レストランを愛してやまない秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2024」。心を奪われた、衝撃のイタリアンをご紹介。今回は千葉・山武の『Ushimaru』。
中田「地元・千葉の食材しか使わない徹底した地産地消に脱帽」
九十九里浜からほど近い千葉県山武市ののどかな田園の中に建つ一軒家レストラン。打矢健シェフは漁業、農業、酪農の盛んなこの土地に惚れこみ、生産者と密に関わりながら徹底した地産地消でここならではの味を追求。希少価値の高い美味を求めて全国からゲストが訪れる。
見城 九十九里浜って都内からだと千葉でもちょっと不便な場所じゃない?
秋元 ヒデは旅好きだし、移動にストレスを感じないからね。
中田 行く価値がある場所なので。何しろ打矢シェフの地元食材へのこだわりが半端ないんですよ。しかもそれをイタリア料理に仕立てるセンスも抜群。器も九十九里に工房があるスガハラグラスを多用されています。
小山 シェフの地元なの?
中田 いえ、出身は新潟で、都内のジビエ専門フレンチや食材にこだわるイタリアンで働いていたそうですが、食材が育まれる場所で料理を作りたいと、縁あって千葉に移住したとか。もともとオーナーは鉄板焼きレストランをやっていたそうで、そのシェフが代わるタイミングで打矢さんと出会って地産地消に大きく舵を切ったのが15年前。
打矢シェフがすごいのは、野山を歩いて山菜やキノコを採ってくる、地元の魚介や野菜を使うだけでなく、生産者と深く関わって食材を生みだす努力もしているところです。
小山 それは興味深いですね。例えばどんな食材?
中田 乳牛として利用されるジャージー牛って、オスは殺処分されてしまうもの。その仔牛を貰い受けて、畜産家に預け、特別な飼料で2年くらいかけて肥育してもらっているそうです。
小山 時間をかけて食材と向き合っているんですね。
中田 ジャージー牛はメインディッシュで出したり、煮こみ料理に使ったり、生ハムを作ったり、余すところなく使い切っています。
見城 まさにSDGsの実践者。
中田 はい。千葉の在来品種の小麦を育ててもらって地粉パスタを打っていますし、塩も自分で作っているんですよ。
秋元 徹底しているね。そういうレストランがあると地域も活性化されてくるんじゃない?
中田 そう願っています。
Ushimaru/ウシマル
食材はすべてシェフ自ら採りにいき、海や畑からインスピレーションを得てその日の料理が決まる。品数は15品前後。伊勢海老、カレイ、蟹など調理前まで生簀で泳がせている。オーナー夫妻はサービスを務め、会話も楽しい。駐車場あり。
住所:千葉県山武市松尾町木刀1307-2
TEL:0479-86-1222
営業時間:12:00~/18:00~(一斉スタート)
定休日:火・水・木曜
座席数:20席、個室1室(~8名)
料金:おまかせコース¥15,000
この記事はGOETHE 2024年7月号「総力特集:恍惚レストラン ゲーテイスト2024」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら