300年の歴史を誇るシャンパーニュ騎士団。そのガラディナーで杯を交わす、気品に満ちた紳士淑女たち。シャンパーニュ愛飲家なら誰しも憧れる煌びやかな世界がそこに! 【特集 シャンパーニュの魔力】
憧憬と名誉のシャンパーニュ騎士団
シャンパーニュ騎士団とは、シャンパーニュをこよなく愛し、その普及に貢献した人々の親睦団体。ボルドーのボンタン騎士団、ブルゴーニュの利酒騎士団と並ぶフランス三大ワイン騎士団のひとつで、晴れてシュヴァリエ(騎士)に叙任されれば、業界では一目置かれる存在となる。
その前身は17世紀の中頃、サンテヴルモン侯爵らルイ14世の宮廷に出入りする数人の貴族が創設した「レ・トロワ・コトー(三つの丘の会)」というワイン通、美食家の集まり。ここでいう三つの丘とは、シャンパーニュでもひときわ優れたワインを生みだすアイ、アヴネイ、オーヴィレールの丘のことである。これがその後、「オルドル・デ・コトー・ド・シャンパーニュ」、すなわちシャンパーニュ騎士団と改名された。
フランス革命の勃発で一旦消滅した騎士団は、大手メゾンの支援により1956年に復活。日本では2005年に支部ができて以降、毎年、叙任式が行われ、すでに700人ほどが騎士団入りしている。
会員になると、叙任式の際などに騎士団が開催する豪華なガラディナーに参加する権利が得られる。男性はタキシード、女性はイブニングドレスに身を包み、参加メゾンの極上のシャンパーニュと贅を尽くした料理を堪能。その華やかさ、煌びやかさはシャンパーニュならではだ。
この騎士団の会員には序列があり、それはメダルの色で区別される。まず最初の階級が「シュヴァリエ(騎士)」でメダルの色は緑、次が「オフィシエ(将校)」で黄色、トップが「シャンベラン(侍従)」の赤。さらにオフィシエとシャンベランにはワンランク上の「オフィシエ・ドヌール(名誉将校)」と「シャンベラン・ドヌール(名誉侍従)」がある。日本人でシャンベラン・ドヌールを授与されたのは、映画監督の北野武氏ただひとりだ。
試験を受けて騎士団入り、新称号エキュイエが誕生
シュヴァリエ以上の正規会員は誰もがなれるわけではなく、おもに輸入業者、酒販店、ソムリエ、ジャーナリストといった業界関係者がメゾンの推薦を受けて初めて叙任される。そのようなハードルの高い騎士団に、2023年、「エキュイエ」という新たな称号が誕生した。
この称号は所定の講座を受けて試験に合格すれば、業界関係者でなくともメゾンの推薦なしに授与されるもので、いわばシュヴァリエ予備軍。試験のレベルに応じ、ブロンズ、シルバー、ゴールドの階級があり、これまでにブロンズ76名、シルバー36名がパスしている。ゴールドのプログラムは2025年に初めて実施の予定となっている。
もちろん、すでにシュヴァリエやオフィシエを取得した人でもエキュイエにチャレンジし、シャンパーニュに関する知識をより深めることが可能。17あるグラン・クリュのシャンパーニュを一挙試飲などかなりマニアックな内容なので、騎士団の正規会員でも新しい発見がきっとあるに違いない。
また、エキュイエにも、叙任式などのガラディナーへの参加権が与えられる。名誉あるシャンパーニュのエリートを目指して、まずはエキュイエ・プログラムから挑んでみてはいかがだろうか。
シャンパーニュ騎士団とは?
シャンパーニュ界のエリート軍団
シャンパーニュ騎士団の正式名称はOrdre des Coteaux de Champagne。シャンパーニュの普及・販促に貢献した人々の親睦団体で、まずはシュヴァリエ(騎士)に叙任され、その功績に応じて階級が上がる。シャンパーニュ愛飲家なら喉から手が出るほど欲しい称号だ。
シャンパーニュ騎士団に入会するには?
新設のエキュイエを入口に
シャンパーニュ騎士団の会員になるにはメゾンからの推薦が必要。そのため、業界関係者か芸能人などのインフルエンサーに限られ、一般愛好家が叙任されることはきわめてまれだ。
まず最初に叙任される階級はシュヴァリエ(騎士)で、緑のメダルが授与される。日本ではこれまでに700人ほどが授かった。
さらに功績が認められると、オフィシエ(将校)に昇格し、黄色のメダルに。最高はシャンベラン(侍従)でメダルの色は赤になる。シャンベランは日本に10人ほどのみ。2023年から始まったエキュイエという称号は、会員の推薦は必要なものの、試験に合格すれば、誰でもなることができる。
NEWS|ゲーテ・コミュニティでシャンパーニュを学ぶ
ゲーテ・コミュニティでは、「シャンパーニュ騎士団」の叙任者など、シャンパーニュに精通した特別な講師を招聘。クリュ(村)違いの飲み比べなど、その奥深き世界を感じられるスペシャルな講座を計画中だ。エキュイエ合格を目指し、夢はシュヴァリエ叙任。これであなたも騎士団の一員に。乞うご期待!
この記事はGOETHE 2025年1月号「総力特集:シャンパーニュの魔力」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら