これまで出品されてきた驚きの酒と、オークションのトレンドを、クリスティーズロンドンのスペシャリストに聞く。【特集 弩級のSAKE】

Q1.今後高値が予想されるのは?
A1.もう二度と造られないもの
「閉鎖された蒸留所、例えばワインですと名醸造家の造り手が亡くなり生産が終了したアンリ・ジャイエや、ルネ・アンジェルは希少性が高いでしょう。コレクターはヴィンテージの年数ではなくその酒のストーリーを重要視します。誰が持っていたかという来歴もとても大事になってきます」

Q2.最高額で落札された酒は?
A2.2億円超のマッカラン
「クリスティーズのお酒のオークション史上もっとも高額落札は2018年の『ザ・マッカラン1926 マイケル・ディロン 60年熟成』の120万ポンド(約2億2800万円)です。1926年に蒸留、60年間樽で熟成し、1986年にボトリングされたものです。ラベルは画家のマイケル・ディロンがスコットランドの自然とマッカラン蒸留所を描き、世界で1本しか存在しない大変貴重なもの。ゆえにこのような落札金額になりました」

Q3.近年の珍しい出品は?
A3.シャトー1泊分含むコニャック
「近年、コニャックでは19世紀の害虫被害『フィロキセラ』が起こる前のボトルが人気です。そのうちのひとつ『マーテル 72年 グランド・シャンパーニュ コニャック』は、職人の手づくりによる珍しいボトルで、2024年に3万2500ポンド(約617万円)で落札されました。この金額には最古のコニャック・メゾンのひとつであるマーテルのシャトーに宿泊、テイスティング、ミシュラン3つ星シェフによるディナーも含まれていました」

Q4.2025年のウイスキー情報教えて
A4.史上最古のウイスキーが出品
「ゴードン&マクファイルの『グレンリベット85年デキャンタ第一号』が2025年の11月に20万ドル(約2800万円)で落札されました。これはシングルモルト史上もっとも長い熟成期間です。ボトリングは2025年の2月。落札者は、1940年から85年間熟成に使われた樽の底板と、建築家ジーニ・ギャングが描いたデキャンタ制作前の設計画とともに手にいれることができました」

Q5.日本の酒で高値なのは?
A4.山崎50年が約2700万円で落札
「日本のウイスキーには高い需要があり『山崎50年』は2018年に14万4000ポンドで落札されました。廃業になった軽井沢蒸留所、そして羽生蒸溜所のウイスキーも人気です。また近年は日本酒もオークションに登場してきていて、今後注目です」

ティム・トリプトリー
クリスティーズ ワイン&スピリッツ部門 インターナショナル・ディレクター。ワイン・スピリッツの出品依頼の相談、査定、鑑定・評価などを行う。「コレクターの方におもてなしをうけ、伝説的ワイン『シャトー・ムートン・ロートシルト1945』を開けた瞬間の香りを忘れることはできません」
※円換算は2025年12月現在の概算
この記事はGOETHE 2026年2月号「総力特集:その一滴が人生を豊かにする、弩級のSAKE」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

