日本の蒸留酒の歴史が始まって、約500年。伝統をつなげていくためにその価値を追求し続ける造り手が、新たな蒸留酒文化を開花させている。今回は、田野蒸溜所・高橋酒造 常務取締役の高橋良輔氏に話を聞いた。【特集 弩級のSAKE】

かつて熊本のこの土地にあった文化をウイスキーにのせて
熊本県人吉市の山あいにある田野地区。標高680mの廃校となった小学校を舞台に、米焼酎を造る高橋酒造が挑むのは、“土地の記憶を引き継ぐ場所”としての蒸留所だ。
「熊本発の蒸留酒文化を世界に広げる、という想いからウイスキーの製造に興味がありました。田野には清冽な水、湿度などウイスキー造りに向く要素があったこと、そして土地にエネルギーを感じてここに決めました」
そう語るのは蒸留家であり高橋酒造常務取締役の高橋良輔氏だ。田野は約250年前に水害で移り住んだ人々が開墾して築いた土地。冬には雪が降り、春には野焼きをして自然と生きてきた開拓者の精神がこの地には宿る。
近年のジャパニーズウイスキーにはクリーンでフルーティなものが多いのに対し、田野蒸溜所はその逆張りを狙う。モルトの粉末を細かくし、しっかりとモルト感のある酒質を実現した。できあがった原酒にはすでに味わいの骨格がある。九州では数少ない雪が降る蒸留所で、ダイナミックな熟成が期待される。
ウイスキーの発売予定は2027年以降。この土地の文化がウイスキーにのって、世界に知られる日は遠くない。

1990年熊本県生まれ。早稲田大学卒業ののち、家業である高橋酒造の製造部に従事。現在は製造担当の常務として製品開発に努め、米焼酎「白岳KAORU」、クラフトジン「BEAR’S BOOK」等の開発を担当。
田野蒸溜所/Tano Distillery
住所:熊本県人吉市田野町3316-4
TEL:0966-24-7726 (お客様相談室)
この記事はGOETHE 2026年2月号「総力特集:その一滴が人生を豊かにする、弩級のSAKE」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら






