにもバッチリです。
このボルニー ブラン ド ブラン 2018は、ネットで調べるとたまにセット販売等でお得に入手できることがあるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

