GOURMET

2026.01.21

ヘネシー最高蒸留責任者が味わう、コニャック×和食、六本木「鮨 今福」

一家相伝、門外不出の技を継承するヘネシーの8代目マスターブレンダーが来日。「ヘネシー パラディ」と鮨のマリアージュを楽しみながら、秘伝のコニャック造りについて語った。【特集 弩級のSAKE】

「ヘネシー パラディ」
Hennessy Paradis
ヘネシーを象徴する、独特で優美な形状のカラフェに入った「ヘネシー パラディ」。自宅のホームバーに並べたい。コニャック地方の最高格付け(第一等級)とされる畑で栽培された葡萄から造られたオー・ド・ヴィーを厳選してブレンド。1979年、6代目マスターブレンダーのモーリス・フィリューにより生み出された。[700ml]¥213,400(MHD モエ ヘネシー ディアジオ www.mhdkk.com/enquiry

品質へのこだわりとフロンティア精神

知る人ぞ知る六本木の「鮨 今福」。その凛とした雰囲気のカウンターに、ひとりのフランス人が座っていた。ヘネシー8代目マスターブレンダーのルノー・フィリュー・ド・ジロンド氏である。

ヘネシーはコニャックの代名詞ともいえる存在だ。芳醇で高貴な香味のブランデーは、世界市場で約40%のシェアを持つ。フランス西部、コニャック地方の厳選された畑の葡萄から造られたオー・ド・ヴィー(生命の水)と呼ばれる原酒のみを使用し、その35万樽におよぶ貯蔵のなかから最高のブレンドを見つけだす。その際に大きな役割を担うのがルノー氏だ。

毎日、午前11時。ヘネシー本社のとある一室に、10名足らずから成るテイスティングコミッティのメンバーが集う。彼らはここでオー・ド・ヴィーを試飲。すべての原酒について熟成の状態を確認し、さらに熟成を続けるのか、または違う樽へと移すのか、ひとつひとつ判断を下し選別していく。それはヘネシーの品質とサヴォアフェール(匠の技)を受け継ぐ儀式でもある。ここの責任者であるルノー氏が求めるのは正確性と完璧さだ。

「だからテイスティングが始まるのは毎日11時きっかりなのです。我々、ブレンダーは“品質の保証人”でなければいけません。そのために完璧を心がけています。テイスターは葡萄、ワインメイキング、醸造など各自に専門があって、我々チームは知識や経験を共有します。その価値を正確かつ完璧に未来に引き継ぐ。それがテイスティングコミッティなのです」

およそ数千種あるともいわれるオー・ド・ヴィーを組み合わせて長きにわたって同じ品質に仕上げていく。このコニャック造りにおける秘伝の作業は、創業以来、250年以上も代々にわたってフィリュー家が担ってきた。フィリュー家はヘネシーの伝統を守り続けるガーディアンなのである。

ヘネシーのクオリティを維持してきたのがフィリュー家ならば、ビジネスサイドで発展させてきたのがヘネシー家だ。1765年、アイルランド将校のリチャード・ヘネシーが自らの名を冠した蒸留所を設立し、コニャックビジネスをスタート。ヘネシー家は創業初期からフロンティアスピリットを持ち続け、18世紀末にアメリカに進出した。その後もロシア、中国へと海を渡り、1868年には日本にも上陸したという記録も残っている。そのグローバルな視野が現在の圧倒的なマーケットシェアにつながったのだ。ちなみに世界最大のラグジュアリーコングロマリット、LⅤMHの最後の綴りである“H”は、ヘネシーのH。その事実が成功の大きさを物語っている。

ヘネシー8代目マスターブレンダーのルノー・フィリュー・ド・ジロンド氏
Renaud Fillioux de Gironde/ルノー・フィリュー・ド・ジロンド
1978年フランス・コニャック生まれ。2002年にヘネシー社のオー・ド・ヴィー部門に入社。叔父であるヤン・フィリューから、15年に及びコニャックの知専門識と秘密を受け継いだのち、2017年、39歳で8代目マスターブレンダーに就任する。

和食と「ヘネシー パラディ」の幸せなマリアージュ

今宵、ルノー氏が六本木の名店で鮨と合わせたのが、至高のコニャック「ヘネシー パラディ」だ。誕生したのは1979年。ルノー氏の祖父である6代目マスターブレンダーのモーリス・フィリューがオーク樽で熟成された25年から100年ものの100種類以上のオー・ド・ヴィーをブレンドして完成させた。柔らかくベルベットを彷彿させるような滑らかな味わいと、豊かな余韻が特徴。美しいカラフェに収められた、優雅で洗練されたコニャックだ。

「生のお魚と『パラディ』の組み合わせは完璧です。私は日本料理の細かな味わいの緻密さはパーフェクトだと思っています。例えば魚の捌き方ひとつとっても、本当に細部にまでこだわりを感じます。そこは『パラディ』に共通するところではないでしょうか」

「鮨 今福」の迫田孝二料理長が供する握りや料理に舌鼓を打ちながら、ひと品ずつ「ヘネシー パラディ」とのマリアージュを確認するルノー氏。これまでに何度も日本を訪れているが、日本の料理には食べるたびに違う感動を覚え、そして新しい発見があると言う。

「私は日本から多くのインスピレーションを得ることができると思っています。知れば知るほど、学べば学ぶほど、そのプロセスのなかにコニャック造りのヒントが隠されています。それをきちんと感じ取り、いずれは『パラディ』や、先代の叔父(ヤン・フィリュー)が手がけた『リシャール』のような、将来ヘネシーの歴史に名を残すようなコニャックを造ることができたら、こんなに嬉しいことはありません」

鮨 今福
六本木にあって、街の喧騒から離れた静謐な空間の「鮨 今福」。流れるような所作で端正な鮨を握るのは、料理長の迫田孝二氏。鮨と鮨の間のつまみは、日本料理の細やかな仕事を施し、鮨好きの舌と心を摑んで離さない。

鮨今福
住所:東京都港区六本木7-13-1 立原ビル B1
TEL:03-6434-7404
営業時間:17:00~L.O.20:00
定休日:土・日曜、祝日
座席数:8席

【特集 弩級のSAKE】

この記事はGOETHE 2026年2月号「総力特集:その一滴が人生を豊かにする、弩級のSAKE」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=ゲーテ編集部

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