バー業界で最も影響力のある指標、「50 Best Bars」。舞台を海外に広げて活躍する日本のバーテンダーたちが世界のバーの地図を鮮やかに塗り替えている。【特集 弩級のSAKE】

最高峰アワードが巻き起こす神風
今、バーが黄金時代を迎えている。有名バーテンダーは海外各地を飛び回り、さまざまなバーのイベントに招聘されるほか、人気バーとなると数時間の行列ができることも珍しくない。このムーブメントの火つけ役となったのが、バー業界のランキングとして世界的に権威を持つ「50 Best Bars」だ。
ランキングは、世界の有力なバー関係者が直近18ヵ月の間に実際に訪れたバーのみを投票対象とする実証型の評価システム。ランク入りは、世界から訪れるべきバーであることを意味し、選出された店舗のバーテンダーはスターバーテンダーとして、瞬く間に業界の脚光を浴びることになる。
このランキングの中で、日本のバーの躍進が目覚ましい。日本が対象となるのは世界全体を評価する「The World’s 50 Best Bars」と、アジア圏を対象とした「Asia’s 50 Best Bars」のふたつだ。
どちらもバーラバーの注目を集めるが、前者は世界のバーシーンの大局を知ることができるもので、主要都市からの選出が目立つ。一方で後者は、エリアが絞られている分、地方都市やネクストスターの登場も多い。
2025年、日本から「Asia’s 50 Best Bars」で50位以内にランクインしたのは、6店舗。熊本「夜香木(やこうぼく)」や奈良「Lamp Bar」等の地方の実力店に加え、ニューエントリーでは、池袋「Bar Libre」、銀座「Punch Room Tokyo」などが名を連ねた。さらに世界ランキングでは、渋谷「The Bell wood」が新たに加わり、東京で3店舗がトップ50入り。100位以内では、合計5店舗と存在感を示した。
いずれのランキングでも、近年日本のトップを飾るのは、新宿「Bar BenFiddich」だ。オーナーバーテンダーの鹿山博康氏は、外秩父の麓(ふもと)に畑を持つ“ファーマーバーテンダー”。農園からグラスへ、をコンセプトに自ら栽培したハーブや果実を使い、季節と土地を映すテーラーメイドのカクテルを提供する。また、50 Best Bars創設以来、常に名を連ね続けるのが、「SG Group」を率いる後閑信吾氏のプロデュース店舗。渋谷の「The SG Club」をはじめ世界5ヵ国で展開し、ランクイン数は最多の60回に及ぶ。
「50ベストバーは年々熱量が上がっていて、業界での影響力が強くなっているのを感じます。ランクに入るか否かで集客、従業員のモチベーション、ブランド価値が変わる。意識せざるを得ないランキングです」(後閑氏)
ランキングに名を刻むと、世界中からバーラバーが訪れ、海外でのゲストシフトやイベント出演の依頼が殺到する。つまり、このアワードはバーの存在を世界のステージへ押し上げる原動力となるものだ。
その象徴的なイベントのひとつが、2025年「Asia’s 50 Best Bars」の授賞式が行われたマカオのウィン・パレスで開催された。“The Bar philosophies of Japan”として招聘されたのは、2025年アジアのランキングに初登場した新鋭の2軒。
最古のミックスドリンクといわれるパンチカクテルをモダンに表現する「Punch Room Tok
yo」と、地元素材を使いながら独自性あるカクテルを展開する「夜香木」だ。
日本の繊細で美しいバーテンディングと、異なるエリアの日本素材のカクテルを楽しむべく、イベントは香港とマカオからのゲストで熱気に包まれた。
会場となったウィン・パレスのメインバー「Wing Lei Bar」ヘッドバーテンダーのマーク・ロイド氏も日本のバーテンダーに魅了されるひとりだ。
「日本のバーテンダーはクラシックカクテルへの理解が深いので、マカオで紹介したいと思いました。自分が大切にしている価値観と通じるからです」(マーク氏)
こうした国境を越えた交流が互いの文化を刺激し、新たなカクテルを生み、世界のバーシーンのさらなる成熟につながっていく。日本ならではのバーテンディングは、世界に新たな風を吹かせている。
躍進する日本のBest Bars 2025
2025年 世界のベストバー50
01|Bar Leone・香港
02|Handshake Speakeasy・メキシコシティ
03|Sips・バルセロナ
04|Paradiso・バルセロナ
05|Tay¯er + Elementary・ロンドン
06|Connaught Bar・ロンドン
07|Moebius Milano・ミラノ
08|Line・アテネ
09|Jigger & Pony・シンガポール
10|Tres Monos・ブエノスアイレス
11|Alquímico・カルタヘナ
12|Superbueno・ニューヨーク
13|Lady Bee・リマ
14|Himkok・オスロ
15|Bar Us・バンコク
16|Zest・ソウル
17|Bar Nouveau・パリ
18|Bar Benfiddich・東京
19|Caretaker’s Cottage・メルボルン
20|The Cambridge Public House・パリ
21|Satan’s Whiskers・ロンドン
22|Locale Firenze・フィレンツェ
23|Tlec¯an・メキシコシティ
24|Tan Tan・サンパウロ
25|Mirror Bar・ブラティスラヴァ
26|CoChinChina・ブエノスアイレス
27|Baba au Rum・アテネ
28|Nouvelle Vague・ティラナ
29|Hope & Sesame・広州
30|Danico・パリ
31|Scarfes Bar・ロンドン
32|Svanen・オスロ
33|Sastrería Martinez・リマ
34|Panda & Sons・エディンバラ
35|Röda Huset・ストックホルム
36|Mimi Kakushi・ドバイ
37|Salmon Guru・マドリード
38|Coa・香港
39|Sip & Guzzle・ニューヨーク
40|Drink Kong・ローマ
41|Double Chicken Please・ニューヨーク
42|Maybe Sammy・シドニー
43|1930・ミラノ
44|Jewel of the South・ニューオーリンズ
45|Virtù・東京
46|Overstory・ニューヨーク
47|The Bar in Front of the Bar・アテネ
48|The Bellwood・東京
49|BKK Social Club・バンコク
50|Nutmeg & Clove・シンガポール
2025年 アジアのベストバー50
01|Bar Leone・香港
02|Zest・ソウル
03|Jigger & Pony・シンガポール
04|Bar Us・バンコク
05|Dry Wave Cocktail Studio・バンコク
06|Bar Cham・ソウル
07|Hope & Sesame・広州
08|Lair・ニューデリー
09|Bar Benfiddich・東京
10|Penrose・クアラルンプール
11|Argo・香港
12|Modernhaus・ジャカルタ
13|Alice・ソウル
14|Smoke & Bitters・ヒリケティヤ
15|Three X Co・クアラルンプール
16|CMYK・長沙
17|Coa・香港
18|Virtù・東京
19|BKK Social Club・バンコク
20|Vender・台中
21|MO Bar Shenzhen・深圳
22|The St. Regis Bar・ジャカルタ
23|Offtrack・シンガポール
24|Nutmeg & Clove・シンガポール
25|Yakoboku・熊本
26|G.O.D・バンコク
27|Penicillin・香港
28|Soka・ベンガルール
29|Vesper・バンコク
30|Boilermaker・ゴア
31|ZLB23・ベンガルール
32|The Savory Project・香港
33|Gokan・香港
34|Carrots Bar・ジャカルタ
35|Barc・カトマンズ
36|Punch Room Tokyo・東京
37|Bar Spirit Forward・ベンガルール
38|Cosmo Pony・ジャカルタ
39|Bar Trigona・クアラルンプール
40|The Public House・台北
41|To Infinity & Beyond・台北
42|Moonrock・台南
43|Opium・バンコク
44|Cat Bite Club・シンガポール
45|Native・シンガポール
46|Lamp Bar・奈良
47|Reka・クアラルンプール
48|Bar Sathorn・バンコク
49|Bar Libre・東京
50|Le Chamber・ソウル
この記事はGOETHE 2026年2月号「総力特集:その一滴が人生を豊かにする、弩級のSAKE」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら


















